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インプラント

入れ歯の難しさとインプラント

2023年3月5日

先日愛知県の栄で東京医科歯科大学同窓の集まりがありました。この集まりは愛知県で仕事をしている東京医科歯科大学の歯科医師の集まりです。この時、東京から高齢者の入れ歯の専門の水口教授が来られました。そして講演を聞きました。

講演後、食事をしながらみんなでいろんな話に花が咲きました。この集まりはドクターはみんな歳がバラバラで高齢の方は90才近いかたもいました。若い先生はまだ30代です。このようなバラバラな年齢なのですが、大学の昔の時代を懐かしむ話も多少出たのですが、なんと一番この時盛り上がった話は、入れ歯の話でした。

さすがに「へぇー東京からわざわざ教授が参加されたので、そうなのかなぁ」という気もししないでもないですが、難しい入れ歯をどう攻略するかと言うことを延々とみんなで様々な意見が出て大変面白い会でした。特に愛知県からは愛知学院や名古屋大学の教授なども約4名参加されていて、それぞれ専門分野が若干異なるのですが、それぞれの立場から大変面白い意見が出ました。

結論的には、もしその患者様が数本でもいいからインプラントを入れることができるのであれば、それが最も安定する噛み合わせになり、かつ入れ歯を安定させることも容易である。すなわち例えば仮に2本歯が残っていた場合、それ以外の場所に4本ぐらいインプラントを足して、そのインプラントを足場として上に入れ歯を載せてその入れ歯が安定するようにするという方法です。

これは従来から長い間研究されている方法でどのように歯が残っているかにもよるのですが、その時にどの場所にインプラントを何本足すと良いのかと言うことがずっと学会でディスカッションされています。それに対して現場としては、上顎であれば4本、下顎であれば2本、もしかしたら条件が良ければ1本でもいけるのではないかということが発表されています。

一方で、もしインプラントを足さない場合どのような解決策が考えられるかということも深く話題となりました。その場合は残っている歯を背の丈を低くして高さの差を減らして入れ歯の中に隠してしまい利用するのが良いのではないかという意見がやはり出ました。

これは昔から使われている方法で、大きな入れ歯を使っている場合、中途半端に二本ほど歯が残っているとその歯が、かえって足を引っ張ってしまい入れ歯が安定しないということがあるのです。そのためはその歯を削ったり小さくかぶせたりして入れ歯の中に隠れるような形にして入れ歯と一体にしていくと言う手法です。

ここで名古屋大学の教授より大変面白い意見が出て、このような歯を残痕状態にして残す場合入れ歯の縁をどこに決めていくのが良いか、縁をあえて小さくした方が良いと言う意見が出ました。この教授はもともと部分入れ歯の専門家であり、このような方法をとることによって残っている残痕が歯周病になりにくくより長持ちするという自分なりの見解を述べられました。

実はこのような方法はあまり多くはとられていないです。これをやるにはかなり手先が器用なドクターではないとできないと思いますし、よほど戦略的に治療計画を立てないとなかなかうまくいく事はないと思われます。しかし、この教授の述べるようにこの方法をうまく活用できるのであればより長く持つ可能性も出てきて非常に面白い意見だなぁと思って聞きました。

また現在愛知学院で部分入れ歯の専門の教授から大変面白い意見も出ました。それは入れ歯がうまくいくいかないというのは、技術的な問題もあるが、その患者さん本人の気持ち気分の問題もある、だから技術一辺倒で行けるところというのは限られていて、患者さんをどうやって盛り上げていくかという部分も結構大事だよと。

本人が入れ歯ぴったりくっついていて絶対落ちないんだと思い込んでいると、実際には外れるわけだから落胆するわけで入れ歯とどうやって付き合っていくかと言うことをよくよくいろんな例を挙げて話していると言っていました。

訪問診療を専門にやっている元教授も残痕をどのように扱うかということに関して非常に様々な知見を述べられていました。実際患者様が高齢になって自宅療養していたり施設に入っていて歯科医院に通うことができないような場合、そのような残痕は出来る限り早く抜くべきである。特に身動きできなくなるような前にある程度健康な状態でまだ歯科医院に通っている状態、その時にもうこの先に残らないなという根が弱っている歯は抜いておかないといよいよ後で困ってしまう。これから100年時代なので、よくよく計画を考えてお口の中を整理していく先を見据えた治療計画が大事だねということをおっしゃっていました。

このような話の中でとても大切だなと思った事は、やはりドクターは入れ歯が十分に対応できないとインプラントをいくらできても意味がないということです。患者さんは最初からたくさんの歯がないわけではないので、もし歯を1本や2本を失ったときに使うインプラントは1、2本程度足せば良いと言うことになるでしょう。

そのため、この1、2本歯を失った患者さんの対応は確かに入れ歯の対応ができなくてもそこだけを治療すれば良いのでそれでとりあえずインプラントの治療は完成するわけです。しかしその先もっと歯を失うと言うことも想定されるわけです。そしてずっとずっと先には高齢になったときに残念ながら大きな入れ歯になっているということもあり得ます。

そのような状況になったときに、インプラントを何本足すのかあるいは入れ歯をどのようにフォローして使っていくのか、入れ歯の治療計画を十分に考えることが大切になってきます。前回のコラムにも書いていますが、入れ歯とインプラントを並行して付き合っていかなければならない治療期間が必ず存在するわけです。より安定させるためにインプラントを増やしていくわけですがその際にインプラントは治療を行ったその日に上に歯がすぐに入るわけではないですから、すなわちインプラントが安定するまでには何ヶ月も時間がかかるわけです。その間、入れ歯を使っていなければならないと言うことが十分に想定されるわけです。

そのため、やはりインプラントと入れ歯を総合的に活用した治療計画、治療技術が求められます。そうなるとやはり入れ歯というものに関してかなりこだわって治療技術を磨くことが改めて今回の東京医科歯科大学愛知県歯科同窓会の集まりの中での食事会のディスカッションでよくよく痛感したことです。

また、やはり、入れ歯というものはとても人の人生を考える上で面白いものだなぁと思いました。最初はすべて歯があるのですが、人間はやはり歳をとりどうしてもだんだん体は変化し弱くなっていくものです。その中でどうやってアンチエイジングしていくのか、どうやって少しずつ減っていく歯がなくなることをくい止める、もしくは何らかの形で補ってフォローしていくのかとても深い治療だと思いました。

あなたは今もうすでに歯をたくさん失い大きな入れ歯を入れているかもしれません。あるいはまだ2本程度は失っただけなのかもしれません。いずれにせよ、現代は予防の時代でありどんどんどんどん歯をしっかりと残していくということは可能ではあるのですが、人生100年時代において、1本も歯を失わないで走り続けるということはかなり難しい部分もあります。

そのため、もし歯を失った場合、そこをどう補うのか、それをよくよく全体のバランス、お口の中体の健康を総合的に考えて予防を踏まえた補綴治療を考えることが良いのではないかと思います。そういった治療計画において必要に応じて入れ歯を使い、理想的な治療としてインプラントを入れていくことを私はお勧めします。

インプラントができるとなると、歯を磨くなどのメンテナンスも非常に楽で、万が一寝たきりなどの介護状態になったとしても、周りの人がメンテナンスしやすいというメリットも大きいです。お口の中がどんどん汚れていった状態の寝たきりの方は大変危険な状態です。それはお口の中の細菌こそが全身状態を悪くするからです。単に病気、内臓の病気などが病状悪化させていくというよりは、お口の中の余計な細菌が体へどんどん広がっていき本来罹っている病気をより悪化していくということなのです。

つまり、どのようにお口の中を安全な状態を確保できるか、これがかなり重要です。

入れ歯

インプラントと入れ歯

2023年2月26日

こんにちは。今回は高齢者のインプラントに関して、入れ歯との関わりについて今回はお話をしたいと思います。

インプラントは様々な年代の人が実際には行っています。インプラントと言うとあなたはもしかしたら60代以上の人が主にやるのではないか?あるいは60代以上50代以上の人で入れ歯か何かの人がやるのではないかと思っているかもしれません。

しかし実際には、10代後半の人でもインプラントをやっている場合があります。歯がない人はインプラントをやる可能性があるわけです。当然比率としては年齢が高ければ高いほど歯がないような状態になっていることが多く、その結果インプラントを選択して治療を進めている場合が多いです。若い人でもインプラントをやるんだけれども高齢者の人の方が圧倒的に多いかと思います。

そして高齢者の人の場合は多くの場合は何本もの歯がなくなっているのでインプラントの本数も多くなるわけです。一方若い人、特に20代とか30代で既にもうインプラントやると言う場合は1本だけ歯がないと言う場合が結構多いです。そのような場合にインプラントを1本だけやると言う状況です。

高齢者の場合、多くの場合は

・入れ歯を使っているけどうまくいかない

・入れ歯を作ったんだけど実はもうあまり使っていない

・痛いから

・入れ歯を入れるとなんとなく食事が美味しくないから

・入れ歯を入れるとみんなとカラオケに行った時にうまく歌えなくて悔しい思いをするから

・みんなとご飯を食べに行くんだけれども名古屋までせっかく良いレストランに行くのに、ホテルのレストランに行くのに何か自分だけいまいち楽しめてないような気がして寂しい思いをしたことがあるから

・入れ歯がどうしても気になって孫と楽しく過ごせない、特に孫を抱っこしたり顔を近づけるんだけどもし自分が入れ歯を入れてるってことがこの子にばれてしまったらどうしようとふと不安になる時があった

・入れ歯が急に外れたりして子供がびっくりしたらどうしよう、嫌われたらどうしよう

・せっかく子供と一緒に遊べるのに外食に連れて行ってあげたいんだけど自分がちっとも食べれなくて、おばあちゃんどうして食べないの、おばあちゃんはお腹いつも空いてないの?と聞かれてしまった

・60を過ぎて仲の良い友達と毎月旅行に行くのだけれども夜寝る前に歯を磨くときに自分がこっそり入れ歯を外すのがとても辛い

・何とか見つからないように何とか目立たないように苦心してやっているんだけどもこんなこといつまでごまかしがきくのやら

・実は自分は入れ歯になってしまったがどうしても家内に言えない

・いつもさんざんお酒を飲んで知らない間に寝ていてどんどんどんどん歯が悪くなっていくのはなんとなくわかっていたが、とうとうこんな大きな入れ歯を入れてるなんてもしばれたらめちゃくちゃ叱られそう、離婚と言われたらどうしよう

・この年になって妻や息子夫婦に迷惑かけるのも本当に申し訳なくてどうしたらいいだろう?

といったご相談を受けます。

今現在入れ歯を使っているか、入れ歯を作ったことがあるがうまくいかない、全く使っていない、このままではとんでもないことになってしまうのではないか。なんとかしたいと言うそういった入れ歯にまつわる、苦労している人から相談をよく受けます。

もちろんこの時点で必ずしもインプラントにしましょうと最初から話が決定しているわけではありません。入れ歯をなんとか新しく作り直して良い状態に持ち込んでいる人もいるのです。

本人の入れ歯を見て入れ歯を調整して入れ歯を一部作りなおしてそれで自分が思ったよりも痛くなく噛めるようになってよかった。これでとりあえず様子見ます、と言う人も時々見えます。

入れ歯を直せばある程度は何とかなることがあるのです。そのため、まずは入れ歯を何とかならないだろうか?その入れ歯を直すか、調整するか、完全に作り直してしまうか、様々な戦略が考えられますが、その人その人のパーソナルな治療計画が必要です。

当たり前ですがそれぞれお口の中の状況は違いますので、一人ひとりに合ったオーダーメイドの治療計画を考えて対応していきます。その中で入れ歯をなんとかやりくりして、まぁこれなら私使えそうだからと言って日常に戻っていく人もいるのです。

しかし、1年2年経ってやっぱりインプラントにしてみたいんだけどどうですか?と言うような質問をしてくる人も出てきます。そういう人の場合は入れ歯をまぁ何とか使いこなせるんだけど友達がインプラントしてよかったって言ってたから自分はどうなんだろうと気になった、入れ歯をやってたんだけど隣の辺の歯茎が腫れてくるし、また他の歯がちょっと緩くなってきたみたいだし、もうこの辺で入れ歯にキリつけてやっぱりインプラントにしたほうが楽ですかね?取り外しないで済むなら楽な気もしてやっぱりあたしにインプラントってできますか?とだんだん気持ちが変わりインプラントをすることになる人が出てきます。

治療する側にとって技術的に1つ大事なことがあります。それは医療技術としてインプラントがただ単に上手にできるかどうかという観点ではインプラント治療は成功しないということです。

特に高齢者の場合です。すなわち入れ歯とインプラントの共存を評価できるか、ある時まで入れ歯で過ごしていて、そこからインプラントに変わっていくのでいずれにせよ、まずは入れ歯の評価がしっかりとできなければ、その人の噛み合わせの評価はできないのです。

まずは入れ歯で今一体どういう状況なのか?そしてその入れ歯がある程度落ち着いているのか?これは全くダメなのか?もしくはこの人はそもそもどうやっても入れ歯がうまくいかないようなお口の中の形なのか?そういったまず状況の現時点での対応評価ができなければインプラント治療は必ずしもうまくいくものではありません。

私はインプラントの治療が大好きでとても良い治療だと思っていますが、その人がもし入れ歯だったとしたらどのようなことになるのかというのを常に考えています。入れ歯でうまく噛み合わせが安定するのか噛み合わせの位置はどのあたりが良いのか。もっと言うと残っている数本の歯がどれだけ長持ちするのか、入れ歯の針金かけている歯がまだもつのか持たないのか。あるいは入れ歯が乗っかっている土手がこの先どんどん吸収してしまうのか、まだそこそこ踏ん張れそうな歯茎や骨なのか。このようなことを総合的にお口の中全体を歯科全般の治療として評価することがとても大事になってきます。そのため、歯周病の治療も必要に応じて行うことも多々あります。

そしていよいよインプラントをやるとなったときにこの患者様が入れ歯を使いながら移行的にインプラントになっていくべきなのか、もう入れ歯を使うのをやめてもらってインプラントの治療に集中して進んでいくのか、その道のりは人によってかなり違います。

入れ歯と並行してインプラント治療を進めていかないと噛み合わせが加工できない、あるいは普段ほとんど噛めないような状態になってしまう、このような人の場合は結構実は難しいです。何が難しいか、それはインプラントの治療が難しいというより、インプラントを入れてインプラントが安定するまでの間インプラントの上にはかぶせ物をつけることができないのでその何ヶ月間、例えば4カ月間の間入れ歯が不具合を起こさないようにキープできる入れ歯の調整する能力が求められるし、入れ歯がぴったりすぎてもインプラントに悪影響与えることがあるのでそこを多少緩めることをしなければならないのですが、その頃合いがうまくできるかの臨床技術。様々な能力が求められます。

総合的な判断をして入れ歯とインプラントを共存させながらそしてやがてインプラントだけの状態に持ち込んでいくと言うことになるわけです。特に歯の本数がだいぶ失われている場合はこの入れ歯とインプラントの共存型の治療になることが結構ありどのようにして仮歯を入れるのか、あるいは部分入れ歯等をうまく使っていただくか、あるいは総入れ歯がうまくインプラントに影響が与えないように調整していくか、様々な要素を勘案しながらやります。

どうしてもこれがうまくいかなくてインプラントに余計な刺激を与えてしまいインプラントが安定せずうまくくっつかなかったということも、実は起きます。そのような場合インプラントをやり直したり入れ歯をもう一度作り直すこともあります。それぐらい時間や手間のかかる複雑な状況になることがあります。

それでも、部分入れ歯や総入れ歯からインプラントになって楽になった場合、とても快適です施術者としての私はとても幸せを患者様と一緒に共有できる瞬間です。時間も回数もお金もかかります。途中なかなか安定しなかったり入れ歯が痛くなったり歯茎が腫れてきたり。それでもやっと歯が入ったときの喜びは格別です、本当にこの治療をやって良かったなぁと私は幸せです。

これからは人生100年時代と言われるし、様々な状況の中でよ人に助けられて生きていく状況もあるかと思います出来る限り自分の体がシンプルで健康であり整理しやすく安全で健康的な状態を常日頃しっかり手を入れていく、自分もハッピーみんな周りもハッピーな人生、そんな生き方を最大限お手伝いしたいです!