Tag Archives: 歯科矯正

矯正治療と虫歯治療が同時進行

2024年5月5日

こんにちは。先日矯正治療中の患者さんで、かぶせ物が外れ、虫歯治療をすることとなった方がいました。

この患者さんは、左の上にかぶせ物がもともと入っていました。そして矯正治療が半年ほど経ち、たまたまそのかぶせ物が外れたのでした。外れた中は金属の下が多少悪くなっていて、虫歯を削り、もう一度かぶせ直す治療が必要となりました。

そうするとあなたはもしかしたら、その場所だけを治療して、また再度矯正治療が進んでいくのではないかと思っているかもしれません。しかし、実際にはそのようにはなかなかいかないことが多いです。

すなわち矯正治療中に虫歯ができる、あるいは以前から治療してあったところが取れたりなどする場合、どのようにしたらいいかは簡単ではありません。

まず前提条件として矯正治療中に新たに虫歯ができると言うようなことができる限りないことが理想です。これはしっかりと歯磨きをやると言うことになるのですが、矯正治療中は器具を利用していますので、歯磨きが難しくなっていたり、歯と歯の間がおろそかになっていたりということが考えられます。また歯がだんだん動いていくので、歯の隙間の形も若干変化していくので、丁寧な歯磨きが常に求められます。

次にもともとかぶせてあったものが外れてくる、あるいは悪くなっていた、ということはしばしば実はあります。これに対しての対処なのですが、まずそもそも矯正治療を開始する前に、詰め物を全部外してしまう。そして一時的な詰め物をすると言う方法もあります。しかし、これをやるとなると大工事になる患者さんもいて、現実的ではない場合が多いです。途中で外れるからといってその心配だけのために、すべてのかぶせ物を一旦外すと言うのは、いかがなものかということです。しかし途中で外れてしまい苦戦すると言う状況が起きるわけです。

今回の場合はどのようになったかといいますと、その一部の虫歯になっている歯をまず基本的な治療をします。そして、完全なかぶせ物を作らず、土台部分を元の歯と同じ位の大きさまで作り上げ、もう一度そこに矯正の器具を合わせ直すわけです。そして矯正が最終的に終了してからそこのかぶせ物は作り直します。

もし一旦これを完全にかぶせてしまった場合、実は困ることが起きる可能性があるのです。それはどういうことかといいますと矯正が進んでいき、最終的な治療が終わった段階で、そのかぶせ物をもう一度やり直しをしなければいけないかもしれなくなるのです。それは全体の歯が少しずつ動いていきますので、そうすると最終的な上下の噛み合わせの形をもう一度作り直さないと、正確には噛まないということが起きるからです。

ですが、今回の場合は矯正の治療も虫歯の治療も当院で行っていますので、それを総合的に判断して治療計画が進んでいきます。

一方、たまに以下のようなことがあるのです が、他院で矯正治療中なのだが、矯正治療中に歯が悪くなったので、この虫歯の治療をやってほしいと言う依頼が来ます。そうなると実はこれは矯正の治療の計画の中で、どのように虫歯の治療を処理していくのかということがありますので、分業するのは実は難しいです

そのような点で私は、矯正治療と虫歯治療はできる限り、同じ歯科医院で行うことをお勧めしています。

歯と無呼吸症の関係

2024年3月28日

こんにちは、あなたは無呼吸症という病気をご存知でしょうか?

ある意味とても有名な病気です。それは以前新幹線の運転手がこの病気であることを知らず、新幹線を運転していて、その運転中に何時間も意識を失ったままの状態で勤務していたということが報道されたことがあったのです。この事件を機に無呼吸症に対する治療と言うことに関しては、かなり注目度が高くなっていきました。

具体的には呼吸器内科などで睡眠の質を測る検査などをするわけです。簡単な簡易検査と言われるものは、自分で自宅に装置を持ち帰り、呼吸がどのようになっているかを調べるわけです。一方、さらに詳しい検査としては入院して様々な器具を体に取り付けより厳密に無呼吸が起きていないかを調べると言う検査もあります。そしてその検査の結果によっては様々な対策が打たれます。その対策治療法としては、シーパップと呼ばれる睡眠時に常に酸素マスクをつけると言う方法があります。もう一つは無呼吸用マウスピースをつけて夜間に寝ると言う方法です。

この夜間寝る際にはめるマウスピースは歯科医院にて作るものです。これを無呼吸用マウスピースと言います。このマウスピースをはめることによって、下顎の位置をやや前に出し、舌が舌根沈下と言う状態、気道を閉めてしまうような状態、を防ぐようにするものです。喉の奥には空気が通る気道と言う道があるのですが、寝ているときに肥満や糖尿病など様々なことが原因で舌が深く下のほうに沈んで、物理的にも重さで下のほうに下がっていくわけです。そしてその下がった分、気道が閉められ、ついには、その気道が閉まってしまう、空気が通らない、息ができないと言う状況が起きることがあるのです。

そのためマウスピースを使うわけです。ですが、ここで1つ大事なことを皆さんに知っておいてほしいことがあるのです。このような呼吸障害が起きるか起きないかの1つは、よく言われている事は肥満です。が、それ以外にも歯科的には重要なことがあり、それは歯があるかないかなのです。歯がしっかりと全部あれば、そのような状況は起きにくいし、逆に歯の本数が減っていたり、歯周病が進行しているなどの状況の場合は非常に不利であると考えます。このことは特に呼吸器内科などで言われることではないです。が、歯科的には歯の本数が少なくなれば、なるほど、この無呼吸用マウスピースを入れたからといって安定するわけがないということが単純にわかります。

マウスピースは安定して固定するためにはしっかりとした歯が必要なのです。歯があまりない、あるいは歯がぐらぐらしていればマウスピースを入れたとて、なかなか安定しませんし、患者さんにしてみればマウスピースを入れてもしっくりこない。痛い苦しくて外してしまうと言うことになってしまうのですですので、歯がしっかりとあるかどうかというのは命に関わることなのです。

歯がしっかりとたくさんあるかないか。それと無呼吸症の症状が出るか出ないか、あるいは治療を受けたとしても安定するかは重要な関係があります。

また、歯並びが綺麗な人は無呼吸用のマウスピースを使わなくとも、下顎が前に出やすいために気道が確保されやすいです。逆に歯並びが悪い人は下顎がまっすぐ前に出にくいために気道は広がりにくいのです。この差は日々毎日繰り返す睡眠の質をよくも悪くしていますので、命に関わっています。たくさん歯が残っている事はもちろん、歯並び噛み合わせが良いことも自分自身の寿命に大きく関わっていることを知っておくべきです

インビザラインの終了と保定

2024年3月24日

こんにちは、先日インビザラインの治療を2年ほど受けて終了になった患者様がいました。

この患者様は長きにわたって頑張っていました。マウスピースを使い終了となりました。途中あまりマウスピースができない期間もありなかなか治療が進まない時期もありましたが、最終的にはゴールしました。

インビザラインの治療の場合には、歯の表面にアタッチメントと言われる小さなプラスチックのようなものがくっつけてあります。白いプラスチックです。凹凸型のものです。この凹凸の引っかかりを用いて、マウスピースが歯をタイトに押していくわけです。ですが、終了したのでこのアタッチメントを外す段階となりました。

アタッチメントを全て削り取り、歯の表面や歯茎を今一度もう一度磨いて仕上げをします。そしてその状態を確認してもらい、最終的な終了となりました。

そして終了後は安全のため、今まで使っていたマウスピースをしばらくは入れていてもらいます。これは矯正歯科の世界では専門用語として保定と言われています。治療は終了しているのだが、安全のためにしばらくは装置を使っていてくださいということです。このプラスチックの枠の外からどこか出て行かないでねということですね。

もし治療が終了してから全く保定をしないとなるとやはり心配です。人間の体ですので、復元力がありますから、元の昔の位置に若干は戻ろうとします。これは良し悪しでして、生理的に安定する位置を求め、ほんの少し移動するのは異常ではありません。ですから最初計画を立てた理論上の理想の位置を強制治療としては目指すのですが、その最も理想の位置から、実際の人間の体は生理的に様々な動きをするので、若干はずれます。遊びがあると言うことです。例えば車のハンドルでも若干遊びがなければとても運転はしづらいと思います。

それで、若干の生理的な動きで、歯が動くのは問題ないのです。それは0.2ミリとか、それぐらいの単位のことですですが、それがもっとどんどんずれていくとなるとちょっと問題です。例えばもともと前歯がとても出ていて、それがどんどんと前のほうに戻っていったとなるとちょっと寂しいですよね。ですので、保定のマウスピースをしばらくは入れてて大丈夫か、と言うことをやるわけです。

保定は最初は24時間できる限りやってたほうがいいです。インビザラインの理論上では20時間以上1日あたり入れていると言う考え方です。20時間位という事は食事をしたり歯磨きしたり外す時間があり、それ以外の時間をほぼ入れているということですので、まぁほぼ24時間入れる気持ちでやってほしいということになるかと思います。

そしてその保定を2、3ヶ月やって問題がなければ、時間を16時間位、12時間位、6時間位とどんどん減らしていき、半年から1年ぐらいは夜寝るときの6時間から1時間位で一応念のためと言うのが大体の頃合いです

さらに1年経ってその先どうするかと言いますと、週に3回ぐらいは2、3回ぐらいはちゃんと入るかどうか一応念のため入れてみて欲しい。夜だけでもいいので。という感じになるかと思います。
そうするとじゃあその先どうしたらいいんですかとなりますが、理想としては10年とか20年とかずっといつまでも入れてたほうがいいと言うことに学会的にはなってます。その辺は自分の生活スタイルと言うものもあるでしょうから、毎晩そんな事はちょっとできないという人もいるでしょうから、昼間に2時間位時々入れるとかそういうこともあってもいいと思いますし、1週間にいっぺんだけちゃんと入るか確認して6時間ぐらい入れているなどと言う人もいます。

また逆に全く入れてないと言う方もいます。それはもう10年以上経って特に異常も感じないし、変化も感じないので、まぁこのままでも大丈夫じゃないかと思ってとりあえず使っていないということです。

またこの保定はマウスピースは消耗してだんだん壊れてきますので、時々作り直していくことが必要であり、都度費用がかかります。どれぐらいそのマウスピースは持つものなのかについて少しだけ触れますが、これはかなり個人差があります。噛み合わせが強い歯ぎしりが強ような人だと2、3ヶ月で割れてくる人もいますし、1年ぐらい全くびくともしないという人もいます。

tooth model with metal wire dental braces on blue background.

矯正治療中、針金が当たって痛い

2024年3月21日

こんにちは。先日見た患者さんで唇の裏に針金や器具が当たるようで、痛いと言う方がいました。

この方は右上の前歯がとても内側の奥のほうにずれ込んでいて、一方で、犬歯は前のほうに飛び出ていると言うような状況の人です。とてもズレが大きいので、この方は針金を用いて歯を治療しています。中学校2年生です。

一般的に、矯正治療を行う場合、インビザラインのようなマウスピースタイプのものでやる場合、とワイヤーを使って歯を並べる場合があります。成人矯正の場合はこの2つの方法に大きく道が分かれます。ズレが小さければインビザラインのような方法も1つの選択となりますし、とても良い方法となります。しかし、歯の移動量が大きい場合、もしくは噛み合わせが深い場合等は、ワイヤーを用いた場合がより確実です。

この患者さんの場合、小学生の頃から見ていたのですが、小学生の時の一期治療でさほど真面目に装置を使っていなかったために(取り外し型)、このまま2期治療で矯正矯正をやっていく場合にインビザラインのような取り外し型よりも、針金をつけて固定してしまった方が良いであろうということと、前歯の前後的なズレが大きいために、針金を選択した方がより成果が出るであろうと言うような状況の中で、針金を使っています。

今回の主訴である当たっていたいと言うのは、針金をつけて初めてから最初の3日目ぐらいに起きました。最初針金をつけるとやはりどうしても気になってしまいます。そしてつけた当日その場でどこか引っかかるところはないか?痛くないか?などとは確認するのですが、その場ではまだそれほど気にならないのです。何かあるなという事はわかるのですが、痛いほど気になると言うことや、何か唇が押されているほどでは無いのです。そして3日ほど経つと、だんだん唇が閉まってきますし、針金も微妙に動くのです。

金具がどうして動くのか?それは金具が外れるわけではなく、歯がほんの少し動くために、相対的に針金の位置も変わっていくわけです。それは0.2ミリとかごく小さな量なのですが、それでもその変化によっては本人がとても気になる時があります。

実は1ミリ以上動いても全く気にならない状況もありますし、ほんの少し0.2ミリ動いただけでも、なんか当たってる痛くなるんじゃないか?と言うようなことも起きるのです。様々です。

このたびはどうしたかといいますと、まず歯磨きの指導を行いました。歯磨きが丁寧にできているかどうかによっても、実は痛みは出にくいのです。ですから歯磨きができているのかどうか気になって、全く歯磨きをしていなかったなどとなると、多少の炎症が大きな炎症になることがあるために、歯磨きが正しくできているか。具体的には弱い力で丁寧に磨く。普通5分かかるけど、歯磨きが10分はかかるよと言うような事は改めて確認をしました。

次に針金自体を長さを調整する必要があるかのチェックです。今回の場合は、長さほとんど調整する必要はなかったので、ごく少量の微調整になりました。また針金を抑えるゴムを新しいものに交換してできる限りずれることがないようにしました。

次に犬歯あたりの金具が1番気になるようだったので、そこにプロテクトする粘土のようなものを使うことを説明しました。この粘度と言うものは、お口の中に、針金が付いているときに、カバーとして、自分で丸めてくっつけるようなものが実はあるのです。口の中に使うものですので、もし間違えて飲み込んでも問題のないものです。これを米粒1粒程度小さくつまんで金具の表面に自分でくっつけるわけです。ただ粘土をつけているだけですから、食事をしたりしゃべっている間に外れてきます。そういうものです。

ですが、物理的にカバーをしているために擦れたりしないため、炎症が取れていきます。そうすると常にこの粘度のカバーをする必要はなくて、どうしても気になるな、痛いなぁと思う時だけすればいいわけです。

多くの場合、ほとんどの患者さんはこの粘土を2.3回使ったらもう後はそこまで痛くならないから大丈夫かなと思ってわなくなることが多いです。少ないですが、ずっと使い続ける人も1部います。ずっとといってもそれは2週間位のことです。

矯正治療と後戻り

2024年3月14日

先日、21歳の男性の患者様が来られました。この方は小学生から中学生にかけて矯正治療を行っていました。その後は定期的なクリーニングでずっと通っています。

お口の中を見ると、下の前歯あたりは残念ながら少し乱れています。矯正治療が終わり、針金を外し、最初のうちは特に問題はありませんでした。矯正終了後のマウスピースもある程度使っていたようです。

しかし残念ながら少し下の前歯が乱れていました。

矯正治療というものは大抵の場合、針金をつけたりして行われるものです。そして歯を動かしていくわけです。もし針金でない場合は何枚ものマウスピースを順番にはめていき、針金の代わりに歯を押して歯を移動させるという方法もあります。

いずれにせよ、外から力を加え、針金でなどで歯を動かしていくわけですが、この動かす期間は約2年位と考えてください。どうして2年なかといいますと、歯が動くということは、歯の周りの骨の細胞が活性化し、新しく骨ができてそして安定する、そういった生物学的なプロセスを踏まえて歯が良くなっていくのですが、その時間というものは、短すぎても長すぎても良くないのです。ゆっくりと着実に動かしていき安定していく。この時間は約2年位もし短すぎれば、それはちょっと無理があるスピードなのかもしれません。

そして長すぎる場合は、いつまでもその歯を揺らしてしまうために、骨の安定感が悪くなるかもしれないのです。ですので、大体そのような目安の期間があり、いつまでもダラダラとやると言うものでもないですから、患者さんは必ず約束の日に来て、確実に予定通りに治療が進むことを心がける必要があります。これを守らなければ治療の成果はいまイチとなります。

さて、先程の患者様にいろいろ聞いてみると、矯正終わった直後は頑張って後戻り防止用のマウスピースを入れていたけれども、途中から油断して入れなくなっていて、ある時あー少し戻ったかなぁと思ったけどもまぁこれぐらいなら大丈夫かと思って油断していましたと。そしてさらにずれたときに親に注意され叱られ、急いで毎日夜入れるようにしていたと言うのです。

結果的には大きくはないけども、若干はずれ、本人曰くそこまでは気にならないので、これぐらいなら充分きれいになったと思うということでした。

どうしても人間の生活行動ですので、必ずこうしろと人から命令されたからといって、親から言われたからといって、ドクターから言われたからといって、全てが守れるものでもありません。例えば英語のテスト100点を取ると言うことを目標とし、一生懸命単語を覚えるわけですが、90点なら取れるかもしれないわけで。

常にある程度の後戻りと言うものは存在しますし、後戻りしていないとしても、加齢とともにまた様々なことが起きる可能性があるので気をつけたいものです。特に気をつけるべきは以前にも書いていますが、鼻呼吸と舌の上顎につけている位置です。

矯正治療には費用がかかる。安い矯正治療で治るとかいう事は無い。

2024年3月10日

こんにちは、先日訪れた保護者の方から費用をあまりかけないで矯正治療をしようと思っている、どうかと相談を受けました。そのお子さんは今まで一期治療で小学校低学年から小学校高学年まで治療を受けていました。そしてその先中学生になってから次の段階の2期治療を受けようかどうかと言うところで迷っていました。

そしてお母さん曰く、よその医院でもっと安く治療ができると言う話を聞いたと言うのです。その話を具体的にどのようなことかを聞いてみると、マウスピースのような枠を数万円で買って、それを自分で使ってもらうと言うものでした。そうすればだんだん良くなると言うことなのです。

私は矯正歯科は専門ですので、その話が大体どういう流れでそういうことになっているのかはなんとなく想像がつきます。また、そのような類の話を他の保護者の方からも聞いたことが何度かあったり、あるいは本人がそのようなことを患者さんが友達から聞いたと。それはちょっと危ないなと言う事はすぐにわかります。

すなわち、矯正はあまり専門でやっていない医院の場合、マウスピースのような枠だけを売っていて、実際にはその具体的な使用方法の指導等がいまいちで、あまり実際には効果が出ないと言うのがよくあるのです。まず第一に考えられることとして、マウスピースを夜だけ入れてれば治るとか、そのような簡単な事は無いわけです。

もしそれでうまくいくのであれば、矯正の勉強を我々ドクターがかなり長い時間費用をかけて習得していると言う事は全くないと言う話になってしまい大きな矛盾なのです。またマウスピースのようなものをはめる矯正治療はあるのですが、それには一緒に付随したトレーニングメニューがあり、筋肉を鍛える方法が一般的ですが、これをしっかりと指導説明することが実はかなり難しいです。これらの指導をできるようになるためのトレーニングを術者が、そもそもしっかりと受けていなければ、そのようなことを患者さんに教える事は難しいです。またこれはちょっと文章で紙に書いて渡したから、じゃあ明日からやってねと言うような簡単なものではありません。

あなたはどうせなら費用がかからず安いほうがいいと思うかもしれません。ですが、きちんとしたものにはそれなりに材料や教育のためのコストがかかっていて、それがとても安く出ていると言う事はやはり無いのです。今ネットなどで、例えばこのタブレットを1ヵ月飲めば2キロ痩せるとか、そのようなものがいっぱい出回っていますがそのようなものがほんとに果たしてうまくいくでしょうか?もしかしたら100人に1人うまくいくのかもしれませんが、大抵の場合はそれはうまくいくわけがないわけです。

しかし、このようなまやかしダイエットの方法こそがひたすらたくさん宣伝が出ています。もうこれでもかと言う位しつこい位宣伝がネット上に飛び交っています。ここまで毎度毎度宣伝を見てしまうと、もしかしたらうまくいくんじゃないかと洗脳されていくわけです。やはり人間楽して痩せたいとか費用もそんなにかからずに良くなるなら、それに飛びつきなくなってしまう。

ですが、皆さん医療と言うものはそのようなわけにはいかないので、十分に注意が必要です。矯正と言うのは塾に行って勉強するのに似ていると私は思います。1年2年いきます。宿題も出ます。やればやっただけ成果は出ます。やらなくて成果は出ません。時間は必ずかかるものです。時間がかかりだんだんと成績が上がっていくと言うものだと思います。毎日ちょっとだけやれば成績があるよ、そんな事は無いのです。塾に行けば行っただけ。必ずそこには様々なコストがかかっているはずで、それが安いということは無いです。とても安い先生とそれなりの費用の先生、どちらの塾で本当に結果が出るでしょうか。冷静に考えればわかることなのですが

マウスピース矯正とワイヤー矯正の併用

2024年2月22日

マウスピース矯正にはマウスピース矯正の良いところがあります。またワイヤー矯正にはワイヤー矯正の良いところがあります。

その患者さんのお口の中に状況にもよるのですが、ワイヤーが向いている、もしくはマウスピースが向いていると言うような事はあります。そしてこの2種類のやり方、すなわちワイヤー矯正とマウスピース矯正これを両方いいとこ取りしてやると言う方法も実はあります。

それは最初ワイヤーである程度並べていき、難しいところを超えるところまではワイヤーで行きます。そして、中盤に差し掛かってからマウスピースに取り替えてしまうのです。

最後までワイヤーで行ってもいいんじゃないかと思うかもしれませんよね。けど、最後の微妙な固定はマウスピースの方が良い場合もあるのです。

今示した例は最初ワイヤーでスタートし、途中でマウスピースに交代し、マウスピースで最後まで終了していくと言う方法です。その逆も実は存在します。最初マウスピースでスタートし、途中でどうしても乗り越えられないところが残ったところだけをもう一度針金で最後上げていくと言うこと。

またもっと別なパターンもあります。マウスピースでスタートし、途中で1度ワイヤーに変わり、またそのワイヤーを外して、マウスピースに戻る。

なんだかとても複雑な話ですよね。そうなんです。人の体って予定通りではなく、みんなそれぞれバラバラで違うんです。複雑なんです。またどの道具を使ったら確実に治るとか言うものでもなく、その人の体によってやはり矯正の限界というものがあり、どこまでも歯や顎が自由に動くわけではありません。

例えて言えば、美容外科で顔をあの芸能人にそっくりにしろと言っても、そんなこと起きるわけないですよね。その人固有の個性があり、その個性を生かした中でより良い状態は持っていく、より安定した状態へ持っていく、より健康的な状態へ持っていくと言うことなのです。どこまでも好きなところへ行くと言うわけでもないです。それがその人らしさ、その人を尊重しているということだと思っています。

またどの装置が良いのかと言うのは、微妙な場合があり、実際にやってみて、途中でやっぱり変えたほうが良いとか、そういうことも起きたりします。最初から全てがわかるわけでは無いのです。患者さんからしてみたら、もしかしたらどうして途中で装置を変えるんですか?と思うかもしれません。

ドクター側からしてみれば、人間の体で一人一人違うので、全く同じ形の車を修理しているわけではありませんから、同じ方法で全部うまくいくということはあるわけがないと言う前提です。実際にその1人の人を見てみてやってみて、初めてわかるということがあります。

例えばの例で言うのですが、私は患者様に入れ歯を作ることがあります。そして1ヵ月2ヶ月とかけて入れ歯を作るわけですが、その中でなんとなくその人の顎の動きや噛み癖、特徴なんかがなんとなくわかるわけです。そして1つ目の入れ歯ができて、それで確かに大体はうまくいくのですが、半年後にもう一度新しいのを作ることになったりします。

その時には前にはこうだったから、多分こうなるんじゃないかとか、またいろんなことがわかって、もうちょっとこういう風にしといてもいいかなといろんな予測が立つわけですね。そうやって1人の患者さんに1度作ってもう一度入れ歯を作るなんて事はよくあることなんです。けど、人間だから多分そうやって作っていくのがいいんじゃないかなと私は思うんです。

もし仮に1回だけしか作らなかったとしても、やはりその作ったものを何度も調整したり様子を見たりするわけで、全く新しく作り直すわけではないけれども、問題が起きなかったとしても時々は経過を見てみたいと思うし、ドクターとして。

歯科矯正と歯をできる限り、抜かない方法

2024年2月11日

前回の話に続き、抜歯を避ける方法に関して話をしていきたいと思います。

専門用語でIPRという言葉があります。これはかなり難しい言葉で矯正をある一定以上やっている歯科医師、もしくは歯科衛生士等であれば知っている言葉です。ですが、一般の方にはちょっとわかりにくいので、もう少し噛み砕いてお伝えしていきます。歯と歯の間を0.3ミリほど削るということです。

もし歯と歯の間を0.3ミリほど削ると、0.3ミリの隙間ができるわけです。そうするとその分スペースができて重なってる歯を動かしやすくなります。ということは、歯を抜くよりもその方が合理的であると言う場合があるわけです。

ですが、0.3ミリですので、それだけでは足りない、たった0.3ミリでこんなに重なってるのに歯が治るのか?ということもありますですので、それは1カ所だけではなく、6箇所位とか10箇所位この作業を行うこともあるわけです。そうすると全体としては2から3ミリの隙間ができますので、これらを有効に使って引っかかりをひもといていけばきれいに並ぶと言う方法です。これで抜かないのであれば、とても良い方法の1つであると考えられます。

では、歯と歯の間を0.3ミリ削っても良いのか、大丈夫なのか?ということを気にされる人も出てくると思います。歯の表面には1ミリから2ミリほどのエナメル質と言う層があります。これはとても硬い層で、この層があればはとても虫歯になりにくいのです。ですので、このエナメル質のある範囲内で安全な範囲内を多少だけ削るということなのです。逆に言うと隙間を作るために歯を2ミリ削ったと言うのではちょっとだめな場合も考えられます。

だめな場合とはどういうことかと言うと、歯の神経が生きていれば、削る量は先ほど言った0.3ミリとか0.5ミリのような範囲になるかと思います。ですがもしその歯がもう既にかぶせ物がしてある、神経がないような歯であれば、1ミリ削っても問題は起きないわけです。ということは、全体の状況を考えて、どこをどれぐらい削って、隙間を作るかと言う治療計画になります。そして引っかかりを解くために合理的な場所と量を考えてこの削合を行っていくわけです。

どうでしょうか?あなたは削ると聞いて、ちょっと嫌な気もするかもしれません。ですが、どちらかの選択なのです。IPRと言うこの手法を用いるのか、前回にお話しした小臼歯を抜歯するのか。そうすると患者さんにどうしたいかって言うことを聞くのですが、大抵の場合はあまり抜きたくないから、0.3ミリほど角を丸める、IPRと言う方法を選択される場合があります。ですが、それでも小臼歯を抜歯してくださいと言う方も、実はちらほらいるのです。

どうしてそれでも小臼歯を抜歯してくださいと言う人がいるのでしょうか。それはやはりちょっとでも前に出ているのが確実に下がったほうが良いのではないかと思っているからと思われます。このようなことから人によってどのように物事を捉えているのか、感じているのかが、個人差がかなり激しいということです。ですので、担当のドクターとよく相談してどちらを選択するのかは考えていく必要があります。もちろん診断的に片方しか選べない場合もありますので、そのような場合にはそれを選択する可能性が高いです。

ちなみに、このIP Rと言う方法は最近とても増えてきている方法です。昔からあった方法なのですが。その理由として考えられるのは、マウスピース矯正の普及が1つにはあると思います。マウスピース矯正はこのIP Rと言う方法と相性が良いからです。また昔は、ワイヤー矯正は一般歯科の先生でやっている方が少なく、矯正だけを行う歯科医院で矯正を行っている場合には、一般歯科治療の一部にあたるIR Rを得意としていないためにほとんど行われていなかったと言う実情があります。

歯科矯正と便宜抜歯

2024年2月8日

矯正治療を行う際、歯を抜くことがあります。これは専門的な言葉ですが、小臼歯を抜くことが一般的には多いです。これから矯正をやってみようかなと思ってる人が、歯を抜くと聞くと、ちょっとびっくりするかもしれません。

ですが、歯を抜いて歯科矯正をしていくと言うのはとても多いやり方です。もちろん歯を抜かないでやると言う選択もありますので、それはまたおいおい詳しく説明します。

子供の歯科矯正の場合は、大人の永久歯を抜くような事はあまりお勧めしませんし、そんなに多くはないです。

しかし、体の完成してしまった大人の場合、もう骨がそんなに動くわけではないですし、曲がっている歯をきれいに並べるためには、どうしても歯を抜いて場所を作り並べていくと言う方法が取られることがあるのです。そしてなんとこの方法は、成人の矯正で、ほぼ8割以上行われている方法です。もしかしたらとってもびっくりしたかもしれませんね。

ではどのような場合に歯を抜くのでしょうか?それは例えば前歯がとても出っ歯のような状況だとして、それをできれば引っ込めたいと思っている。そうなると中に引っ込めてかければいけないのですが、前歯を抜くわけにはいかないので、前歯よりも奥にある小臼歯の部分を抜いて、その場所のスペースを利用して飛び出ている前歯を中へ引っ込めていくわけです。

あるいは歯が凸凹に乱れて並んでいる、このような場合も場所が足りないために、このようなことが起きていますので、場所の確保のために、小臼歯を抜歯します。そしてそのスペースを利用して、凸凹を紐解いてきれいに並べていくわけです

このように小臼歯を抜歯するケースはとても多いです。誤解して欲しくないのですが、歯を抜いた方が良いと言うことを積極的にお伝えしているわけではありません。抜歯をすると言う歯科矯正がどういうものなのかと言うことを説明するために、一般的な最も多い治療方法をお伝えしているのです。

実際の診療では、歯科矯正の相談を受けた際に、これは抜歯したほうがいいな、抜歯も選択の1つだなぁと思った場合、患者さんにその状況を伝え、どのように考えるかを一緒に話し合います。そうするとどうなると思いますか?あなたはもしかして以下のようなことを想像しているかもしれません。多くの患者さんが歯を抜くなんて怖いし、もったいないから嫌だ、と。

しかし実はそのようでもないのです、この出ている前歯は引っ込めたいので、歯を抜いてでもきれいにしたいと言う方が半分以上います。

あまりにも場所が足りない、スペースがない場合は、やはり抜歯をするのが良い方法でしょう。しかし、便宜抜歯をしなくても済む場合も多々ありますので、それはよく相談して治療方針を決めることです。

抜歯を希望する場合というのは多くの場合は、女性で、できる限り顔をコンパクトに見せたいと言う希望があるからです。歯を抜いて前歯を下げていけば、自分のなんとなく出ている感じの顔をより綺麗に見せれるということから来ていると思われます。

確かにそのようなことがあります。顔がコンパクトにまとまる場合には、これも正しい選択の1つであると考えられます。大人ですから、骨が今から形が大きく変わるということはないですので、便宜抜歯をして整然と並べることによって、歯周病や虫歯になりにくくなりますので、正しい判断だと考えます。

小臼歯抜歯しないでもギリギリ何とか並ぶ場合も結構ありますが、ここは悩みどころです。どうしてかといいますと歯を抜かないで全体を並べるということは全体的にはちょっと歯並びのカーブが大きくなるわけです。そうするとしっかりした顔になるということなのです。

歯を抜かないで並べたためにとても顔が大きくなったなどと言う事は決して起きないのですが、すべての歯が並んでいるアーチは、若干以前よりも大きくなるわけです。そうすると、ここからはその患者さんの気持ちの問題になってくるのですが、歯を抜くことがとても気持ち的に嫌だと思えば、抜かないで並べて、若干アーチは大きくなる。と言う方向で行くのか、。もしくは歯を抜いてアーチを若干小さくする。どちらを取るかなのです。

ですので、どちらが良いとか悪いとかではなく、どうしたいかと言う気持ちの問題です。
またその中間的なやり方というものが、最近はかなり研究開発されて進んできています。それは歯を抜かずに、歯の端を少し0.3ミリほど丸める方法です。

この小臼歯の便宜抜歯に関して、もう一つ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。それは小臼歯は2本連続で同じ形の歯が並んでいます。ほぼそっくりの形の歯が2本連続で誰でも上下左右に並んでいるのです。そうすると、これを2本のうち1本なかったとしても機能的にはさほど困る事は無いのです。

ですからこの場所が一般的には選ばれるのです。他の場所の歯を抜いても確かに良いのですが、それぞれの歯の形が違っていて、役目が違っているためにあまり選ばれないのです。

インビザライン、マウスピース矯正と一般歯科治療

2024年1月28日

こんにちは、お元気にお過ごしでしょうか。私はよく医院において矯正治療の相談を受けることがあります。

特に成人の方ではマウスピース矯正、例えばインビザラインの事ですが、このマウスピース矯正を受けたいと患者さんから相談を受け、そのための診断や計測をしていることがよくあります。このような患者さんと矯正について針金でやる場合や、それ以外の装置でやる場合、も一応説明をしています。そして、歯周病の問題点や既に治療の行われているかぶせ物を治すべきなのかとか、虫歯の治療などについてもアドバイスを行っています。

すなわち矯正治療とは言いますが、全体的な噛み合わせやお口の健康状態を総合的に判断する必要があります。親知らずを抜くのか抜かないのか、親知らずを抜くのがどの程度のものなのかなども含め。

そして成人の人の場合、特にインビザラインなどのマウスピース矯正を希望する人の場合は、針金までをつけてまで大掛かりなことをやるのはちょっとなんだか大変そう、だから、自分はちょっと不安だけども、マウスピースで治るんだったらやりたいなどと言う方も約半数います。

そして他の医院でも相談を受けた、もしくは自分が以前言ってた医院では、矯正についてあまりコメントをもらえなかったので相談に来た、などと言う人もちらほらいます。そして、このような質問をたまに受けることがあります、それは、矯正治療は矯正の専門の医院でやったほうが良いのでしょうか?

これに関して私は明確に1つ言えることがあります。それはインビザラインのようなマウスピース矯正の場合は、歯科治療を普通に行う一般歯科で矯正も行えるような医院でやることです。どうしてでしょうか?これには重要な理由があります。

インビザライン矯正マウスピース矯正で歯を動かす場合には、歯と歯の間を0.3ミリとか、0.5ミリほど角を丸めると言う作業があるのです。必ずしもすべての歯にやるわけではないのですが、成人の場合は多くの場合10本位の歯にはこれを行うことが結構多いです。

そうすると歯を歯科専用のタービンと言われる切削器具で0.3ミリほど削ると言うことになりますので、これはかなり微妙な量を正確に作業しなければいけません、普段歯の治療を行い、常に麻酔注射や歯を削る道具を使っている先生がやるべきです。

一方で、針金等のワイヤー矯正しかやっていない、もしくはインビザラインしかやっていないと言う矯正専門の医院では、歯を削る機会は極めて少ないです。ですから、正確に歯を削るのはかなり困難なことであると想像しています。例えば例を挙げると耳鼻科に行って目の検査をしてくれと言ってるようなものです。

耳鼻科の先生もドクターですから、目のことが全くわからないわけではないですが、それを専門にやってるわけでもないのでそこまで求められても困ってしまうと思います。できなくは無いでしょうが、それを正確にやれと言われるとちょっと困るのではないでしょうか。

またインビザラインではアタッチメントと言うプラスチックのような引っかかりをつける作業があります。これも一般歯科でよく行われるプラスチックを詰める治療の応用です。一般歯科では毎日何回もこのプラスチックを詰める作業は行われています。ですので、やはりその処置に慣れた先生がやるのが良いと私は思っています。

以上のようなことから総合的に言えることとしては、インビザラインのようなマウスピース矯正を行う場合は、一般歯科に行き、矯正治療をも行っている医院に行くべきであると言うことです。

一般歯科とは皆さんが普通に虫歯治療や歯周病の治療で行く歯科医院のことです。ここでは大抵の器具や材料があり、オールラウンドに治療が行われています。ただそこでさらに矯正治療も行っているかどうかはそれぞれの医院によって違います。ここでポイントとなってくるのが矯正治療も普通に行っているかどうかということです。

すなわち一般歯科で矯正治療は行っているのだが、それは月に1回だけ専門の先生が来てやっているとかではダメです。一般しかも矯正治療も両方常に行われていると言うような状態を意味しています。

子供のマウスピース矯正の場合には少ないですが、大人のマウスピース矯正の場合にはマウスピースで歯を動かした後に、歯の治療が必要になる場合が多々あります。それはもともと歯がいくつか治療してあるからです。そのもともと治療してある歯の形を新しく動かした場所で、もう一度形を変える必要があったり、かぶせものが古くなってきていて、かぶせ直す必要が起きたりするわけです。その状況の判断は一連の流れで行うべきですので、やはり虫歯の治療もインビザラインマウスピース矯正治療も両方できる医院に行くべきだと思います。