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電動歯ブラシの利点、そして欠点はあるのか?

2023年12月10日

先日ある患者さんが、私はいつも電動歯ブラシで歯磨きをしているけれども、それで大丈夫か?と言う質問がありました。あなたは電動歯ブラシを普段使っているでしょうか?使ったことがありますか?もしくは全く経験なし、とか。

電動歯ブラシはとても良いものですが、使い方を間違えるともったいないことになります。そのことについて少しお伝えしていきたいと思います。

幼稚園児位の小さいお子さん、本人が電動歯ブラシを使っていることをたまに見受けます。これはちょっと無理があるかもしれません。どうしてでしょうか?それはおそらく正しく使いこなすのが難しいからです。そして勘違いしてしまうからです。電動歯ブラシで磨くと、そのものすごいパワーによってすごく磨けたような気分になってしまいます。そして時間も短縮できると思っていますので、本来なら3分ぐらいやるところを、30秒でできると錯覚したりするのです。音も結構快適な音が鳴って、振動も確かに体に感じるので、いかにもきれいになったと思い込んでしまい、それが習慣化していくと、実は歯と歯の間や歯茎の際の難しいところは意外にできていないまま、長い期間放置することになります。そしてその放置期間の間に虫歯ができていたり、歯茎が炎症していたりということが起きているのをたまに見ます。

すなわち、電動歯ブラシは広い面を一気にきれいにするという意味においてはとても効率的です。汚れもしっかり落としますし、手の動きでは不十分な場合でも落とすことができたりします。ですが、一方で、歯と歯の間など複雑で入りくんだ場所、こういう場所には、電動歯ブラシの歯ブラシの先がなかなか当たらないのです。もうすごい勢いで歯ブラシの先が振動していて、それが歯と歯の間の入りくんだところにうまく入り込んで当てるのは難しいのです。それはむしろ普通の歯ブラシを手で持ってやったほうがきれいになっている確率がとても高いです。そういう観点から考えて電動歯ブラシを使うのであればいくつか工夫が必要かと思います。

その一つとしては、例えば朝は電動歯ブラシを使う。昼と夜は普通の歯磨き、歯ブラシを使う。そして特に夜なんかは手で持った歯ブラシでよく歯と歯の間、歯茎の際などおそらく電動歯ブラシで手の行き届かない難しい部分を丁寧に仕上げる。というようなことを意識することです。
あるいは別の方法として、まず電動歯ブラシで全体を磨く。その後念入りに難しいところだけ手で持って普通の歯ブラシで磨いて仕上げをする、と言うような2段階で構える。
などが考えられます。

いろいろな患者さんから質問されるのですが、そのような話を聞いていると、どうして患者さんが電動歯ブラシを使いたがっているか、それは今自分の磨き方はまだ不十分でちゃんとできてないのではないか?だからもっと丁寧にしっかりやろう。そのためにより高度でレベルの高い方法として電動歯ブラシを使った方が良いのではないかと思っている、ということなのです。このような場合は割合安全です。というのもよりきれいにしよう、自分はまだまだ足りないと油断していないからです。

一方で、とにかく時間を節約したい、簡便に済ませたいと思っている人は危険ですので注意が必要です。ですが、やはり多くの場合、自分の歯をしっかり守ろうと思って、電動歯ブラシを手にしていることが多いです。(それは人からもらったりとか、与えられた場合でないと言う状況の中です。というのも電動歯ブラシってちょっとしたプレゼントとかでもらったりすることもあるものなので、自らの意思で電動歯ブラシを使ったほうがいいんじゃないかと言う考え方で始めているわけでもない人も意外にいたりするわけなんです。特に今現在電動歯ブラシはとても安く売ってるものもあります。ちなみに私はこのような安いものはあまりお勧めしていません。ほとんど意味がなかったり、逆効果であったりするからです)話を戻すと、電動歯ブラシでしっかりメンテナンスしていこうと自分で思っているのですが、やはり人間ですので、だんだん油断ができてきて、ある程度機械でしっかりやってるからまぁ大丈夫だろうという錯覚が起きてきて、その錯覚がやがて大きくなり、電動歯ブラシだから、3分やらなくても1分でも大丈夫だろうとか、まぁしっかり昨日夜やったから、朝はまぁやらなくても大丈夫じゃないかとか、どんどん甘えていくわけです。知らない間に大きな誤解のレベルまでなっていくわけです。

以上まとめとなりますが、電動歯ブラシは歯科医院で売っている専売のものを使われることをお勧めします。何がいいかを選択するのはなかなか一般の方では難しいと思うので、ご自身のいかれている歯科医院でどれが良いのか、また使い方のアドバイスも受けた方が良いでしょう。多くの場合、使い方はその箱の中に説明の紙が入っていることが多いです。そして電動歯ブラシだけではなく、手で持って普通の歯ブラシで磨く仕上げをする。さらにいうと、糸ようじやフロス、歯間ブラシなども使うということお勧めします。このような事は特に歯科衛生士が詳しいので、定期クリーニングを受けている方は、歯科衛生士にアドバイスを聞くことがとてもパーソナルな情報が得られることになります。ご自身に合った状況のアドバイスをもらってください。

歯科衛生士がお勧めする音波歯ブラシとは。電動歯ブラシではなく。

2023年12月7日

先日、電動歯ブラシで磨くことは1つの良い方法であると言うことをお話ししました。今回はもう少し電動ブラシに関して突っ込んで説明をしていきたいと思います。

電動歯ブラシはドラッグストアなどに行くと、いろんなものが売っていますよね。どれがいいかよくわかりにくいと思います。そうなんです。で、まぁ結論から言いますと、音波ブラシと言う動き方をするものをお勧めしています。

そうすると、よーく見てみると、中には超音波と書いてあるものがあります。で、この超音波はやめておいた方が良いのです。超音波よりも音波なのです。わかりにくいですよね。普通一般的には、音波と書いてあるよりも、超音波と書いてある方が良いような気がしますよね。ですので、一般の方が何かどれが良いかを判断するのが難しいのです。

音波と超音波という言葉を比べると、意味が違うわけです。音波よりも超音波の方が激しく動いているのです。ですから超音波の方が良いとつい思ってしまうかもしれませんが、電化製品としての世代的なことを言うと、初期に電動歯ブラシが出て、その後に超音波歯ブラシが出て、その後に音波歯ブラシが出ているのです。そもそも電動歯ブラシとして、ただ電動で動いているだけよりももっと細かく動いてしっかり汚れを取ったほうがいいだろうということで、超音波と言う動きが作り出されたのです。ですが、色々と研究が進むにつれて超音波と言う動きでは実は汚れが意外に取れない。動きが激しすぎてうまく取れていないということがわかったのです。それでそれを少し制御した動きとして音波という動きが新たに製品として出てきました。すなわち超音波より少し抑えた音波の動きの方が汚れはしっかり取れるということなのです。

多分どこかのビックカメラとかで、歯ブラシのことを聞いても、今私が書いたようなことを説明する店員さんはおそらくいないと思います。電化製品のお店なんだから、詳しいと思うかもしれませんが、ものすごい数の電化製品が売っていて、それぞれの違いと言うものを正確に説明をすると言うのはなかなか大変なことです。ですので、正直何が本当に良いのかをわからずに、店頭には並べてあるということです。決して悪いことではありません。専門的すぎてそれはもうどうしても難しいのです。ですから、やはりあなたの行っている歯科医院で、歯科衛生士にパーソナルなアドバイスを受けることなのです。当院でも受付で音波歯ブラシが販売されていますが、受付のスタッフはわからないことがあれば、歯科衛生士やドクターに聞いてきます。それから患者さんにそれを買うべきかどうかをアドバイスしています。

そしてさらにこのような電動歯ブラシ、特にまぁ今回お勧めしている音波歯ブラシもそうなのですが、力強く歯に当てたり歯茎に当てる事は必ずしも良いことではありません。むしろ歯に当たっているか当たっていないか位のギリギリそっと当てることなのです。ちなみに歯茎に当てるのはやめたほうがいいです。歯茎が削れていきます。

この音波歯ブラシなのですが、振動している歯ブラシの部分をしっかりと強く、歯に当てれば当てるほど、汚れがたくさん取れて、きれいになると勘違いしていませんか?そのような理屈でこれは作られたものではありません。歯ブラシの毛先を軽くそっと当てる位。それで特殊な音波の動きで毛先が振動しますので、それで汚れをとっていくのです。力を強く当てれば当てるほど、実はこの音波の効果が出ません。もしあなたが今までしっかり強く当てていたとしたら、強く当てた方がいっぱいきれいになるんじゃないかなぁと思って頑張っていたとしたら、今日から改善です。当たっているか当たっていないか位のソフトタッチでお願いします。このように私が今説明していますが、最初の1週間ぐらいは実行することが可能でしょう。ですがやはり人間ですのでいつしかまただんだん強く当てていき、何とかきれいにしようと言う気持ちが流行ってきます。抑えてください、気持ちを。先程来私が何度も言っている話、超音波ではなく音波、これは強ければ強いほど何でも良いということではないと言う話でしたよね。歯ブラシの当て方も強ければ強いほどきれいになるということではないと言う話なのです。

どのように利用すると良いか、どのようなものを選ぶと良いかと言うのは、意外なところに良き答えがあります。またわからなければ、歯科衛生士に聞いてみてください。