先日、右下の奥歯を抜いてインプラントをすることになり、そのインプラントをするための検査をした人がいました。
さて、悪くて、どうしても歯を抜かなければいけない、抜いた。その後インプラントをする、ではインプラントは抜いてからいつできるのでしょうか?すぐできるのか、何ヶ月も待つのでしょうか?例えば半年とか。
この流れはとても診療でよく起きることです。そして何ヶ月かと言うのは人によって結構違います。ですが、多くの場合は2ヶ月と考えてください。
今回この患者さんの場合、右下の奥の歯は以前からなんとなく悪いなぁと気になっていましたけど、以前に左下の奥をインプラントしていて、また右下も抜くとなると、ちょっと次から次へと抜くのかと思うと不安だなぁと思い、何とか温存できないかと言うことで、予防に通っていた患者様です。
右下の奥を噛み合わせの調整をしたり、歯茎のきわに薬を入れたり、様々な手法を用いて温存を図っていました。その歯はもともと根の治療もしてあり、その根の治療をやり直したとしても、あまり状況は変わらないだろうと言う事と、歯の根の治療をしてしまうと歯が割れてくるかもしれないと言う可能性があり、あえて奥の方までは触らず、かぶせものも入っているため、そのかぶせもので全体を抑えていた方がまだ歯は少しでも長持ちするだろうと言うことで、積極的に削ったりするような治療は控えていました。時折レントゲンを撮ったりして状況は確認していましたが、やはりどうしても奥の方で炎症が骨の方や歯茎のほうに広がりつつあるのではないか。またヒビがだんだんおそらく入っているであろうと言う診断でした。患者さん自身だんだんやはり症状が出てきていて、前よりは気になるようになってもうこれはちょっと無理じゃないかと思う。右側では噛むのはちょっと気になって噛めない。との事でした。そして本人も抜く決断をし歯を抜きました。
そして歯を抜いてからその後、そのないところをどのようにして補うかと言う治療法に関してカウンセリングで話し合いをしました。この場合前と後ろをつなぐブリッジで治療をする、部分入れ歯を1本だけ入れる、インプラントで1本治療する。このような種類の中での選択となりますので、比較検討となりました。患者さんはインプラントを選ばれました。
そして抜いた直後にすぐこれができる場合ではなく、多少歯茎や骨が戻ってくるのを待つわけです。状態が良くなってからインプラントの治療に取り掛かるわけです。ですが、ここで微妙な話をしますが、完全に歯茎が戻ったり、骨が戻ったりするには6ヶ月ほど時間がかかるのです。では6ヶ月待つかというとそうではないのです。インプラントをやる場合には、歯を抜いてから2ヶ月でやると良いということが文献的にはわかっています。これは歯茎や骨が十分に最高の高さまで戻っているわけでは無いのですが、その場所の骨や歯茎の細胞活性が最も高く、その時にインプラントをやると1番新しい新生の血管ができるであろうということがわかっているからです。それによってインプラントが周りの骨とよりたくさん安定的にくっつく状態になると言うことなのです。ですので、単に見た感じで決めてるわけではなく、研究の結果でそのような診断をしているわけです。またこの2ヶ月と言う期間でやる場合には若干難しい問題も実はあります。それは歯茎や骨が完全に100%固まっていなくて、やや反塊の状態が残っていると言うことなのです。これが最大の利点ではあるのですが、逆にインプラントの治療する際に歯茎を多少切るのですが、この切る技術が難しくなります。すなわち6ヶ月待って、歯茎を切ったほうが簡単に切れるのです。ですが、それでも難しくてもその時にやったほうがより良い新生血管ができるので、骨にしっかりくっつくのでこの時期にやるべきなのです。
そしてこの患者様の場合、大体約2ヶ月後にインプラントの手術することを考えて、歯を抜いて1ヵ月半ぐらい経ってからインプラントをするための検査をしました。検査と言うのはいくつかの項目があるのですが、そのうちの重要な項目はCT写真を撮る、歯の3D写真を撮る、位相差顕微鏡を用いてお口の中の歯周病菌の状態を確認するなどです。
