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インプラントと全身疾患について

2024年2月25日

先日インプラントの治療を希望された患者さんで、私は今、内科とか色々とかかっているが、大丈夫か?と言う質問がありました。インプラントを治療する際、患者さんは多くの場合、内科や整形外科、眼科、耳鼻科、もしくはもっと大きな手術をしたということで大学病院やがんセンターなどいろいろなとこにかかっていると言うことがあります。

ですので、患者さんには今どこか他に今まで病院にかかっているか?と言うことを聞きます。

そしてその様々な病院やクリニックでどのような薬が出されているか、どのような治療や経過となっているかなどのやりとりをします。これはファックスや紙面で行います。このようなやりとりは今後の医療において、さらに一般的になっていくと思われます。それは何もインプラント治療するからと言うわけではなく内科にかかっていて、その先生が整形外科に手紙を書いて確認をする。皮膚科にかかっていて、その先生が外科に手紙を書く。歯科にかかっていて、呼吸器内科に状況を確認する、などです。

これは単に薬がダブっていないか、薬が副作用などで反応しないかなど様々なことを聞く必要もあるのですが、それ以上に例えば、既に内科で何年もかかっていて、様々な血液検査データ等があり、どのような状況かと言う概略が判断できて、歯科治療を行う上でとても便利なわけですし、患者さんにとってとても有益な情報が手に入ることがあるわけです。

例えば、飲み薬なんかでアレルギーがある、あるいは血液検査でデータがあまり安定していないので、侵襲の大きい処置は今しばらく待ったほうがいいなど。他にももっと大掛かりな場合だと、この先入院して手術を行う予定があるので、その際に全身麻酔をするのでお口の中の歯の状態が悪いと、オペ中にいざと言う時に歯が折れたり、それが喉の気管に詰まってしまったりと言うような様々なトラブルが起きないために、お口の中の安全状態を確認したい。あるいは必要なことがあれば、先に治療しておいてほしいなどと言う依頼もあります。

特にインプラントの場合、関係してくるのは、例えば糖尿病などの状態が安定しているのか。血圧がある程度コントロールされているのか。易出血性の薬を使用していて、その薬に関して主治医として何か見解はあるか。

すなわちここはちょっとややこしい話なのですが血液サラサラの薬、ワーファリンなどを飲んでいると、患者さんはよく私たちに言ってきます。そうすると、外科的な処置をするその直前直後に一時的にその血液サラサラの薬を止めて、インプラント手術をやることがあるわけです。ですが、最近のエビデンスでは、それらの薬を止めないまま治療した方が良いし、それは充分可能であると言うようなレポートが増えているわけです。それに準じてオペを行うことが多いのですが、実際にはやはり止めたほうがいいとか止めないでほしいと言う内科の先生などの希望があったりするのです。それらのことを全く無視して連携しないで、治療が一人歩きしていくと言う事は無いのです。

ですので、対診と呼ばれるこのようなお互いの情報交換というのが行われます。現場では紙ベースでのやりとりですが、今後このようなことがコンピュータのクラウド上などで情報共有できるのではないかということも言われています。今現在では薬の情報はある程度共有できるということがわかっています。

各医院にあるコンピュータを用いて、その人の保険証カードを使って、どのような薬が処方されているかなどがわかったりするのです。ですが、現状ではそれをただ見て判断するのではなく、やはり紙ベースやメールファックスなどを用いてお互いに文章でやりとりをしています。というのも、やはりそれだけではちょっとやはり心配と言うこともあり、念のためお互いちょっとしたニュアンスもあるでしょうから、今一度確認しあっているのです。

さて、上記の患者さんに関しては、糖尿病の状況としては数値がだんだん良くなってきているので、数ヶ月、念のため待ってからこちらで確認してからゴーサインを出したいと言う意見が出ましたので、もう一度内科に行っていただき検査データの安定をもう一度だけ確認してからインプラントオペの日取りを予定することとなりました。

糖尿病などの全身疾患とインプラント手術の可否について

2024年2月18日

前回、他院にてインプラント治療は難しいかもしれないと言われた方の話をしました。その方の続きをまたこちらでお話ししていきたいと思います。

その患者さんは糖尿病という病気を持っていて、内科を月一回受診されていたそうです。そして前医の歯科医院では、糖尿病があるとインプラントができないことがあると言う説明を受けたそうです。

当院でインプラント治療する場合、もしその方がどこか病院やクリニック等で治療を受けている場合は、各病院にその病状の確認をするための医療情報連携のための対診書を送って状況を確認しています。もちろん患者さんにその旨伝えてです。そうすると糖尿病の場合、どのような治療を行っている、例えば注射を打っているなどです。

そこで、今どのような状態なのか、数字が良い悪い、安定していないなどそのようなことを教えていただけます。でもちろんそうなのですが、この数字が安定してなくて病状が悪ければもう少し安定するのを待ったほうがいいかもしれないと言う内容のことが書かれていますし、ある一定以下の数値で安定していれば、内科的にはこのまま治療続けるが、特に歯科の方で何か治療してもらっても構わないと言うニュアンスの返答になっています。ヘモグロビンA1 c言う数字がよく出てきます。

この数字が7以下であることが1つの基準であるとよく言われています。それ以上の数字であれば、内科ではかなり生活改善や運動しなさいと言う強い指導があるのではないかと推察します。インプラント治療を行う上では、この数字が5以下などかなり安定していると非常に良いのですが、実際にはそのような人ばかりではありません。7以下である、その他の全身疾患がどのような状況かなど総合的に考えてインプラント治療はできる場合が多いです。あるいは今すぐできなかったとしても、多少経過を見て体の状態が安定していれば治療は可能です。

その時の注意点としては易感染性という言葉があり、糖尿病の状態が良くない場合には感染症になりやすい、すなわちインプラントは外科治療で歯茎を切ったりするので、その時に感染症になりやすいと言うリスクがありますので必ず抗生剤等の薬を飲むなどの併用が必要となり、それを厳守していただきます。また、お口の中の衛生状態も感染と関係がありますので、定期的な歯のクリーニングも術前から受け、きれいな状態をキープしていくことを目指すことになります。

また広い意味で話しますと、リスクとベネフィットと言うことになるかと思います。多かれ少なかれ40代以上であれば内科など何らかのクリニックにかかっている事は多いです。そして全く病気がない完全なる健康体であると言う人も少ないわけです。そういう中で全身状態を出来る限り悪くない状況に持ち込み、あるいは定期的に内科など通っていただき、健康状態をできる限り悪くならないようにキープして様々な歯科治療を進めていくということだと思います。

特に歯科治療でインプラントの治療すると言う事は、これはかなり体を守るという意味があります。しっかり噛めない状態で普段生活をしていると言うことなんですね、歯がない人は。歯がない状態、しっかり噛めない状態で普段生活していればどんどんいろんなところが悪くなっていきます。

食事もしっかり噛めない、そうなればお酒をたくさん飲んでしまったり、柔らかいものや甘いものをたくさん知らず知らず取りすぎてしまったり。またしっかり噛めないので運動もいまいち。しっかり噛み合わせがあれば力がぐっと入り運動もできるし、普段の歩いたり走ったりちょっとした運動でもしっかり体が反応し楽しく生活エンジョイできるわけです。ですので体を守るためにもインプラントはしたほうがいいなと私は思っています。

自分の体の中にしっかりとした噛み合わせがあれば、かなり安定していて、さらに体が老化していくのを止めているのです。アンチエイジングということですね。
そういう意味においてどうするのかということです。

歯周病と、セラミックのかぶせ物の関係

2024年2月4日

こんにちは、今回はセラミックのかぶせ物の良さについて話をしたいと思います。特に歯周病との関係性に関して話をしていきたいです。
歯を治療する際には、かぶせ物に種類があるということは皆さんなんとなくわかるでしょうか?
例えば、金属の銀歯、セラミックの白い歯、プラスチックの歯など。かぶせて治療すると、それが見た目がどのように見えるかとか、自然ぽい歯に見えるとか、そういうことが気になったりする人も多いと思います。そういう意味ではセラミックが1番良いでしょう。また金額という意味からすると、セラミックではなく保険の歯を入れようと言う方もいるかと思います。金属でもゴールドなどを使えば噛み合わせがしっかりして良いのではないかと思っている方もいるかもしれません。
このようなセラミックの被せ物という話と、歯周病がどう関係するのか?と思われる方もいるかもしれません。かぶせ物というのは白いのか銀色なのか強度がどうなのかなどと多くの方は考えているのではないでしょうか?
ですが、実は歯周病ととても深い関係があります。かぶせ物をかぶせるということは、自分の歯にそれをくっつけてるわけで、そのくっつけているギリギリの境界のところがあるわけです。もともとの自分の歯の根があり、そこから先がセラミックなりのかぶせ物になってるわけです。このギリギリの境界線、これをずっとズームアップしていくと、とても重要な問題があるのです。この境界線には、ほんの少しだけ隙間、段差ができてしまうわけです。となると、隙間に汚れや菌が溜まって繁殖していくわけです。それが歯周病の温床になっていることがよくあるのです。皆さんは歯周病と聞くと、テレビのコマーシャルなどでいろいろなものを見ていると思うので、なんとなくイメージがつくと思うのですが、歯周ポケットと言われる歯茎の溝に細菌がくっついていると想像するのではないでしょうか。ですから、歯周ポケットをしっかり、歯茎のキワをしっかり掃除すれば良いと。
確かにそうなんですが、実際のところはそんな単純な話では無いのです。ほとんど多くの人は歯の治療を何回かしたことがあり、そしてかぶせものなんかがお口中にあちこちに入ってたりするわけです。このかぶせ物には必ず境界がありますので、そこの段差、隙間があれば歯周病菌が繁殖して歯周病を悪化させていくということなんです。

この段差、隙間なのですが、これはとても厄介な問題があります。そこには小さな隙間があり、その隙間はどんなに精度高く作ったとしても存在します。そしてそれが一般的には30ミクロン程度から200ミクロン程度ではないかと言われています。もしこの隙間が30ミクロン程度であれば実は歯周病にほぼ影響しないということがわかっています。その程度の隙間では歯周病菌がほとんど繁殖しないからです。

逆に200ミクロンの隙間があれば、もうこれは非常にやばいです。その隙間の中を完全に掃除することはとても困難で、歯ブラシで掃除してその200ミクロンの溝の奥をきれいにすると言うのはちょっと不可能なんです。また、様々な掃除機具や歯科衛生士による歯のクリーニングを行ったとしても、200ミクロンの隙間の中は完全にきれいにするのは非常に困難を極めます。ですから、最初から隙間を作らないことなんです。治療をする際に、最終的なかぶせ物をする場合には、隙間がないような治療方法を検討するべきなんです。

現状、隙間を少なくする材料の1つがセラミックです。他にもゴールドを使ったかぶせ物と言う選択もありますが、昨今では金属アレルギーなどの様々な問題があり、メタルフリーという言葉があり、金属は出来る限り使わないで歯のかぶせ物を作ろうと言う流れになっています。もちろん金属には金属の良さがあり、それをうまく利用できればそれを選択するのもありだと思います。ですが、セラミックが最も現状では精度が高い、摩耗しにくいなど、総合的な能力は1位であると考えられています。

セラミックで作ったかぶせ物は一般的には誤差は30ミクロン位の隙間で済みます。ですからとても安心安全です。実際、私が臨床で多くの患者さんを見ていて気づくことですが、右上の前歯にセラミックが入っていて、左上の前歯にプラスチックや金属の保険の歯が入っている場合、歯茎の溝の炎症具合が明らかに差があります。

特にこれがプラスチックの白いものとセラミックでは差が出ます。これは一般の方が見ても多分わかるレベルです。プラスチックは吸水しますので、だんだん色も変色していくし、なんとなく黄色っぽい色になっていて、ざらざら感も出てきます。そしてそこに200ミクロンもの隙間があるとなると、ここでどんどん細菌が住みついてしまうわけです。

一方、セラミックの場合は細菌がそこに住むということはとても難しいですので、いつまでもつるっとした状態、衛生的な状態が続きます。
このような意味で歯周病対策としては、かぶせものはセラミックが現状ベストであると考えます。

宝くじと歯科診療

2024年1月18日

こんにちは、お元気にお過ごしでしょうか。一般的に歯の治療、歯医者に行くというと、多くの方は怖い、痛い、嫌だとそういうイメージを持っているのではないでしょうか。歯科医院にプラスのイメージを持っていけると良いですよね。今は悪かったとしてもだんだん良くなる。もっときれいになる。しっかり噛めるようになる。そしてその先には楽しく旅行に行けるなど。

ですが、その場ではやはり注射をしたり、場合によっては歯を抜いたりなどどうしても今まさに起きている事は、大抵の場合嫌なことなのかもしれません。そしてその治療は一回で終わる事はなく、2回3回と少なくともそれぐらいはかかったり、場合によっては何ヶ月もかかったりという状況になっているんだと思います。

ですが、この1回一回の積み重ね、治療が確実に進んでいくこと、それがやはり必要なので、そのようになってるわけで1回一回を大事に考えなければいけないですし、その時行って良かったと思えればいいですよね。

このようなことを私はよく自分の友人なんかと話をしたりしています。無論その友人と言うのは歯科医師ではありません。私の昔からの友人で今医院に時々通っている患者さんでもあります。そうすると彼曰く、なんかここに来るのに怖いなぁって思うけど、楽しいことがあったらもっと来やすいのにね。なんて気楽に言ってきます。そして、クラシックの音楽が流れてるけど、これ落語でも流したらいいんじゃないの?そしたら楽しいんじゃない、などと言われたことがあります。

そうですね。クラシックを流してリラックスしていただくことも1つだし、落語とかお笑いを用いて緊張をほぐして、楽しい雰囲気に持ち込む、というのも1つの手かもしれません。

当院では実は1つの試みをしています。それは年1会、患者様に宝くじを配っているのです。この宝くじは1月に皆さんに院内新聞を配布するときに同時に渡したりしています。この宝くじには番号が書いてあり、その番号の末尾数桁によって何かが当たったりするわけです。くじはハズレは無しです、少なくとも歯ブラシ1本はもらえます。一等、2等など上位の当選となると、たくさんの予防グッズがもらえたり、歯ブラシや歯磨き粉など家族みんなで使えるような衛生用品が当たったりします。特に小さいお子さんは宝くじを握り締めて医院にやってきます。

何が当たっているんだろう。何がもらえるんだろう?宝くじを受付に出して引き換えをしています。とても楽しみにしてくれています。このようなことでも少しでも人の気持ちが変わり、モチベーションが上がればとても良いことなのではないかなと私は思っています。少しでも人の幸福につながればと思っています。また子供だけでなく、大人でもやっぱりちょっと嬉しかったりという表情を浮かべます。

私は子供の頃、年賀状のお年玉付きの葉書が大好きでした。この葉書で何が当たっているかを一生懸命しっかりとチェックして見ていました。そんなに凄いものは当たった事は無いですが、記念切手と交換したりとかそういうことがありとても嬉しかった思い出があります。

そんな自分自身の気持ちもあり、この宝くじを年に1度行っているわけですが、歯科医院独特のどうしても怖い、痛いと言うイメージを変化させ、楽しんでいただけたらと思います。そして、それが多くの人のお口の健康や幸せにつながっていけば嬉しい限りです。

ただ、歯科衛生士が歯を磨きなさいというだけでは意気消沈したりという方もいるかもしれませんものね。

国民皆歯科検診

2024年1月14日

歯が悪いということは、危険です!そして全身疾患の予防の入り口は歯を守ることです

こんにちは、お元気にお過ごしでしょうか?あなたは国民皆歯科検診という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ここ1年位で国会などで取り上げられている内容です。すべての国民が歯科の検診を行い、歯の予防をした方が良いと言う考え方をもとに作られています。これはどういうことでしょうか?

例えば、今現状、国レベルやその地域都道府県や市レベルなどで様々な医療の検診が行われています。簡単な例を挙げると、メタボリックにならないよう、糖尿病に関して検診を受けよう、血液検査等用いて、定期的な健康診断を受けようなどです。このようなものは国やその地域の行政の補助の予算がついて、国民が1部負担もしくは無料で受けられるようになっています。そしてそのようなことを国が旗を挙げて国民に進めていくわけです。そうすると無防備な状態で、いきなり病気になって、高い医療費がかかってしまうというようなことにならないように、ということなのです。普段から悪くなる前に早期発見をしよう、予防をしようという考え方です。

このような早期発見や予防という概念は昔は全くなく、病気になってから初めて病院に行く、悪くなってから、病院に行って検査をしてみたらとっても悪かった、という状況だったかと思います。ですがどうでしょう、ここ数年は大抵の人が健康診断を受けたり、個人で人間ドックに行ったりといろいろなことをしていると思います。そうするといろんな検査を受けることによって病気が発見される。あるいは病気の可能性があるので、今から少しずつ気をつけていくということになるわけです。

もし骨粗しょう症のリスクがあれば、そのような薬を早めに飲み始める、普段から食生活に気をつける、適度な運動に心がけるなど、そのような行動に変わっていくわけです。そしてその結果、大腿骨骨折など大きな病気を未然に不足防ごうと言うわけです。

では、この国民皆歯科検診に関して考えてみると、歯の健康や歯の定期的な検診はどれぐらいの人が受けているでしょうか?たまに歯科医院に行き、歯の検査を受けているという人は、様々な統計から15%にも満たないと言われています。歯科医院に行くのは歯が痛くなった、詰め物が取れたなど何らかのやはり理由があって初めて行っているということです。悪くなくても定期的に行っている人はかなり少ないです。悪くなる前に定期的に検診に行き、未然に防ぐということは非常に意味があるかと思います。が、今回これを国を挙げてどうしてやろうとしているかというのには、実は大きな理由があります。それは様々な病気の原因のスタート、初期症状はお口の中をきれいにすることによって、お口の中を良い状態にすることによって防げる可能性があるということがだんだんわかってきたからです。

80歳になって歯が20本残っている人と80歳になって歯が5本ぐらいしかない人この2人を比べてみると、やはりはが20分本残っている人は健康的であり、あまり病気には罹患していません。一方で、歯が5本しかない人は様々な病気にかかっていて、何度も入院をしていたり、たくさんの病院にかかっていたりします。このようなことから歯が丈夫であれば、余計な医療費を支払わなくて済むということが言えるのです。

すなわち今、日本社会は極めて多くの莫大なる医療費に悩んでいるわけで、この医療費をどうしたら抑えられるかということが様々な観点から考えられ、実践が行われてきたのです。そしてその中で健康な状態である、すなわち、お口の中が健康な状態、歯がたくさんあるような状態であれば大抵の病気にはかかりにくいということが統計的にわかってきたため、国民の歯を守ることが最も実は近道であると言う戦略になったわけです。

大きな病気になって、それを治すための医療費を使う、もしくは様々な特殊な手術をより先進的に行うという努力よりはもっと簡単で入り口部分にあるお口の健康を守るというところをしっかりと押さえていこうと言う方針なのです。

あなたも自分のお口の健康をぜひ守ってください。口の健康は単に食事がおいしいということだけにとどまらず、ご自身が様々な病気にかかりにくいと言うとても大きなメリットがあるのです。
歯科医師による検診と歯科衛生士による予防処置を両方受けるとより安心です。

歯科衛生士の院内教育、技術について

2023年11月23日

あなたは、歯科医院に定期的に通っていますか?

歯科医院に定期的に通ってやる事は何か、それは歯科衛生士における定期的なクリーニングのことです。予防の掃除です。もしあなたが自分の車を2年も3年も全く洗わなかったとしたらどうなると思いますか?とっても汚れて、もしかしたら痛んでるかもしれないですよね。車検を受けないまま5年乗り続けてオイルも交換していない、大丈夫だと思いますか?やはり時々はチェックしたり、定期的なお掃除、手入れしてあげたいですよね。そのほうが安全ですよね。

私は人の体が清潔であるとか細菌が少なくて、安全である…お口の中で言えば歯の側面や溝のあたりがつるっとしていて、気持ちが良い、こういうことがとても大事だと思ってます。そしてそういうことが人の人生の豊かさを作っていると思います。

ですので、ぜひとも皆さんには定期クリーニングを受けてほしいと考えています。
そこで、その定期クリーニングと言うのは歯科衛生士が行う処置です。その歯科衛生士の定期クリーニングの処置のために院内では教育を行っています。具体的には2ヶ月に1回ほど外部から講師に来てもらい歯科衛生士の実技のトレーニングをやってもらっています。手がうまく動くことも大事です。いかに効率的で合理的にお口の中をきれいにできるのか。そして痛くなく。もっと言えばどうやったら患者さんが気分良く、その定期クリーニングを受けられるのか。いわばエステに行っているかのように。何となく気分良く、昼寝のような気分になれるか。

どうしても一般的には歯科医院に行くと痛い怖いというイメージがあると思います。そういう中で気持ちよく患者さんに通っていただく、特に虫歯があるわけではないのに、歯科医院に来いという事ですので、もしそれが歯を削っているわけでもないのにもかかわらず、とても痛かったら。それはちょっと残念となってしまいますよね。技術の研鑽がとても大事となってくるわけです。実際の歯科衛生士の研修の際には、技術のトレーニングを受けているわけですが、様々な実際の臨床的な質問はたくさんディスカッションされています。自分が見ている患者様がこのような状態でどうしてもこういう時にうまくできないと具体的な質問がよく出ています。このような患者様にどのように説明したら良いのでしょうか?とかです。

そして、私たちは学校を卒業すると、それ以降勉強しないと言う状況が起こりやすいです。
仮に勉強しなかったとしても、様々な社会を通して実学を学ぶと言う環境は確かにあるとは思うのですが、歯科医療は専門医療ですので、専門家としての学びがどうしても常に必要であると私は考えています。

それは新しいことを常に学んでいく、医療ですから、日々進歩していきますので、新しい技術、新しい認識、知識、見識を得ていくという事はとても必要だと思います。

あともう一つ学ぶことでの何が大切かというと、私たちはどうしても忘れていくと言うことです。いつの間にか忘れてしまう。せっかく学んだのにもかかわらず、常にいろいろな勉強していないとだんだんだんだん記憶はあやふやになっていきます。例えば包丁はいつしか、だんだん切れ味が落ちていきます。ですから、時々手入れをして切れ味を良くしてあげることが大事です。

歯科衛生士学校で学んだことが、だんだんといつしかあやふやになったり、いまいち自信がないようなことになっていたり、そういう意味において、確認復習ということもとても大事だと思います。

歯科衛生士学校を卒業して、お疲れ様といいたいところなのですが、また新たな成長が待っているのです。

Tooth decay and heart disease as an unhealthy molar with periodontitis due to poor oral hygiene health problem as a bacteria infection in the blood as a concept with inflammation as a 3D illustration on a blue background.

歯周病と全身疾患の相互作用、お口の中には細菌がいっぱい

2023年9月28日

体の中にはたくさんの細菌やウィルスが住んでいます。もちろんお口の中にいっぱい細菌がいるし、朝にはお口の中が細菌がいっぱいに増えているというのもイメージがつきやすいのではないでしょうか。細菌以外にもウィルスなど様々な微生物が体の中には共存共栄共存しています。共生しているのです。大人の場合、特に、体の中に共生して一緒についている細菌の数はとても多いです、びっくりするぐらい多いです。体を作る細胞の数より実は多いのです。

あなたは健康な体だから細菌が住んでいないと思っていませんか?そんな事は実はなく、そんな人もいないのです。健康な体と健康な細菌層がお互いに共生関係にあるのです。健康な細菌層であれば良いのです。逆に細菌層が乱れると病気を誘発すると言われています。特にお口の中の細菌は最近では特に注目されていて、この細菌が安全な状態なのか不安定な状態なのかによって様々な全身疾患が起きているのではないか、という研究が進んでいます。口の中は1000種類以上にも及ぶ細菌が住んでいます多様性に満ちた生態系となっているのです。

近年の研究ではお口の中の細菌を介して健康に悪影響与えることをがだんだんわかってきています。例えば関節リウマチや肝硬変、大腸がんなどの患者さんの腸内細菌にお口の中の細菌が多数検出されています。これが病気の原因と関係しているのではないかと言うことです。お口と腸はつながっていますが、お口の中の細菌を飲み込んで胃の方へと行くのですが、そのときには胃液でその細菌は死んでしまい腸まで届くという事は稀だと思われてきました。

しかしこの胃液のバリア機能が低下していると、病気でお口の中の細菌が腸まで進んでいくと考えられていたのです。ところがです、健康な人でも多数のお口の中の細菌が腸に存在するということがわかってきました。ですのでお口の中の細菌のバランスが悪い状態になっていると、それはすなわち歯周病のことを言っていますが、歯周病が進行している人の場合、糖尿病、肝疾患、動脈硬化、関節リウマチなど一見お口の健康と関連がなさそうな病気の発症や進行が起きているという分析がなされています。

以上のようなことから様々な分野の研究から警笛が鳴らされています。ですのでお口の中をきれいにすること、歯周病の進行に気をつける事は、全身の健康を守るという事と極めて重要な関係があると言うことなのです。