Tag Archives: 小児矯正

インビザラインの終了と保定

2024年3月24日

こんにちは、先日インビザラインの治療を2年ほど受けて終了になった患者様がいました。

この患者様は長きにわたって頑張っていました。マウスピースを使い終了となりました。途中あまりマウスピースができない期間もありなかなか治療が進まない時期もありましたが、最終的にはゴールしました。

インビザラインの治療の場合には、歯の表面にアタッチメントと言われる小さなプラスチックのようなものがくっつけてあります。白いプラスチックです。凹凸型のものです。この凹凸の引っかかりを用いて、マウスピースが歯をタイトに押していくわけです。ですが、終了したのでこのアタッチメントを外す段階となりました。

アタッチメントを全て削り取り、歯の表面や歯茎を今一度もう一度磨いて仕上げをします。そしてその状態を確認してもらい、最終的な終了となりました。

そして終了後は安全のため、今まで使っていたマウスピースをしばらくは入れていてもらいます。これは矯正歯科の世界では専門用語として保定と言われています。治療は終了しているのだが、安全のためにしばらくは装置を使っていてくださいということです。このプラスチックの枠の外からどこか出て行かないでねということですね。

もし治療が終了してから全く保定をしないとなるとやはり心配です。人間の体ですので、復元力がありますから、元の昔の位置に若干は戻ろうとします。これは良し悪しでして、生理的に安定する位置を求め、ほんの少し移動するのは異常ではありません。ですから最初計画を立てた理論上の理想の位置を強制治療としては目指すのですが、その最も理想の位置から、実際の人間の体は生理的に様々な動きをするので、若干はずれます。遊びがあると言うことです。例えば車のハンドルでも若干遊びがなければとても運転はしづらいと思います。

それで、若干の生理的な動きで、歯が動くのは問題ないのです。それは0.2ミリとか、それぐらいの単位のことですですが、それがもっとどんどんずれていくとなるとちょっと問題です。例えばもともと前歯がとても出ていて、それがどんどんと前のほうに戻っていったとなるとちょっと寂しいですよね。ですので、保定のマウスピースをしばらくは入れてて大丈夫か、と言うことをやるわけです。

保定は最初は24時間できる限りやってたほうがいいです。インビザラインの理論上では20時間以上1日あたり入れていると言う考え方です。20時間位という事は食事をしたり歯磨きしたり外す時間があり、それ以外の時間をほぼ入れているということですので、まぁほぼ24時間入れる気持ちでやってほしいということになるかと思います。

そしてその保定を2、3ヶ月やって問題がなければ、時間を16時間位、12時間位、6時間位とどんどん減らしていき、半年から1年ぐらいは夜寝るときの6時間から1時間位で一応念のためと言うのが大体の頃合いです

さらに1年経ってその先どうするかと言いますと、週に3回ぐらいは2、3回ぐらいはちゃんと入るかどうか一応念のため入れてみて欲しい。夜だけでもいいので。という感じになるかと思います。
そうするとじゃあその先どうしたらいいんですかとなりますが、理想としては10年とか20年とかずっといつまでも入れてたほうがいいと言うことに学会的にはなってます。その辺は自分の生活スタイルと言うものもあるでしょうから、毎晩そんな事はちょっとできないという人もいるでしょうから、昼間に2時間位時々入れるとかそういうこともあってもいいと思いますし、1週間にいっぺんだけちゃんと入るか確認して6時間ぐらい入れているなどと言う人もいます。

また逆に全く入れてないと言う方もいます。それはもう10年以上経って特に異常も感じないし、変化も感じないので、まぁこのままでも大丈夫じゃないかと思ってとりあえず使っていないということです。

またこの保定はマウスピースは消耗してだんだん壊れてきますので、時々作り直していくことが必要であり、都度費用がかかります。どれぐらいそのマウスピースは持つものなのかについて少しだけ触れますが、これはかなり個人差があります。噛み合わせが強い歯ぎしりが強ような人だと2、3ヶ月で割れてくる人もいますし、1年ぐらい全くびくともしないという人もいます。

tooth model with metal wire dental braces on blue background.

矯正治療中、針金が当たって痛い

2024年3月21日

こんにちは。先日見た患者さんで唇の裏に針金や器具が当たるようで、痛いと言う方がいました。

この方は右上の前歯がとても内側の奥のほうにずれ込んでいて、一方で、犬歯は前のほうに飛び出ていると言うような状況の人です。とてもズレが大きいので、この方は針金を用いて歯を治療しています。中学校2年生です。

一般的に、矯正治療を行う場合、インビザラインのようなマウスピースタイプのものでやる場合、とワイヤーを使って歯を並べる場合があります。成人矯正の場合はこの2つの方法に大きく道が分かれます。ズレが小さければインビザラインのような方法も1つの選択となりますし、とても良い方法となります。しかし、歯の移動量が大きい場合、もしくは噛み合わせが深い場合等は、ワイヤーを用いた場合がより確実です。

この患者さんの場合、小学生の頃から見ていたのですが、小学生の時の一期治療でさほど真面目に装置を使っていなかったために(取り外し型)、このまま2期治療で矯正矯正をやっていく場合にインビザラインのような取り外し型よりも、針金をつけて固定してしまった方が良いであろうということと、前歯の前後的なズレが大きいために、針金を選択した方がより成果が出るであろうと言うような状況の中で、針金を使っています。

今回の主訴である当たっていたいと言うのは、針金をつけて初めてから最初の3日目ぐらいに起きました。最初針金をつけるとやはりどうしても気になってしまいます。そしてつけた当日その場でどこか引っかかるところはないか?痛くないか?などとは確認するのですが、その場ではまだそれほど気にならないのです。何かあるなという事はわかるのですが、痛いほど気になると言うことや、何か唇が押されているほどでは無いのです。そして3日ほど経つと、だんだん唇が閉まってきますし、針金も微妙に動くのです。

金具がどうして動くのか?それは金具が外れるわけではなく、歯がほんの少し動くために、相対的に針金の位置も変わっていくわけです。それは0.2ミリとかごく小さな量なのですが、それでもその変化によっては本人がとても気になる時があります。

実は1ミリ以上動いても全く気にならない状況もありますし、ほんの少し0.2ミリ動いただけでも、なんか当たってる痛くなるんじゃないか?と言うようなことも起きるのです。様々です。

このたびはどうしたかといいますと、まず歯磨きの指導を行いました。歯磨きが丁寧にできているかどうかによっても、実は痛みは出にくいのです。ですから歯磨きができているのかどうか気になって、全く歯磨きをしていなかったなどとなると、多少の炎症が大きな炎症になることがあるために、歯磨きが正しくできているか。具体的には弱い力で丁寧に磨く。普通5分かかるけど、歯磨きが10分はかかるよと言うような事は改めて確認をしました。

次に針金自体を長さを調整する必要があるかのチェックです。今回の場合は、長さほとんど調整する必要はなかったので、ごく少量の微調整になりました。また針金を抑えるゴムを新しいものに交換してできる限りずれることがないようにしました。

次に犬歯あたりの金具が1番気になるようだったので、そこにプロテクトする粘土のようなものを使うことを説明しました。この粘度と言うものは、お口の中に、針金が付いているときに、カバーとして、自分で丸めてくっつけるようなものが実はあるのです。口の中に使うものですので、もし間違えて飲み込んでも問題のないものです。これを米粒1粒程度小さくつまんで金具の表面に自分でくっつけるわけです。ただ粘土をつけているだけですから、食事をしたりしゃべっている間に外れてきます。そういうものです。

ですが、物理的にカバーをしているために擦れたりしないため、炎症が取れていきます。そうすると常にこの粘度のカバーをする必要はなくて、どうしても気になるな、痛いなぁと思う時だけすればいいわけです。

多くの場合、ほとんどの患者さんはこの粘土を2.3回使ったらもう後はそこまで痛くならないから大丈夫かなと思ってわなくなることが多いです。少ないですが、ずっと使い続ける人も1部います。ずっとといってもそれは2週間位のことです。

矯正治療と後戻り

2024年3月14日

先日、21歳の男性の患者様が来られました。この方は小学生から中学生にかけて矯正治療を行っていました。その後は定期的なクリーニングでずっと通っています。

お口の中を見ると、下の前歯あたりは残念ながら少し乱れています。矯正治療が終わり、針金を外し、最初のうちは特に問題はありませんでした。矯正終了後のマウスピースもある程度使っていたようです。

しかし残念ながら少し下の前歯が乱れていました。

矯正治療というものは大抵の場合、針金をつけたりして行われるものです。そして歯を動かしていくわけです。もし針金でない場合は何枚ものマウスピースを順番にはめていき、針金の代わりに歯を押して歯を移動させるという方法もあります。

いずれにせよ、外から力を加え、針金でなどで歯を動かしていくわけですが、この動かす期間は約2年位と考えてください。どうして2年なかといいますと、歯が動くということは、歯の周りの骨の細胞が活性化し、新しく骨ができてそして安定する、そういった生物学的なプロセスを踏まえて歯が良くなっていくのですが、その時間というものは、短すぎても長すぎても良くないのです。ゆっくりと着実に動かしていき安定していく。この時間は約2年位もし短すぎれば、それはちょっと無理があるスピードなのかもしれません。

そして長すぎる場合は、いつまでもその歯を揺らしてしまうために、骨の安定感が悪くなるかもしれないのです。ですので、大体そのような目安の期間があり、いつまでもダラダラとやると言うものでもないですから、患者さんは必ず約束の日に来て、確実に予定通りに治療が進むことを心がける必要があります。これを守らなければ治療の成果はいまイチとなります。

さて、先程の患者様にいろいろ聞いてみると、矯正終わった直後は頑張って後戻り防止用のマウスピースを入れていたけれども、途中から油断して入れなくなっていて、ある時あー少し戻ったかなぁと思ったけどもまぁこれぐらいなら大丈夫かと思って油断していましたと。そしてさらにずれたときに親に注意され叱られ、急いで毎日夜入れるようにしていたと言うのです。

結果的には大きくはないけども、若干はずれ、本人曰くそこまでは気にならないので、これぐらいなら充分きれいになったと思うということでした。

どうしても人間の生活行動ですので、必ずこうしろと人から命令されたからといって、親から言われたからといって、ドクターから言われたからといって、全てが守れるものでもありません。例えば英語のテスト100点を取ると言うことを目標とし、一生懸命単語を覚えるわけですが、90点なら取れるかもしれないわけで。

常にある程度の後戻りと言うものは存在しますし、後戻りしていないとしても、加齢とともにまた様々なことが起きる可能性があるので気をつけたいものです。特に気をつけるべきは以前にも書いていますが、鼻呼吸と舌の上顎につけている位置です。

矯正治療には費用がかかる。安い矯正治療で治るとかいう事は無い。

2024年3月10日

こんにちは、先日訪れた保護者の方から費用をあまりかけないで矯正治療をしようと思っている、どうかと相談を受けました。そのお子さんは今まで一期治療で小学校低学年から小学校高学年まで治療を受けていました。そしてその先中学生になってから次の段階の2期治療を受けようかどうかと言うところで迷っていました。

そしてお母さん曰く、よその医院でもっと安く治療ができると言う話を聞いたと言うのです。その話を具体的にどのようなことかを聞いてみると、マウスピースのような枠を数万円で買って、それを自分で使ってもらうと言うものでした。そうすればだんだん良くなると言うことなのです。

私は矯正歯科は専門ですので、その話が大体どういう流れでそういうことになっているのかはなんとなく想像がつきます。また、そのような類の話を他の保護者の方からも聞いたことが何度かあったり、あるいは本人がそのようなことを患者さんが友達から聞いたと。それはちょっと危ないなと言う事はすぐにわかります。

すなわち、矯正はあまり専門でやっていない医院の場合、マウスピースのような枠だけを売っていて、実際にはその具体的な使用方法の指導等がいまいちで、あまり実際には効果が出ないと言うのがよくあるのです。まず第一に考えられることとして、マウスピースを夜だけ入れてれば治るとか、そのような簡単な事は無いわけです。

もしそれでうまくいくのであれば、矯正の勉強を我々ドクターがかなり長い時間費用をかけて習得していると言う事は全くないと言う話になってしまい大きな矛盾なのです。またマウスピースのようなものをはめる矯正治療はあるのですが、それには一緒に付随したトレーニングメニューがあり、筋肉を鍛える方法が一般的ですが、これをしっかりと指導説明することが実はかなり難しいです。これらの指導をできるようになるためのトレーニングを術者が、そもそもしっかりと受けていなければ、そのようなことを患者さんに教える事は難しいです。またこれはちょっと文章で紙に書いて渡したから、じゃあ明日からやってねと言うような簡単なものではありません。

あなたはどうせなら費用がかからず安いほうがいいと思うかもしれません。ですが、きちんとしたものにはそれなりに材料や教育のためのコストがかかっていて、それがとても安く出ていると言う事はやはり無いのです。今ネットなどで、例えばこのタブレットを1ヵ月飲めば2キロ痩せるとか、そのようなものがいっぱい出回っていますがそのようなものがほんとに果たしてうまくいくでしょうか?もしかしたら100人に1人うまくいくのかもしれませんが、大抵の場合はそれはうまくいくわけがないわけです。

しかし、このようなまやかしダイエットの方法こそがひたすらたくさん宣伝が出ています。もうこれでもかと言う位しつこい位宣伝がネット上に飛び交っています。ここまで毎度毎度宣伝を見てしまうと、もしかしたらうまくいくんじゃないかと洗脳されていくわけです。やはり人間楽して痩せたいとか費用もそんなにかからずに良くなるなら、それに飛びつきなくなってしまう。

ですが、皆さん医療と言うものはそのようなわけにはいかないので、十分に注意が必要です。矯正と言うのは塾に行って勉強するのに似ていると私は思います。1年2年いきます。宿題も出ます。やればやっただけ成果は出ます。やらなくて成果は出ません。時間は必ずかかるものです。時間がかかりだんだんと成績が上がっていくと言うものだと思います。毎日ちょっとだけやれば成績があるよ、そんな事は無いのです。塾に行けば行っただけ。必ずそこには様々なコストがかかっているはずで、それが安いということは無いです。とても安い先生とそれなりの費用の先生、どちらの塾で本当に結果が出るでしょうか。冷静に考えればわかることなのですが

小児矯正と装置の装着時間

2023年11月2日

小児矯正において、様々な装置がありますが、今回はマイオブレースという装置に関してどれくらい入れているべきなのかと言う話をしたいと思います。そもそも小児矯正の装置でも取り外し方であるにもかかわらず、24時間ほぼ入れていた方が良いという装置は結構あります。

例えば、上顎や下顎を単独で横方向にカーブを広げるような装置の場合は、24時間入れて1週間にいっぺんなどネジをまわして拡大していくという使い方が一般的です。この装置の使い方の問題点としては、小学校に行っても常につけていなければならない、そしてその管理を子供が十分に果たして行えるか、と言うことです。しかし取り外し型ですので、逆に口の外に出した状態で、親がそれを掃除したりちゃんと入っているかを確認したりなどもできると言う意味では利点ですし、また何かあった際に痛いからとりあえず外そうということもできるわけです。

さて今回私が特に医院で使っているお勧めの装置はマイオブレースです。この装置の装着時間は子供が学校から帰ってきてから寝るまでの間に1時間入れるのが基本です。そして夜間寝ているときに入れているという使い方なのです。すなわち学校へは入れないで行くのです。そう言うと、保護者の方の中には昼間ほとんど入れてないのに大丈夫なんですか?と聞いてくる方もいます、そうなんです。学校には入れて行かないのです。それはそれなりに意味があってそうなっています。

このマイオブレースは歯や口の周りの骨を直接的に動かすために作用しているわけではなく、口の周りの筋肉や筋肉の動き、特に舌の動きなど、そういった環境を形作っている要素を正しい位置に覚え込ませるための装置です、のでずっと入れていたのでは逆に意味がないのです。まず学校から帰ってからの1時間、これは本人が意識してきちっと入れて口も閉じます。鼻で息もします。そうすると自分でこうしなければいけないんだということを感じながら使うわけです。まさに自分で感じながら筋肉トレーニングしています。

次に夜寝るときに入れるのは、最初寝る前はちゃんと口を閉じなきゃいけないとか、舌の位置は上顎につけておくべきであるとかを意識していますが、だんだん眠っている間は無意識の状態になるわけで、その無意識の時に、正しい筋肉の使い方ができるかどうかの練習をしているわけです。

無意識の状態でも、正しい筋肉の動きが習慣化するかどうかのトレーニングを約8時間から10時間位の睡眠中に行うわけです。そして学校に行くときには外していますから、装置を入れない状態でも口を閉じる、鼻で息をする、舌は上顎につけるという正しい筋肉の動きができるのか、このような3つのパターンの繰り返すことによって、最終的には無意識の中で正しい筋肉の動きができるようにということを覚えて、体に覚え込ませるわけです。

ですから入れる、入れないというこの繰り返しには深い意味があります。意識しながら入れる、意識しないまま入れる、この起きている時と寝ている時、この2種類の使い分けも意味があります。単にぐいぐいと押して何とか歯を並べようというそういうような考え方では無いのです。

ですので、マイオブレースを患者さんに入れてもらうわけですが、毎日起きている時間、学校から帰ってきてから寝るまでの間1時間この装置をしっかり使うことが大事です。装置をしっかり使うことが大事でかつ、口を閉じる、鼻で息をする、など。

また、小学校1、2年生位であれば1時間で良いでしょう。しかし、状況に応じては4年生5年生6年生でもこの装置を使う場合があります。このような場合は2時間入れておく必要がある場合もあります。特にスタート時期が遅かった場合、成長の余地が減っていますので、起きている時間に多めに使っていただくということになる場合があるのです。これはどのような時期にどのような程度かによってだいぶこちらのアドバイスも変わってきます。患者さん一人ひとりによって違いますが、1つの目安としてご理解ください。

また何ヶ月もやっていまいち成果が出ない人もいます。これは研究の上ではっきりわかっていることなのですが、しっかりとやっていない、ただしく使っていない、ということです。よって結果が出ないという事はないです。何らかの変化が起きます。全く変化がないとなると、こちらのいった正しいやり方をしていない、もっと言えば、子供がサボって真面目に取り組んでいないと言うことです。

このような場合は別の装置を新たに用意して、別途費用がかかり、さらに治療を進めていくような場合もあります。

ですが、別の装置ではなく、まずは第一せんたくのマイオブレースをおすすめします。健康な体を作るためにもなるからです。

マウスピースの素材は何か?歯科治療と素材

2023年10月26日

治療の成果結果を出すためには、その歯科治療が、どのような素材で治療をしているのかと言うことがとても重要です。

素材と言うのはもう少し違う言葉で言えば材料です。

例えば矯正治療をする上でマウスピース矯正と言うものがありますが、マウスピース矯正とは透明なプラスチックのものを歯にはめ込んでは動かしていくタイプの装置です。このマウスピースは、今、現在の時点では、海外で作られているものが最も素材としては優れていると思われます。一方で、日本国内なんかでこれに似たようなものが作られています。素材は違います。良い素材を使えば0.1ミリ単位で歯を動かす計画を立てられますが、現状日本で作られているものでは0.25ミリ位が限界で、この技術力は3年はまだ差は埋まらないといわれています。

もし皆さんがそねマウスピースを見た際、ほぼ同じものに見えると思います。
もっと言えば、我々歯科医師がそれを見てもはっきりと判別がつかないほどわかりにくいです。
その素材が何で作られているのかを歯科技工所の方より情報を入手しなければわからないでしょう

今これはとても重要なことを言っています。歯を正確に動かす、それは歯科医師の診断も大切です、歯科医師の手がどのようにうまく上手に動くかなどの技術力も大切です、そしてもちろんその時に使っている素材が何か?その素材は、どのようにして工場で加工されているのか?このようなことが総合的に関係しています。

ですが、今回は特にその素材についてだけ深掘りしていきたいのです。それは先にも述べましたように素材を見ただけで、皆さんはもちろん、その違いは全くわからないですし、私たち歯科医師、専門家が見てもよくわかりにくいのですですから、信用のおける取引先である歯科技工所等と確実に確認ができるかと言うことになるわけです。私は矯正治療において、本格的に歯を動かす場合は、費用が高くても海外のマウスピースを使います。それはやはりそれが現状最も優れた材料であり、それが2番手、3番手の材料ではまだ不十分であると感じるからです。もっと言えば明らかに差があると言うことです。多分、けどこれ患者さんにはわからないです。

この原材料問題や加工問題ですが、特許の関係もあり、特許が切れると、日本や韓国、中国など様々な国でもそれを利用したものが出てくると思われます。そうすると同程度の成果のあるものが多少安く手に入ることも考えられます。

このような事はよく私はその業者に何度となく質問しています。どうしてこちらの方が高いのか、その技術的な差は一体何なのか、材料にはどのような差があるのか、どのような工程で加工をしているのか、そういうことをとことん聞くと、自信のあるメーカーはやはり何がどのように違うかと言うことを正確に答えてきます。そして2番手以降の業者もよくよく聞いてみると、どこに多少誤差があると言うことを正直に言ってきます。そしてそれが実際に臨床的に問題になるのか、治療の結果に差になるのかを、歯科医師は十分に吟味するわけです、そして、そこに患者様の臨床的成果に置いて差があると判断した場合は、どちらを選択すべきかを冷静に決めていくわけです。すなわち、費用で決めているわけではないと言うことです。もちろん、安価でも成果が出るのであれば、それを選択するのはアリだと思います。

別の例でいいますと、ジェネリックの薬がありますが特許が切れて後から作られる薬品が安いのであれば、同じものであれば、それでも同程度の効果が得られると言うことであれば良いかと思います。しかし、一部の医師によれば、ジェネリックではなく、本家本元を使わないと差があるということを言われる方も何人か出会いました。ほんの少しの工程作業の違いそれでも臨床的には差があるから信用しないと言うことでした。それもその先生、その先生のこだわりだと思います。

歯並び、開口について

2023年10月22日

歯並びで、開口と言う状態はどのような状態でしょうか?

それは簡単に言うと本人は口を閉じているつもりなんだけれども、上下の歯があまり当たらず、前歯のところに隙間があると言うような状態です。前歯のところに空間があります。うどんやそばを前歯でかみ切ろうとしてもちょっと難しいです。

このような状態の患者様を治療をする際に、歯並びをきれいに揃えるのは、実は難しいと言うふうに矯正学的には言われていることがあります。

この状態を治すには何が大事か?それは、単に歯の位置の問題だけではなく、舌の位置、動きや、口の周りの筋肉が関係しています。

もし、あなたが毎日ずっと舌を前歯の間に挟んでいたとします。そうするといくら矯正で針金や様々な装置を使って歯を動かそうとしても、常に舌がそこにあるためにうまく歯は動きませんよね。舌の位置がおかしい限り、歯並びはきれいにならないのです。あるいは舌をいつも癖で常に間に挟んだりする動きをしていればうまくいきません。

ではその動きとはどんな時か?それは実は飲み込む時です。嚥下といいます。人はご飯を食べたり、水を飲んだりするときに飲み込みをしています。嚥下運動をしていると言うことです。ですが、それ以外にも1日に2000回唾を飲み込んでいると言われています。この無意識のうちに何度も飲んでいる唾の飲み込み運動、この運動では舌の動きは欠かせません。舌が上顎について陰圧になって、ご飯を飲み込んだり、お水を飲み込んだり、唾を飲み込んだりしているのです。無意識のうちに1日2000回も舌が、前歯と前歯の間に挟まれていたらどうでしょうか?2000回も突き上げを食っているんです。そうしたら端の位置はおかしい位置になるし、隙間もできてしまいますよね。そして一生懸命直そうとしても、なかなか針金の力に逆らってベロが押してしまうために良い位置にいまいち揃わないわけです。正しい嚥下運動を行っている場合、舌は前歯と前歯の間には入っていません。ですが、間違った嚥下運動をしている人は、前歯と前歯の間や奥歯の間に舌が入り込んでいています。

ですので、矯正治療を行う上で、舌の運動や舌の位置のトレーニング指導をしっかりやっていくことが重要であり不可欠なのです。

特に子供の場合、マイオブレースのようなマウスピースをしっかりやることです。すなわちお口の周りの口腔周囲筋のトレーニングです。6歳くらいから2年しっかり指導を受ければ、針金などしないで終わっている子もたくさんいます。

ちなみにですが、その結果をだすためにはオトナはそれを相当やる必要があります。しっかりとです。相当やる必要があります。

患者さんやその保護者の方はよく歯医者に行けば歯が良くなるのではないか、矯正治療を受けているのだから、金具をつけているのだから、装置をつけているのだから良くなるのであろうと思っている人もいますが、例えば塾に入れば必ず成績が上がるのか、習い事をすれば必ず身に付くのか。どうでしょうかそうではなくてそこにいて、かつコーチ何かのアドバイス、先生のアドバイスをしっかり聞いた上で当然、普段からの努力があり、そして成果がでると言うことだと思います。

大人の場合は、マイオブレースの治療だけでは、必ずしもそんなに良くはならないです。やはりどうしても針金やマウスピース等の歯を直接動かす器具を装着してやっていく必要があり、なおかつ、舌や口の周りの筋肉の運動のトレーニングをしていくと言うことなのです。

このように開口の場合は、単に装置が治していると言うよりも、トレーニングをしっかり本当に理解して、その必要性を感じてもらい、行動したかどうかが最終的な結果に大きく影響与えているため、歯科医師の単なる技術だけで治っているわけではないと言うことなのです。ですから難しいのです。

Teeth brace in the white background, 3d rendering. Computer digital drawing.

ワイヤー矯正とマイオブレース併用

2023年10月19日

針金の矯正をする際に、+ αでマイオブレース・アクティビティーズを併用する方法があります。これは針金が付いているにもかかわらず、その針金がついた上から直接的にマウスピースが入るのです。

一般的に皆さんにはイメージがしにくいかと思います。そしてこの方法は、何もすべての患者さんに行う方法ではありません。どうしても問題がある場合にだけごく1部の患者さんに行われる方法だと思ってください。どのような人に行うのか?それは針金をつけているにもかかわらず、なかなか歯が動かず、成果が出ない人です。そしてその成果の出ない理由は大体わかっていて、舌が正しい位置にいない、顎の筋肉の使い方がおかしい、呼吸の方法が間違っている、腹式呼吸ができないなどです。

針金をつければ大抵の場合は、その針金の力によってある一定の位置までは動きます。しかし、より正しい位置に安定する、もしくは針金を外していてもより良い安定した位置でずっとキープできていると言うことが起きるかどうか?それはその人の口の周りの筋肉の使い方や呼吸の仕方、先ほど述べたような舌の位置などに実は大きく依存しています。これらの口の周りの筋肉や普段の呼吸の仕方がおかしい場合には、実はなかなか良い位置では安定せず、針金をつけていても結果が出ないのです。そのような特殊な場合としての対応策です。

小学校6年生以降で2期治療をしている場合に矯正で針金をつけていると言う事歯よくあります。これはインビザラインのような針金代替の治療を選択した場合も同様です。

この針金をつけている状態で、なかなか十分にはが並ばない成果が出ないと言う子供がいますが、実は大人でもそういう事はあります。むしろオトナの場合、特に厄介です、それは大抵の場合、お口の周りの口腔周囲、筋の動きが間違っているクセの期間が長い人が多いのです、特に舌の力、飲み込みが関係していることが多いです。舌が下の方を押している、舌が歯と歯の間に噛まれている、そのような状況で、舌は大きな筋肉であり、その筋肉が常に歯に対し、間違った方向に力を加えているためにどうしてもいまいち歯並びがきれいにならないのです。また、噛み合わせ、顎の位置も間違った位置になっていく原因です。

実際には多くの患者さんは針金をつけることによってある一定以上の、パーセンテージで言えば80%位それぐらいの、人がほぼほぼは正しい位置に歯が移動していきます。しかし何年たっても具体的には2年とかですが、歯がきちっと動かない、イマイチな場合を見受けます。そのような場合は、そこで針金をつけながらマイオブレースのマウスピースをつけながらの治療を行います。針金をつけてなおかつ、ボクシングのマウスピースのようなものを口の中に入れておうちでは過ごしていただき、夜寝るときにはそれを入れていると言うような状況になるわけです。なんだか装置だらけだと思いますが、それぐらいに2期治療、大人になってからの治療に関して、筋肉の力、動きが原因であり、様々なことが問題として起きてしまうと言うことなのです。

Teeth brace in the white background, 3d rendering. Computer digital drawing.

矯正治療と舌の位置について

2023年9月10日

お口の中には舌があります。この舌なんですが、正しい位置はどこか?わかりますでしょうか。舌の正しい位置は上顎についている状態です。笑?と思われる方も結構いるかもしれません。実は下に降りて下顎のほうにいるんじゃないか、と思っている人もいますよね。実際問題、その間違った下顎のほうにいる状態の人もいっぱいいるのです。その下のほうにいるような状態のことを低位舌といいます。

さて正しい舌の位置にあるとどのようなことが良いことなのかを少し話したいと思います。

1.上顎を大きくし、きれいなカーブにする。先ほど舌は上顎についていると言いました、上顎の骨の形が綺麗な円の状態になっているのか、歪んだ状態になっているのか、これは舌が上に上手くきれいについていると上顎のカーブが綺麗な球状になっていき歯がきれいに並びます。このような状況になるために、もし子供の場合、ついていなければいつもそこにつけておきなさいと言うことを指導しています。

2.不正咬合を治す。舌が間違った位置にあり多くの場合は下顎にあり、歯と歯の間に挟まっていたり、特に奥歯に挟まれている場合が多いですが、このような場合は噛み合わせが凸凹になっていきます。奥歯も内側に倒れたりしている人が結構多いです。実は自分の歯が凸凹しているのは舌のおかしな位置にあるからだと言うことをぜひとも知っていて欲しいです

3.気道の広さを確保する。気道と言う言葉をどこかで聞いたことがあるのではないかと思います。首の中にある酸素の通り道ですね。この気道が狭くて夜寝るときに呼吸が止まってしまう人がいます。このような病気を睡眠時無呼吸症候群と言っています。この睡眠時無呼吸症候群は大変危険な病気であり、寝ているときに呼吸が何度も長く止まるとやがては死に至ることもあるのです。子供の頃から気道が狭ければこの病気になる確率はとても高いです。また近年の小児科の研究では子供の頃から無呼吸症が始まっているのではないかと言うことが疑われており、子供が睡眠時にどのような状態になっているか、どのような睡眠の質でしっかり眠れているのか、あるいは眠れていないのか、このような研究がだいぶ進んでいます。そして今、警笛が鳴らされていることとしては子供の睡眠の質をしっかり確保しないと脳が成長しない、また大人になったときに無呼吸症になりやすく危険である、と言うことです

さら舌が下に落ちていると言う状況についてもう少し説明していきたいと思います。多くの場合実は下顎のほうにいて間違った位置にいる人が多いです。

  1. 1.口がぽかんと開いている
  2. 2.舌を上顎の裏側に付けようとするとうまくつかない、そのようなことをした場合、舌が震えてくる
  3. 3.舌に歯の跡がついている
  4. 4.舌小帯が短い。舌小帯とは舌の裏側の付け根のところが下顎のほうにくっついているのですがそこのところがとても強くくっついているような状態の人のことです

あなたはどうでしょうか、多分多くの人が自分の舌に問題があるのかなどとあまり考えたことがないのではないかと思います。特に子供の舌に関しては気にしていないのかなと言う気がします。一方で大人の場合、高齢者になると舌にできものができて舌癌になるのではないかと心配している人が多いですが。

では最後にもう一度舌について話をまとめますが、舌は上顎についていて、舌全体がビタっと上顎についていると思ってください、そしてこの舌の位置は歯並びと重要な関係性があると言うことを知ってください。そして私たちは子供によく授業の1時間目2時間目3時間目と毎回舌がちゃんと上についているか自分で確認するんだよと言うことを指導しています。それぐらい重要です。

A smiling woman with beautiful teeth

子供の矯正治療と姿勢について

2023年9月7日

よく多くの保護者の方からこの子は姿勢が悪いと言うことを聞きます。歯並びも悪いしいつも顔を曲げているし、姿勢が悪いですと聞きます。

実は正しい呼吸ができていないと姿勢は悪いです。前回にも話しましたが、正しく腹式呼吸ができていれば姿勢は良いはずです。ですが腹式呼吸ではなく口を開けていたり胸や肩のあたりがよく動く胸式呼吸をしている子が多いのです。

正しい呼吸ができていないと十分な酸素が取れておらずそのために体は呼吸困難のような状態になり何とか無理して頑張るために、呼吸補助筋を使って呼吸しようとします。そのため体の骨を曲げて何とか気道のスペースを広げようとしたりするために、結果、肩の高さが左右で違ってきたり、頭が前に出たり、背骨の上が曲がったりと言うような不思議な姿勢にいつもなってしまうのです。

これが腹式呼吸ができていないと姿勢が悪くなっているよーと言うことなのです。しかし当院での筋機能療法の矯正治療を受けた子供たちは指導をしっかり守っていれば、顎や舌の位置が正しい位置になるために6ヶ月もすれば頸椎の湾曲は改善されていきます。

では腹式呼吸のポイントに関して少し話したいと思います。

  1. 1.立っていても座っていても姿勢はまっすぐ
  2. 2.3秒で吸って3秒で吐く
  3. 3.吸うときにお腹は前に出し、吐くときにへこませる
  4. 4.鼻息は聞こえず、静かな呼吸である

実際に私たちが患者さんを見ているときには、姿勢はどうか、まっすぐかどうか見ていますし、口を閉じて鼻で息をしているかを見ています、そして呼吸のスピードが早すぎると言う事は無いだろうか、呼吸が激しく強くなっていない、マイルドであるか、お腹の動きはどうか、リラックスした呼吸であり力んでいないか、呼吸とともに体が揺れていないか、などを何となくふわっと見ています。

このように腹式呼吸についてしつこく語っていますが、歯並び矯正をすると言う事は単に歯を治すと言うことではなく、そもそもの原因を多角的に治せる素晴らしい治療なのです。健康な体もっと言えば強い体を獲得できるし生理学的に美しい体に近づくと言う魅力的なものなのです。

ですのでただ単に姿勢が良いとか悪いとか、本を読むときに寝転がっているとか目が近いとかそういうことだけをアドバイスしているわけではありません。身体の健康発育に重要な腹式呼吸を改善することによって歯並びも良くなり姿勢も良くなる、一体となっていると言うことをお伝えしたいのです。そして保護者の方にとってはもしかしたら耳の痛い話ですが、保護者の方があまりにも腹式呼吸ができていない口呼吸をもろに子供の前で見せていると言うのはあまり良い影響ではないので、子供に渡しているプリントの中にそのようなことがしっかり書かれていますので、保護者の方もぜひ参考に自分の健康に留意してほしいと思っています。

ちなみに大人になってからこのようなことをトレーニングして改善していく事は実は極めて大変です。子供は、何となく想像つくと思いますが、柔軟です。一方大人は完成した体です。ですからすでについてしまった癖を大人になってから治すと言うのはとてもハードなリハビリなのです。ですがもし子供と一緒に頑張れるならそれは素晴らしいです、そして他の新たな楽しい親子関係ではないかと私は思います。