電話する

地図

問い合わせ

メニュー
ヘッダーオファー

歯を削らない治療とは

2025年1月5日

こんにちは。先日ある患者様から歯をほとんど削らないで治療してほしいと言う話がありました。あなたはどうですか?削られたくないと思いますよね。確かにそうなんです。削らないで済むならそのほうがいいような気がします。ですが、歯を削らないと治らないことが多いですね。ではどうして削らなければいけないのか?それは歯が虫歯になっているかと言うことかと思います。すなわち悪い部分は削る以外に選択肢はないと言うことです。

削らない治療、もしくはできる限り削らない治療とは一体どういうことなのかをもう少し細かく見ていきたいと思います。例えば右上の前歯が虫歯だったとします。その歯を削らないで治療すると言う事はどういうことになるでしょうか?あるいは削って欲しくないと訴えている患者様はどのようなことを想像しているでしょうか。例えば、その歯に薬を塗れば、虫歯がいなくなって全く削らないで済む、もしくはある薬を飲めば虫歯菌がみんな死んでしまい、歯を削らないでも治るといったところでしょうか。しかし現実問題、そのような注射や薬はありません。

そこで削ると言う問題について、もう少し正確に見ていきましょう。すなわちどうして削られたくないのか?ということですそれには大きく分けて2つ考えられると思います。1つは削ると痛いから。もう一つ、2つ目は削ると自分の歯が減るから。と言うことかと思います。

では1つ目の削ると痛いと言うことに関して見ていきましょう。削ると痛いと言うのはこれも細かい話ですが、いろいろな状況が考えられます。歯の表面はエナメル質と言ってとても硬い層になっています。この表面の層は削っても痛くないです。もし削って痛いと言う方がいた場合、それは痛いように感じていると言うことが考えられます。なぜなら、エナメル質の中に神経は通っていないので痛みを感じることができないからです。痛いと思ってしまうのか、もしくは振動があるので痛いように感じる。すなわち怖くて痛いような気分になっていると言うことかと思います。そしてエナメル質の次にさらに虫歯が進行している場合には、そこは象牙質と言う層なのですが、ここは痛みを感じるとこと感じないところがあります。痛みを感じないところと言うのはどんなところでしょうか?それは虫歯菌に侵されているところです。実は虫歯菌に犯されてしまうと削られたり、触られたりしても痛みを感じません。ですので、もしここを削っても患者さんは痛くないはずです。逆に虫歯菌のいない象牙質を削れば痛いことが多いです。

ここでよく冷静に考えて欲しいこととしては、虫歯菌に侵されている象牙質を取り除くことが必要な処置ですので、痛くないところまでは削った方が良いわけです。そして明らかに痛いところは虫歯菌がほとんどいないところですから、あまり削らないほうがいいわけです。そしてこの境界部分が一体どこなのか、実はここがはっきりわかりにくいところなのです。そのためにう蝕検知液と言うものがあります。これを使うと虫歯菌がいる象牙質は色が染まるためにわかるのです。ところが虫歯菌がいない象牙質は色に染まりませんので、削らなくて良いと言う事が判別できます。そして虫歯菌がいるところからいないところで変わる境界はグラデーション的にその状況は変わるわけですが、その部分はどのようにう蝕検知液で染まるかと言うと薄く染まるわけです。という事は濃く染まっているとこをだんだん削っていき、色が薄くなった時点で、削るのやめるということなのです。

そのような削り方をしていくと、基本的には患者様は削られても痛いとは感じないのです。そしてなおかつ痛くなく、必要十分なところだけを削ることが可能となるわけです。どうでしょうか。これ言葉で言うと、明確な話なんですが、実際に人間の体の中で、それをやる場合には全くその通りの話になるわけでもないわけです。というのもやはり口の中で器具が入ってきて音が出て水が出てなんとなく押されてやっぱり患者さんにしてみれば痛いような気がするわけです。ビクビクして動いたりします。そうするとやる側も正確な判断がしにくくなってきます。もしその患者様がとても痛がりで常に痛い痛いと言われてしまうと、削る側ももう少し削っても良いはずなのに、あまりにも痛がるのでこれ以上削ってはいけないのではないかと言う錯覚に陥ります。また逆に全く痛くないと言う患者さんもしくはものすごく我慢をしている患者さんであれば、本当はその薄く染まっているところを通り越して健全な象牙質に侵入しているにもかかわらず、どんどん削りすぎてしまうと言うことも可能性としては考えられます。ですのでこの勘所と言うものは、まさに歯科医師の技術力、名人芸の世界になっていくわけです。

ちなみにこれらの話は麻酔をしないで削っていると言う話に基づいています。もし麻酔をしてしまえば患者さんは基本的には痛みを感じなくなるので、少ししか削っていなかろうが、たくさん削っていようが、はっきりと患者さんは先ほどまで削っていて痛くなかったけど、だんだん痛くなってきたよ。などとグラデーションをどの程度進んでいるのかは全くわからないわけです。

これが人間を治療することの難しさです。麻酔をしないで歯を削れば必要なところ、ギリギリで削る量を止めると言う事は理論上は可能なのですが、実際患者様はやはり人ですので怖いので、ちょっとでもチクっと痛いようなことがあってはビクビクしてしまったり、体が動いてしまうので、麻酔をしましょうということにもなりますし、そもそもレントゲンで虫歯が深ければ最初からもう麻酔しながら進めないと絶対痛いからそうしましょうと言うこともあるわけです。

では、2つ目の歯を削ると歯が減るからと言う話を深掘りしていきたいと思います。確かに歯を削ってしまえば自分のものがなくなるのでちょっと嫌ですよね。ですけど、悪くなっているところを削らないで残しておくと言うのは問題ですので、やはり削るしかないわけですね。そうするとできる限り削らないと言う話に帰結していくわけです。どんどん削りましょうということではなく、必要な分だけギリギリ最小限で削りましょうと言うことになります。ですが、これも主観の問題で口の中を削られている患者さんにしてみれば、どれだけ削られているのかその量が多いのか少ないのかピンとこない部分もあるわけです。ある人からしてみれば1ミリ削っただけでも1ミリも削られたと言うかもしれませんし、5ミリ削られた人が5ミリで済んでよかったと言うかもしれません。この辺もかなり主観が入ってくるために、どうしても理論的な行為ではあるのですが、イメージ先行の怖いと言う話にすり替わってしまう部分です。

では本題に戻りますが、削らない治療とは一体何なのか?それは必要なところは、どうしても削らざるを得ないが不必要には削らない。それをギリギリで止めると言うことです。そしてギリギリで止めていれば痛みを感じないというのが理論的には正しいということです。ただし、人間ですので、理論的に痛くないと言うことでも、怖いために痛いと感じてしまうことが起きるということです。

このようなことから、私自身治療するときには麻酔をするのかしないのかを使い分けています。患者さんがやはりとても怖がりであれば麻酔をします。またおそらく少しでもしみるであろうとか、びくっとするであろう。あるいはちくっとして体が動いてしまうと言うようなことが治療上、マイナスに働くと想像できる場合は麻酔をします。逆にこれは麻酔をしてしまうとギリギリの判断がしづらいであろう、ギリギリ削るとこまで攻め込むと言う技術に頼るような治療をしたい場合には麻酔をしないで削ると言うことをします。

いずれにせよできる限り不必要に削らない極力自分の歯を残すということが第一の更新となっています。

<< 前のページに戻る

診療スケジュール

当院へのお電話からの問い合わせは0526018001へ

受付時間
9:00〜12:00
14:30~17:30
▲土曜 9:00~13:30 【休診日】日・祝祭日・土曜午後
初診最終受付 17:00、土曜初診最終受付 13:00
ご予約・お問い合わせはこちら
小島歯科室の外観
初診の方限定、歯ブラシ・キシリトールガムをプレゼント

© 小島歯科室