こんにちは。先日矯正治療を受けている小学校2年生のお子さんを診ました。お母さんとも一緒にお話をさせていただきました。
その時にカウンセリングの部屋で座っているだけで、その子はよく口を開けて口呼吸をしている様子が伺えます。そしてお母さんに普段口呼吸しているか鼻呼吸しているかどう思うかと言うことを聞いてみました。そうすると最近は口呼吸していると言う話でした。それには今は花粉が多く花粉症の影響が出ているようで、どうしても口を開けて息をしてしまうようだということでした。
3月等花粉症の季節と言うことも確かにあるかもしれません、しかし花粉症だから口呼吸をしてしまうと言うのではなく、むしろ口呼吸をしているから、花粉症の症状がより出やすいと言ったほうがいいでしょう。私は常日頃子供だけでなく、大人にも口呼吸を止めて、鼻呼吸をするように強く指導をしています。それぐらいこれは重要なことなのです。
今までコロナの影響で多くの人がマスクをしていたと思います。マスクをしていると口呼吸でしょうか、鼻呼吸でしょうか?実はある調査によると、マスクの下で鼻ではなく、口を開けて口呼吸をしていて、マスクで覆っているために、さも鼻の呼吸をしているかのような錯覚に陥っているのではないかと言う分析がありました。いつも毎度私が述べていますが、人間はそもそも鼻で呼吸するように体ができているのです。口で呼吸するようにはできていないのです。1日中ほとんどの時間は鼻呼吸です。
そして口呼吸する場合はどういう場合かといいますと、例えば川で溺れそうになって必死に呼吸をしなければいけない時に口呼吸をする。まぁこんな事は普通は滅多に起きないのですが。ですから、普段考えられることとしては、サッカーでものすごい走りに走って苦しくなって口呼吸をすると言う状況です。ですがどうでしょうか?サッカーのプロ選手が最初から口呼吸をしながら試合を始めていると思いますか?もしその選手が口呼吸を最初からしていたら、もうあっという間にバテてしまうでしょうね。最初は鼻呼吸で必死に頑張っていると思います。そして最後の終盤、どうしても最後、思いっきり力を振り絞って出し切るときに初めて口呼吸がとても増えていると思います。
口呼吸と鼻呼吸に関しては、様々な研究が実は報告されています。そしてこの中で非常に興味深い気になる事実が報告されています。それは子供の学習能力に差があると言う話です。あるブラジルの研究広告によりますと、成績が悪い子と、そうではない子の2つのグループに分けた場合、成績の悪い子の方が咽頭肥大のような状態になっていて、口呼吸をしていると言う報告があります。また別の報告では9歳の子供を集め、口呼吸をしている子供の群と鼻呼吸をしている子供の群に分けて、読解力と計算力のテストを比較しました。そうすると口呼吸の子供のグループの方が明らかに成績が落ちていたと言うのです。また、アメリカでの研究では記憶力と呼吸の関係性が調べられていました。その研究の報告の中に口呼吸をしていると、記憶力はあまり良くなっていかないと言う分析が報告されています。スウェーデンの研究では鼻呼吸と口呼吸を比べてどちらがより記憶力が高いかと言うことを調べた結果として、鼻呼吸の方がより良い記憶力の結果になっていると言う報告をしています。
これらのことをさらに詳しく調べるために、日本ではラットを用いてこのカニズムを研究している論文があります。その中には鼻呼吸をするラットと口呼吸をするラットのグループに2つに分けています。そしてそのラットが鼻呼吸の場合は、口の周りの筋肉がより正しく動き、そしてその鼻呼吸のつかさどっている神経構造の鼻の奥のほうに感覚神経があり、その感覚神経を常にリズミカルに使っているかどうかが脳と大きく関係していると。そして、脳の内測前頭野、海馬に伝えられる信号がここから出ている。さらに海馬に伝えられた呼吸リズムのその信号が脳の他の領域の信号と共鳴して相互作用を行っていると言うことを述べていました。ですから、脳の刺激という意味では、必ず鼻呼吸をすべきで、口呼吸をしていると言う事は、脳においてかなり致命的な差が起きていると言うことです。
これらの多数の論文から、いかに鼻呼吸が大切であるか!ただなんとなく仕方がないと思っていると言うのは、極めて危険な話であると言うことを、皆さん知っておいてほしいです。