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歯科衛生士の定期クリーニング、歯茎の溝をいかにきれいにするか

2023年12月3日

先日いつも歯科衛生士の定期クリーニングを受けている患者様から質問がありました。

院内で歯科衛生士が約20分ほどのお口のクリーニングをするのですが、その際確認に行った際に、定期クリーニングを受けていても、虫歯になったりするのでしょうか?と言う話が出ました。
というのもこの患者様はいつも4ヶ月に1回ほど定期的にこられていたのですが、ある時、突然、歯の神経がとても痛くなり、結果的にその歯の根の神経の治療をしなければならなくなったことがあったのです。

そうなると、このクリーニングを定期的にすることの意味合いとは何でしょうか。1つは歯周病の予防です。予防といっても正確に言うと、進行を抑止するためのアンチエイジングと言う言い方ができると思います。20歳を過ぎてから人間の体の老化が始まると言われています。お口の中の場合、歯の周りの歯茎や骨は1年間に約0.1ミリ減っていくと言われています。0.1ミリと言えば10年経てば1ミリ、30年経てば3ミリ減っていると言うことです。ですが、先に出てきた定期クリーニングを受けていれば、この減る度合いを抑えることができたりします。0.1ミリ減るのではなく、0.05ミリに抑えられたりとかということです。ですので、確かに予防なのですが、予防したから全く悪くならないと言うような意味ではなく、0.1ミリ減るのをより減りにくく、抑えて0.05ミリの半分に抑えられたと言うことです。そうすると歯周病の進行を抑えていると言うことになります。この予防処置は皆さんぜひとも受けたほうが良いと考えます。

また虫歯予防と言う観点があると思います。定期的に細かいところを掃除していれば、虫歯になるリスクは落ちるということです。無論100%虫歯にならないということは言えないのですが、定期クリーニングを受けている人と受けていない人では、10年先に歯の喪失本数が倍以上違うと言うデータもあります。虫歯にならないためにも定期クリーニングを受けることをお勧めします。ですが、定期クリーニングさえ受けていれば、虫歯にならないということでもないですし、もちろん歯を磨かなくて大丈夫だということにはなりません。

そこでもう少し歯の定期クリーニングのイメージをより具体的に、そして本質的な部分を伝えていきたいと思います。歯の定期クリーニングは、歯の表面をつるっとさせると言うことを目指しています、つるっとしていれば、さらに汚れはつきにくいし、気持ちも良いですよね。お口の中が快適です。そして歯の周りには歯茎の溝があります。この溝がいかに綺麗であるかが重要です。どんな人でも歯の溝はあります。溝の深さは約4ミリ位あると言われています。健康な人で。健康であり、歯周病にかかっていなければ、4ミリ以下ということですが、汚れている、歯周病の傾向がある、病的である、と言うような状況であれば、その溝は5ミリ6ミリと増えていきます。

そしてこの溝の中を自ら歯ブラシできれいに掃除すると言うのはとても難しいのです。ちなみに電動歯ブラシを使ったからきれいになるかと言うと、それでもやはり難しいし、水流などを応用したウォーターピックなどでも実はあまりきれいにはなりません。このような器具は使うと快適な気分にはなりますが、本当に表面がつるっとした安全な状態になっているかどうか、それはなんとも疑問が残るのです。

例えば、車の洗車をしてワックスをかける。そうなると汚れも少なく、しかもコーティングされているので、その先汚れがつきにくいですよね。つるっとしたピカピカの状態ですしかしこのワックスが剥がれ、だんだん汚れがつき始めた状態を放置しておくと、さらにどんどん汚れていくのではないでしょうか。ですので、時々きれいに洗車したいですよね。歯も同じです。きれいにつるっとした状態に戻してあげたいのです。そして特に歯の溝は自分でやるのは難しいです。これを歯科衛生士が専用の器具を使ってできる限り、つるっとした滑沢な状態になるように機械などで磨いているわけです。そうすると溝の中の面がざらざらしているのではなく、つるっとした状態であれば、汚れはつきにくいです。この自分自身で磨きにくいところ、メンテナンスしにくいところをまさにやることがとても重要な意味のあるところです。

最初の話に戻りますが、歯の神経が悪くなったということに関しては、虫歯でなる場合もあれば、歯周病の進行でなる場合もありますし、それ以外にも親知らずがあって、押している場合、噛み合わせが強く歯ぎしりをしていた場合など、様々な状況があり、必ずしも新たに虫歯ができたから、神経が悪くなるわけでは無いのです。そのようなことから、歯の定期クリーニングを受けてさえいれば、神経は悪くならない、とは言い切れないのです。そしてリスクを下げることはできるのですが、100%と言うわけにはいきません。

このようなことから、どんなに車をきれいに洗って、ワックスをかけても、いつかはそのボディーは悪くなっていきますよね。それと同様なのです。様々なことがあり悪くなるリスクはあります。ですが、だからといって掃除しないと言うのはもったいない話ですいつもきれいにつるっとした状態で、快適に気分良く生活したいものです。

歯科衛生士の予防処置とマナー教育について

2023年11月9日

あなたは歯科医院にて歯の治療を受けたことがあるかもしれません。多くの人は歯科医院で治療したことがあるのではないでしょうか?では歯科衛生士による歯の予防処置を受けた事はあるでしょうか。

おそらく今現在、歯科衛生士の予防処置は多くの歯科医院でだんだん行われていますので、1回や2回は受けたことがあると言う人もいるのではないでしょうか。さらに定期的に、例えば4ヶ月にいっぺん、半年にいっぺんとか通って歯科衛生士の予防処置を受けている、そのような方はどれぐらいいるでしょうか?

日本ではこの予防処置がまだまだ定期的に受けている人が少ないと統計的には言われています。人口の約10%ほどではないかと言う数字もあります。一方、海外では例えばヨーロッパあたりでは30%とか40%ともっと何倍もの高率で受けているようです。

クリーニングとは単に検診をすると言うことではありません。検診と言うのは、虫歯があるかないか、歯周病の程度がどの程度になっているか、レントゲンを撮る、などあくまで検査です。検査をしてその結果でどうするのかと言うことを判断していくと言うことです。

一方、予防処置、定期クリーニングと言うのは、処置を行うことなのです。その処置とは歯科衛生士による歯のお掃除、メンテナンスです。この予防処置は歯を削るような事はありません。治療ではないと言うことです。ちょっと、もしかしたらわかりにくいかもしれませんが、違いがあるのです。治療と予防処置は違います。治療は基本的にはドクターがおこないます。

例えば、歯を削ると言うことです。あるいは歯を抜くと言うことです。悪い状態であれば何らかの医療的治療を行うわけです。一方、歯科衛生士による歯のクリーニング、予防処置と言うものは、歯を削っているわけではなくて歯についている汚れ、歯石などを機械で剥がしていき、きれいな状態にお掃除しているわけです。もしこれを家の工事で、例えば家の壁が壊れていれば、そこを新たに削ったり壊したりして新しい壁に完全に作り直す必要があるでしょう。しかし多少の傷や汚れであれば大きく壊す必要もないですし、そこを一生懸命磨いたり、新たにコーティングなどをすれば良い状態をキープできるわけです。

ですので歯科衛生士による定期的な予防処置は、基本的にあまり痛くはないし、ましてや強い痛みはないです。ですので、ぜひとも皆さん定期的に受けられることをお勧めします。

さて、当院ではこの歯科衛生士による定期クリーニング、予防処置に力を入れていますが、そのために歯科衛生士は、日々様々な研鑽を積んでいます。この研鑽の1つとしてマナーと言うものを特に勉強したりしています。もちろん、技術的なスキルアップも大切なのですが、マナー、患者さんとのコミュニケーション、接遇挨拶、立ち振る舞い、身なり、姿勢などは、入り口としてまず大切なことだと考えています。

そのために歯科衛生士を始め、多くのスタッフはマナー講師による教育を年に数回受けています。日曜日など休みの日にマナー研修講座を受けに行くこともありますし、院内においてマナー講師に来ていただき、皆で勉強しています。おそらく多くの年配の患者さんからしてみれば若い歯科衛生士は言葉がいまいち非常識であると感じたりするかもしれません。敬語がうまく使えない、もしくは敬語を一生懸命言おうとしているのだが、いつの間にか友達に話すような言葉が突然出てくる、やはり社会経験が少ないため、このような事は時々練習をしなければ上手くはなりません。また学校教育でもある程度は勉強しているのですが、やはり経験の数と言うものがどうしても大切だと思いますので、定期的にトレーニングをしていくわけです。

まだ拙い部分もありますが、若いスタッフが勉強していると言う事は、最近の世の中の流行の中では、ずいぶんと微笑ましい事ですので、どうぞ応援してあげて欲しいものです。