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矯正治療と輪ゴムをかける

2024年5月12日

先日中学校2年生の患者様の矯正治療を行いました。

その患者様は現在矯正治療中で針金を使って治療を行っています。針金をつけ始めてからは約1年位ですが、お口の中で上下に輪ゴムをかけると言う作業がありますこの輪ゴムは自分で毎日かけるものなのです。矯正をしたことがない方だと何のこと言ってるのかよくわからないかもしれませんが、矯正治療中には、単に針金をつけるだけではなく、自分で輪ゴムをかけたり外したりと言う作業があったりするのです。これはそれぞれ上顎、下顎の歯は、針金できれいになっていくのだが、上と下の関係は、顎の筋肉などで上下のバランスを作っていくわけですが、どうしても上下の関係がいまいちな場合、輪ゴムを使って補助的に斜めの方向などに力をかけたい場合が時々起きるのです。時々起きると言うのは大体30%位の患者さんにこの輪ゴムを使っていくステップがあります。

この輪ゴムは1日24時間のうちほぼずっとつけています。この輪ゴムを外すのは、ご飯を食べる時、歯を磨くときなど限られた時間であり、外れている時間はもしかしたら1日合計1時間程度ではないかと思われます。常に一定の力をかけ続けることが重要です。今私は輪ゴムと言っていますが、これは矯正の専用の輪ゴムです。普通に文房具屋などで売っている輪ゴムではありません。この輪ゴムは1日使うとだんだん伸びてくるので、伸びてくるといってもほんの少しのことです。しかしそのほんの少し伸びることによってゴムの力の加減が変わるわけです。ですので、毎日新しいゴムに本人は交換しなければなりません。本人はこちらから渡した輪ゴムが沢山入った袋をもらいます。ここが矯正の凄いとこで、弱いゴム、この矯正ゴムなのですが、弱い力で一定の力を持続的にずっとかけ続ける、1ヵ月2ヶ月とです。そうするとそれは筋肉の代わりとなり、顎の位置、骨の位置、歯の位置を動かし、新しい骨が添加し、歯茎ができてより良いバランスとなっていくのです。

逆にこのゴムを思いっきり強いゴムにして、ガンガン力を入れれば早く動くのではないかと思うかもしれませんが、決してそのような事は無いのです。弱い力を持続的にしかも一定の力でかけ続けるから、骨は形を変えて変化していくのです。強い力をかけると言うのはいわば骨折のような状態で無理矢理をして動いたらいいけど、それ、歯の下の骨が折れてるよ、と言う状態です。

で、元の話に戻りますが、この患者さんに改めてゴムを必ずしっかりやるようにと言う話をしました。本人に聞いてみると、大体70%ぐらいつけていると思うと、そしてお母さんに聞いてみるとあんまり見てないのでよくわからないけど、本人にはいつもつけるようにと注意しているとの事でした。矯正治療も1年ぐらい経つとなんとなく歯並びがきれいになってくる人も結構います。そうすると油断してしまうのです。大体なんとなくぱっと見て綺麗だから、まぁ大体きれいにどんどんなっていくんだなと確かに一般的な皆さんが見た場合には、まぁそこそこ綺麗と思うかもしれませんが、我々専門家としては噛み合わせバランスなんかを見ていますので、これではまだまだ不十分であり、もっと後もしっかりやっていたほうが良いであろうと判断しています。ですので、そのような場合は本人にゴムの必要性や将来それをしっかりやったかどうかが、自分の人生の差であり、今しかそれはできないこと。大人にもうなってしまえば、体は完全に完成してて、骨がそんなに簡単に動くわけはなく、歯を抜かない限りはもう移動させることができないと言う状況になると伝えています。

インビザラインの終了と保定

2024年3月24日

こんにちは、先日インビザラインの治療を2年ほど受けて終了になった患者様がいました。

この患者様は長きにわたって頑張っていました。マウスピースを使い終了となりました。途中あまりマウスピースができない期間もありなかなか治療が進まない時期もありましたが、最終的にはゴールしました。

インビザラインの治療の場合には、歯の表面にアタッチメントと言われる小さなプラスチックのようなものがくっつけてあります。白いプラスチックです。凹凸型のものです。この凹凸の引っかかりを用いて、マウスピースが歯をタイトに押していくわけです。ですが、終了したのでこのアタッチメントを外す段階となりました。

アタッチメントを全て削り取り、歯の表面や歯茎を今一度もう一度磨いて仕上げをします。そしてその状態を確認してもらい、最終的な終了となりました。

そして終了後は安全のため、今まで使っていたマウスピースをしばらくは入れていてもらいます。これは矯正歯科の世界では専門用語として保定と言われています。治療は終了しているのだが、安全のためにしばらくは装置を使っていてくださいということです。このプラスチックの枠の外からどこか出て行かないでねということですね。

もし治療が終了してから全く保定をしないとなるとやはり心配です。人間の体ですので、復元力がありますから、元の昔の位置に若干は戻ろうとします。これは良し悪しでして、生理的に安定する位置を求め、ほんの少し移動するのは異常ではありません。ですから最初計画を立てた理論上の理想の位置を強制治療としては目指すのですが、その最も理想の位置から、実際の人間の体は生理的に様々な動きをするので、若干はずれます。遊びがあると言うことです。例えば車のハンドルでも若干遊びがなければとても運転はしづらいと思います。

それで、若干の生理的な動きで、歯が動くのは問題ないのです。それは0.2ミリとか、それぐらいの単位のことですですが、それがもっとどんどんずれていくとなるとちょっと問題です。例えばもともと前歯がとても出ていて、それがどんどんと前のほうに戻っていったとなるとちょっと寂しいですよね。ですので、保定のマウスピースをしばらくは入れてて大丈夫か、と言うことをやるわけです。

保定は最初は24時間できる限りやってたほうがいいです。インビザラインの理論上では20時間以上1日あたり入れていると言う考え方です。20時間位という事は食事をしたり歯磨きしたり外す時間があり、それ以外の時間をほぼ入れているということですので、まぁほぼ24時間入れる気持ちでやってほしいということになるかと思います。

そしてその保定を2、3ヶ月やって問題がなければ、時間を16時間位、12時間位、6時間位とどんどん減らしていき、半年から1年ぐらいは夜寝るときの6時間から1時間位で一応念のためと言うのが大体の頃合いです

さらに1年経ってその先どうするかと言いますと、週に3回ぐらいは2、3回ぐらいはちゃんと入るかどうか一応念のため入れてみて欲しい。夜だけでもいいので。という感じになるかと思います。
そうするとじゃあその先どうしたらいいんですかとなりますが、理想としては10年とか20年とかずっといつまでも入れてたほうがいいと言うことに学会的にはなってます。その辺は自分の生活スタイルと言うものもあるでしょうから、毎晩そんな事はちょっとできないという人もいるでしょうから、昼間に2時間位時々入れるとかそういうこともあってもいいと思いますし、1週間にいっぺんだけちゃんと入るか確認して6時間ぐらい入れているなどと言う人もいます。

また逆に全く入れてないと言う方もいます。それはもう10年以上経って特に異常も感じないし、変化も感じないので、まぁこのままでも大丈夫じゃないかと思ってとりあえず使っていないということです。

またこの保定はマウスピースは消耗してだんだん壊れてきますので、時々作り直していくことが必要であり、都度費用がかかります。どれぐらいそのマウスピースは持つものなのかについて少しだけ触れますが、これはかなり個人差があります。噛み合わせが強い歯ぎしりが強ような人だと2、3ヶ月で割れてくる人もいますし、1年ぐらい全くびくともしないという人もいます。

tooth model with metal wire dental braces on blue background.

矯正治療中、針金が当たって痛い

2024年3月21日

こんにちは。先日見た患者さんで唇の裏に針金や器具が当たるようで、痛いと言う方がいました。

この方は右上の前歯がとても内側の奥のほうにずれ込んでいて、一方で、犬歯は前のほうに飛び出ていると言うような状況の人です。とてもズレが大きいので、この方は針金を用いて歯を治療しています。中学校2年生です。

一般的に、矯正治療を行う場合、インビザラインのようなマウスピースタイプのものでやる場合、とワイヤーを使って歯を並べる場合があります。成人矯正の場合はこの2つの方法に大きく道が分かれます。ズレが小さければインビザラインのような方法も1つの選択となりますし、とても良い方法となります。しかし、歯の移動量が大きい場合、もしくは噛み合わせが深い場合等は、ワイヤーを用いた場合がより確実です。

この患者さんの場合、小学生の頃から見ていたのですが、小学生の時の一期治療でさほど真面目に装置を使っていなかったために(取り外し型)、このまま2期治療で矯正矯正をやっていく場合にインビザラインのような取り外し型よりも、針金をつけて固定してしまった方が良いであろうということと、前歯の前後的なズレが大きいために、針金を選択した方がより成果が出るであろうと言うような状況の中で、針金を使っています。

今回の主訴である当たっていたいと言うのは、針金をつけて初めてから最初の3日目ぐらいに起きました。最初針金をつけるとやはりどうしても気になってしまいます。そしてつけた当日その場でどこか引っかかるところはないか?痛くないか?などとは確認するのですが、その場ではまだそれほど気にならないのです。何かあるなという事はわかるのですが、痛いほど気になると言うことや、何か唇が押されているほどでは無いのです。そして3日ほど経つと、だんだん唇が閉まってきますし、針金も微妙に動くのです。

金具がどうして動くのか?それは金具が外れるわけではなく、歯がほんの少し動くために、相対的に針金の位置も変わっていくわけです。それは0.2ミリとかごく小さな量なのですが、それでもその変化によっては本人がとても気になる時があります。

実は1ミリ以上動いても全く気にならない状況もありますし、ほんの少し0.2ミリ動いただけでも、なんか当たってる痛くなるんじゃないか?と言うようなことも起きるのです。様々です。

このたびはどうしたかといいますと、まず歯磨きの指導を行いました。歯磨きが丁寧にできているかどうかによっても、実は痛みは出にくいのです。ですから歯磨きができているのかどうか気になって、全く歯磨きをしていなかったなどとなると、多少の炎症が大きな炎症になることがあるために、歯磨きが正しくできているか。具体的には弱い力で丁寧に磨く。普通5分かかるけど、歯磨きが10分はかかるよと言うような事は改めて確認をしました。

次に針金自体を長さを調整する必要があるかのチェックです。今回の場合は、長さほとんど調整する必要はなかったので、ごく少量の微調整になりました。また針金を抑えるゴムを新しいものに交換してできる限りずれることがないようにしました。

次に犬歯あたりの金具が1番気になるようだったので、そこにプロテクトする粘土のようなものを使うことを説明しました。この粘度と言うものは、お口の中に、針金が付いているときに、カバーとして、自分で丸めてくっつけるようなものが実はあるのです。口の中に使うものですので、もし間違えて飲み込んでも問題のないものです。これを米粒1粒程度小さくつまんで金具の表面に自分でくっつけるわけです。ただ粘土をつけているだけですから、食事をしたりしゃべっている間に外れてきます。そういうものです。

ですが、物理的にカバーをしているために擦れたりしないため、炎症が取れていきます。そうすると常にこの粘度のカバーをする必要はなくて、どうしても気になるな、痛いなぁと思う時だけすればいいわけです。

多くの場合、ほとんどの患者さんはこの粘土を2.3回使ったらもう後はそこまで痛くならないから大丈夫かなと思ってわなくなることが多いです。少ないですが、ずっと使い続ける人も1部います。ずっとといってもそれは2週間位のことです。

矯正治療と後戻り

2024年3月14日

先日、21歳の男性の患者様が来られました。この方は小学生から中学生にかけて矯正治療を行っていました。その後は定期的なクリーニングでずっと通っています。

お口の中を見ると、下の前歯あたりは残念ながら少し乱れています。矯正治療が終わり、針金を外し、最初のうちは特に問題はありませんでした。矯正終了後のマウスピースもある程度使っていたようです。

しかし残念ながら少し下の前歯が乱れていました。

矯正治療というものは大抵の場合、針金をつけたりして行われるものです。そして歯を動かしていくわけです。もし針金でない場合は何枚ものマウスピースを順番にはめていき、針金の代わりに歯を押して歯を移動させるという方法もあります。

いずれにせよ、外から力を加え、針金でなどで歯を動かしていくわけですが、この動かす期間は約2年位と考えてください。どうして2年なかといいますと、歯が動くということは、歯の周りの骨の細胞が活性化し、新しく骨ができてそして安定する、そういった生物学的なプロセスを踏まえて歯が良くなっていくのですが、その時間というものは、短すぎても長すぎても良くないのです。ゆっくりと着実に動かしていき安定していく。この時間は約2年位もし短すぎれば、それはちょっと無理があるスピードなのかもしれません。

そして長すぎる場合は、いつまでもその歯を揺らしてしまうために、骨の安定感が悪くなるかもしれないのです。ですので、大体そのような目安の期間があり、いつまでもダラダラとやると言うものでもないですから、患者さんは必ず約束の日に来て、確実に予定通りに治療が進むことを心がける必要があります。これを守らなければ治療の成果はいまイチとなります。

さて、先程の患者様にいろいろ聞いてみると、矯正終わった直後は頑張って後戻り防止用のマウスピースを入れていたけれども、途中から油断して入れなくなっていて、ある時あー少し戻ったかなぁと思ったけどもまぁこれぐらいなら大丈夫かと思って油断していましたと。そしてさらにずれたときに親に注意され叱られ、急いで毎日夜入れるようにしていたと言うのです。

結果的には大きくはないけども、若干はずれ、本人曰くそこまでは気にならないので、これぐらいなら充分きれいになったと思うということでした。

どうしても人間の生活行動ですので、必ずこうしろと人から命令されたからといって、親から言われたからといって、ドクターから言われたからといって、全てが守れるものでもありません。例えば英語のテスト100点を取ると言うことを目標とし、一生懸命単語を覚えるわけですが、90点なら取れるかもしれないわけで。

常にある程度の後戻りと言うものは存在しますし、後戻りしていないとしても、加齢とともにまた様々なことが起きる可能性があるので気をつけたいものです。特に気をつけるべきは以前にも書いていますが、鼻呼吸と舌の上顎につけている位置です。

矯正治療には費用がかかる。安い矯正治療で治るとかいう事は無い。

2024年3月10日

こんにちは、先日訪れた保護者の方から費用をあまりかけないで矯正治療をしようと思っている、どうかと相談を受けました。そのお子さんは今まで一期治療で小学校低学年から小学校高学年まで治療を受けていました。そしてその先中学生になってから次の段階の2期治療を受けようかどうかと言うところで迷っていました。

そしてお母さん曰く、よその医院でもっと安く治療ができると言う話を聞いたと言うのです。その話を具体的にどのようなことかを聞いてみると、マウスピースのような枠を数万円で買って、それを自分で使ってもらうと言うものでした。そうすればだんだん良くなると言うことなのです。

私は矯正歯科は専門ですので、その話が大体どういう流れでそういうことになっているのかはなんとなく想像がつきます。また、そのような類の話を他の保護者の方からも聞いたことが何度かあったり、あるいは本人がそのようなことを患者さんが友達から聞いたと。それはちょっと危ないなと言う事はすぐにわかります。

すなわち、矯正はあまり専門でやっていない医院の場合、マウスピースのような枠だけを売っていて、実際にはその具体的な使用方法の指導等がいまいちで、あまり実際には効果が出ないと言うのがよくあるのです。まず第一に考えられることとして、マウスピースを夜だけ入れてれば治るとか、そのような簡単な事は無いわけです。

もしそれでうまくいくのであれば、矯正の勉強を我々ドクターがかなり長い時間費用をかけて習得していると言う事は全くないと言う話になってしまい大きな矛盾なのです。またマウスピースのようなものをはめる矯正治療はあるのですが、それには一緒に付随したトレーニングメニューがあり、筋肉を鍛える方法が一般的ですが、これをしっかりと指導説明することが実はかなり難しいです。これらの指導をできるようになるためのトレーニングを術者が、そもそもしっかりと受けていなければ、そのようなことを患者さんに教える事は難しいです。またこれはちょっと文章で紙に書いて渡したから、じゃあ明日からやってねと言うような簡単なものではありません。

あなたはどうせなら費用がかからず安いほうがいいと思うかもしれません。ですが、きちんとしたものにはそれなりに材料や教育のためのコストがかかっていて、それがとても安く出ていると言う事はやはり無いのです。今ネットなどで、例えばこのタブレットを1ヵ月飲めば2キロ痩せるとか、そのようなものがいっぱい出回っていますがそのようなものがほんとに果たしてうまくいくでしょうか?もしかしたら100人に1人うまくいくのかもしれませんが、大抵の場合はそれはうまくいくわけがないわけです。

しかし、このようなまやかしダイエットの方法こそがひたすらたくさん宣伝が出ています。もうこれでもかと言う位しつこい位宣伝がネット上に飛び交っています。ここまで毎度毎度宣伝を見てしまうと、もしかしたらうまくいくんじゃないかと洗脳されていくわけです。やはり人間楽して痩せたいとか費用もそんなにかからずに良くなるなら、それに飛びつきなくなってしまう。

ですが、皆さん医療と言うものはそのようなわけにはいかないので、十分に注意が必要です。矯正と言うのは塾に行って勉強するのに似ていると私は思います。1年2年いきます。宿題も出ます。やればやっただけ成果は出ます。やらなくて成果は出ません。時間は必ずかかるものです。時間がかかりだんだんと成績が上がっていくと言うものだと思います。毎日ちょっとだけやれば成績があるよ、そんな事は無いのです。塾に行けば行っただけ。必ずそこには様々なコストがかかっているはずで、それが安いということは無いです。とても安い先生とそれなりの費用の先生、どちらの塾で本当に結果が出るでしょうか。冷静に考えればわかることなのですが

マウスピース矯正とワイヤー矯正の併用

2024年2月22日

マウスピース矯正にはマウスピース矯正の良いところがあります。またワイヤー矯正にはワイヤー矯正の良いところがあります。

その患者さんのお口の中に状況にもよるのですが、ワイヤーが向いている、もしくはマウスピースが向いていると言うような事はあります。そしてこの2種類のやり方、すなわちワイヤー矯正とマウスピース矯正これを両方いいとこ取りしてやると言う方法も実はあります。

それは最初ワイヤーである程度並べていき、難しいところを超えるところまではワイヤーで行きます。そして、中盤に差し掛かってからマウスピースに取り替えてしまうのです。

最後までワイヤーで行ってもいいんじゃないかと思うかもしれませんよね。けど、最後の微妙な固定はマウスピースの方が良い場合もあるのです。

今示した例は最初ワイヤーでスタートし、途中でマウスピースに交代し、マウスピースで最後まで終了していくと言う方法です。その逆も実は存在します。最初マウスピースでスタートし、途中でどうしても乗り越えられないところが残ったところだけをもう一度針金で最後上げていくと言うこと。

またもっと別なパターンもあります。マウスピースでスタートし、途中で1度ワイヤーに変わり、またそのワイヤーを外して、マウスピースに戻る。

なんだかとても複雑な話ですよね。そうなんです。人の体って予定通りではなく、みんなそれぞれバラバラで違うんです。複雑なんです。またどの道具を使ったら確実に治るとか言うものでもなく、その人の体によってやはり矯正の限界というものがあり、どこまでも歯や顎が自由に動くわけではありません。

例えて言えば、美容外科で顔をあの芸能人にそっくりにしろと言っても、そんなこと起きるわけないですよね。その人固有の個性があり、その個性を生かした中でより良い状態は持っていく、より安定した状態へ持っていく、より健康的な状態へ持っていくと言うことなのです。どこまでも好きなところへ行くと言うわけでもないです。それがその人らしさ、その人を尊重しているということだと思っています。

またどの装置が良いのかと言うのは、微妙な場合があり、実際にやってみて、途中でやっぱり変えたほうが良いとか、そういうことも起きたりします。最初から全てがわかるわけでは無いのです。患者さんからしてみたら、もしかしたらどうして途中で装置を変えるんですか?と思うかもしれません。

ドクター側からしてみれば、人間の体で一人一人違うので、全く同じ形の車を修理しているわけではありませんから、同じ方法で全部うまくいくということはあるわけがないと言う前提です。実際にその1人の人を見てみてやってみて、初めてわかるということがあります。

例えばの例で言うのですが、私は患者様に入れ歯を作ることがあります。そして1ヵ月2ヶ月とかけて入れ歯を作るわけですが、その中でなんとなくその人の顎の動きや噛み癖、特徴なんかがなんとなくわかるわけです。そして1つ目の入れ歯ができて、それで確かに大体はうまくいくのですが、半年後にもう一度新しいのを作ることになったりします。

その時には前にはこうだったから、多分こうなるんじゃないかとか、またいろんなことがわかって、もうちょっとこういう風にしといてもいいかなといろんな予測が立つわけですね。そうやって1人の患者さんに1度作ってもう一度入れ歯を作るなんて事はよくあることなんです。けど、人間だから多分そうやって作っていくのがいいんじゃないかなと私は思うんです。

もし仮に1回だけしか作らなかったとしても、やはりその作ったものを何度も調整したり様子を見たりするわけで、全く新しく作り直すわけではないけれども、問題が起きなかったとしても時々は経過を見てみたいと思うし、ドクターとして。

歯科矯正と歯をできる限り、抜かない方法

2024年2月11日

前回の話に続き、抜歯を避ける方法に関して話をしていきたいと思います。

専門用語でIPRという言葉があります。これはかなり難しい言葉で矯正をある一定以上やっている歯科医師、もしくは歯科衛生士等であれば知っている言葉です。ですが、一般の方にはちょっとわかりにくいので、もう少し噛み砕いてお伝えしていきます。歯と歯の間を0.3ミリほど削るということです。

もし歯と歯の間を0.3ミリほど削ると、0.3ミリの隙間ができるわけです。そうするとその分スペースができて重なってる歯を動かしやすくなります。ということは、歯を抜くよりもその方が合理的であると言う場合があるわけです。

ですが、0.3ミリですので、それだけでは足りない、たった0.3ミリでこんなに重なってるのに歯が治るのか?ということもありますですので、それは1カ所だけではなく、6箇所位とか10箇所位この作業を行うこともあるわけです。そうすると全体としては2から3ミリの隙間ができますので、これらを有効に使って引っかかりをひもといていけばきれいに並ぶと言う方法です。これで抜かないのであれば、とても良い方法の1つであると考えられます。

では、歯と歯の間を0.3ミリ削っても良いのか、大丈夫なのか?ということを気にされる人も出てくると思います。歯の表面には1ミリから2ミリほどのエナメル質と言う層があります。これはとても硬い層で、この層があればはとても虫歯になりにくいのです。ですので、このエナメル質のある範囲内で安全な範囲内を多少だけ削るということなのです。逆に言うと隙間を作るために歯を2ミリ削ったと言うのではちょっとだめな場合も考えられます。

だめな場合とはどういうことかと言うと、歯の神経が生きていれば、削る量は先ほど言った0.3ミリとか0.5ミリのような範囲になるかと思います。ですがもしその歯がもう既にかぶせ物がしてある、神経がないような歯であれば、1ミリ削っても問題は起きないわけです。ということは、全体の状況を考えて、どこをどれぐらい削って、隙間を作るかと言う治療計画になります。そして引っかかりを解くために合理的な場所と量を考えてこの削合を行っていくわけです。

どうでしょうか?あなたは削ると聞いて、ちょっと嫌な気もするかもしれません。ですが、どちらかの選択なのです。IPRと言うこの手法を用いるのか、前回にお話しした小臼歯を抜歯するのか。そうすると患者さんにどうしたいかって言うことを聞くのですが、大抵の場合はあまり抜きたくないから、0.3ミリほど角を丸める、IPRと言う方法を選択される場合があります。ですが、それでも小臼歯を抜歯してくださいと言う方も、実はちらほらいるのです。

どうしてそれでも小臼歯を抜歯してくださいと言う人がいるのでしょうか。それはやはりちょっとでも前に出ているのが確実に下がったほうが良いのではないかと思っているからと思われます。このようなことから人によってどのように物事を捉えているのか、感じているのかが、個人差がかなり激しいということです。ですので、担当のドクターとよく相談してどちらを選択するのかは考えていく必要があります。もちろん診断的に片方しか選べない場合もありますので、そのような場合にはそれを選択する可能性が高いです。

ちなみに、このIP Rと言う方法は最近とても増えてきている方法です。昔からあった方法なのですが。その理由として考えられるのは、マウスピース矯正の普及が1つにはあると思います。マウスピース矯正はこのIP Rと言う方法と相性が良いからです。また昔は、ワイヤー矯正は一般歯科の先生でやっている方が少なく、矯正だけを行う歯科医院で矯正を行っている場合には、一般歯科治療の一部にあたるIR Rを得意としていないためにほとんど行われていなかったと言う実情があります。

歯科矯正と便宜抜歯

2024年2月8日

矯正治療を行う際、歯を抜くことがあります。これは専門的な言葉ですが、小臼歯を抜くことが一般的には多いです。これから矯正をやってみようかなと思ってる人が、歯を抜くと聞くと、ちょっとびっくりするかもしれません。

ですが、歯を抜いて歯科矯正をしていくと言うのはとても多いやり方です。もちろん歯を抜かないでやると言う選択もありますので、それはまたおいおい詳しく説明します。

子供の歯科矯正の場合は、大人の永久歯を抜くような事はあまりお勧めしませんし、そんなに多くはないです。

しかし、体の完成してしまった大人の場合、もう骨がそんなに動くわけではないですし、曲がっている歯をきれいに並べるためには、どうしても歯を抜いて場所を作り並べていくと言う方法が取られることがあるのです。そしてなんとこの方法は、成人の矯正で、ほぼ8割以上行われている方法です。もしかしたらとってもびっくりしたかもしれませんね。

ではどのような場合に歯を抜くのでしょうか?それは例えば前歯がとても出っ歯のような状況だとして、それをできれば引っ込めたいと思っている。そうなると中に引っ込めてかければいけないのですが、前歯を抜くわけにはいかないので、前歯よりも奥にある小臼歯の部分を抜いて、その場所のスペースを利用して飛び出ている前歯を中へ引っ込めていくわけです。

あるいは歯が凸凹に乱れて並んでいる、このような場合も場所が足りないために、このようなことが起きていますので、場所の確保のために、小臼歯を抜歯します。そしてそのスペースを利用して、凸凹を紐解いてきれいに並べていくわけです

このように小臼歯を抜歯するケースはとても多いです。誤解して欲しくないのですが、歯を抜いた方が良いと言うことを積極的にお伝えしているわけではありません。抜歯をすると言う歯科矯正がどういうものなのかと言うことを説明するために、一般的な最も多い治療方法をお伝えしているのです。

実際の診療では、歯科矯正の相談を受けた際に、これは抜歯したほうがいいな、抜歯も選択の1つだなぁと思った場合、患者さんにその状況を伝え、どのように考えるかを一緒に話し合います。そうするとどうなると思いますか?あなたはもしかして以下のようなことを想像しているかもしれません。多くの患者さんが歯を抜くなんて怖いし、もったいないから嫌だ、と。

しかし実はそのようでもないのです、この出ている前歯は引っ込めたいので、歯を抜いてでもきれいにしたいと言う方が半分以上います。

あまりにも場所が足りない、スペースがない場合は、やはり抜歯をするのが良い方法でしょう。しかし、便宜抜歯をしなくても済む場合も多々ありますので、それはよく相談して治療方針を決めることです。

抜歯を希望する場合というのは多くの場合は、女性で、できる限り顔をコンパクトに見せたいと言う希望があるからです。歯を抜いて前歯を下げていけば、自分のなんとなく出ている感じの顔をより綺麗に見せれるということから来ていると思われます。

確かにそのようなことがあります。顔がコンパクトにまとまる場合には、これも正しい選択の1つであると考えられます。大人ですから、骨が今から形が大きく変わるということはないですので、便宜抜歯をして整然と並べることによって、歯周病や虫歯になりにくくなりますので、正しい判断だと考えます。

小臼歯抜歯しないでもギリギリ何とか並ぶ場合も結構ありますが、ここは悩みどころです。どうしてかといいますと歯を抜かないで全体を並べるということは全体的にはちょっと歯並びのカーブが大きくなるわけです。そうするとしっかりした顔になるということなのです。

歯を抜かないで並べたためにとても顔が大きくなったなどと言う事は決して起きないのですが、すべての歯が並んでいるアーチは、若干以前よりも大きくなるわけです。そうすると、ここからはその患者さんの気持ちの問題になってくるのですが、歯を抜くことがとても気持ち的に嫌だと思えば、抜かないで並べて、若干アーチは大きくなる。と言う方向で行くのか、。もしくは歯を抜いてアーチを若干小さくする。どちらを取るかなのです。

ですので、どちらが良いとか悪いとかではなく、どうしたいかと言う気持ちの問題です。
またその中間的なやり方というものが、最近はかなり研究開発されて進んできています。それは歯を抜かずに、歯の端を少し0.3ミリほど丸める方法です。

この小臼歯の便宜抜歯に関して、もう一つ皆さんにお伝えしておきたいことがあります。それは小臼歯は2本連続で同じ形の歯が並んでいます。ほぼそっくりの形の歯が2本連続で誰でも上下左右に並んでいるのです。そうすると、これを2本のうち1本なかったとしても機能的にはさほど困る事は無いのです。

ですからこの場所が一般的には選ばれるのです。他の場所の歯を抜いても確かに良いのですが、それぞれの歯の形が違っていて、役目が違っているためにあまり選ばれないのです。

小児矯正と装置の装着時間

2023年11月2日

小児矯正において、様々な装置がありますが、今回はマイオブレースという装置に関してどれくらい入れているべきなのかと言う話をしたいと思います。そもそも小児矯正の装置でも取り外し方であるにもかかわらず、24時間ほぼ入れていた方が良いという装置は結構あります。

例えば、上顎や下顎を単独で横方向にカーブを広げるような装置の場合は、24時間入れて1週間にいっぺんなどネジをまわして拡大していくという使い方が一般的です。この装置の使い方の問題点としては、小学校に行っても常につけていなければならない、そしてその管理を子供が十分に果たして行えるか、と言うことです。しかし取り外し型ですので、逆に口の外に出した状態で、親がそれを掃除したりちゃんと入っているかを確認したりなどもできると言う意味では利点ですし、また何かあった際に痛いからとりあえず外そうということもできるわけです。

さて今回私が特に医院で使っているお勧めの装置はマイオブレースです。この装置の装着時間は子供が学校から帰ってきてから寝るまでの間に1時間入れるのが基本です。そして夜間寝ているときに入れているという使い方なのです。すなわち学校へは入れないで行くのです。そう言うと、保護者の方の中には昼間ほとんど入れてないのに大丈夫なんですか?と聞いてくる方もいます、そうなんです。学校には入れて行かないのです。それはそれなりに意味があってそうなっています。

このマイオブレースは歯や口の周りの骨を直接的に動かすために作用しているわけではなく、口の周りの筋肉や筋肉の動き、特に舌の動きなど、そういった環境を形作っている要素を正しい位置に覚え込ませるための装置です、のでずっと入れていたのでは逆に意味がないのです。まず学校から帰ってからの1時間、これは本人が意識してきちっと入れて口も閉じます。鼻で息もします。そうすると自分でこうしなければいけないんだということを感じながら使うわけです。まさに自分で感じながら筋肉トレーニングしています。

次に夜寝るときに入れるのは、最初寝る前はちゃんと口を閉じなきゃいけないとか、舌の位置は上顎につけておくべきであるとかを意識していますが、だんだん眠っている間は無意識の状態になるわけで、その無意識の時に、正しい筋肉の使い方ができるかどうかの練習をしているわけです。

無意識の状態でも、正しい筋肉の動きが習慣化するかどうかのトレーニングを約8時間から10時間位の睡眠中に行うわけです。そして学校に行くときには外していますから、装置を入れない状態でも口を閉じる、鼻で息をする、舌は上顎につけるという正しい筋肉の動きができるのか、このような3つのパターンの繰り返すことによって、最終的には無意識の中で正しい筋肉の動きができるようにということを覚えて、体に覚え込ませるわけです。

ですから入れる、入れないというこの繰り返しには深い意味があります。意識しながら入れる、意識しないまま入れる、この起きている時と寝ている時、この2種類の使い分けも意味があります。単にぐいぐいと押して何とか歯を並べようというそういうような考え方では無いのです。

ですので、マイオブレースを患者さんに入れてもらうわけですが、毎日起きている時間、学校から帰ってきてから寝るまでの間1時間この装置をしっかり使うことが大事です。装置をしっかり使うことが大事でかつ、口を閉じる、鼻で息をする、など。

また、小学校1、2年生位であれば1時間で良いでしょう。しかし、状況に応じては4年生5年生6年生でもこの装置を使う場合があります。このような場合は2時間入れておく必要がある場合もあります。特にスタート時期が遅かった場合、成長の余地が減っていますので、起きている時間に多めに使っていただくということになる場合があるのです。これはどのような時期にどのような程度かによってだいぶこちらのアドバイスも変わってきます。患者さん一人ひとりによって違いますが、1つの目安としてご理解ください。

また何ヶ月もやっていまいち成果が出ない人もいます。これは研究の上ではっきりわかっていることなのですが、しっかりとやっていない、ただしく使っていない、ということです。よって結果が出ないという事はないです。何らかの変化が起きます。全く変化がないとなると、こちらのいった正しいやり方をしていない、もっと言えば、子供がサボって真面目に取り組んでいないと言うことです。

このような場合は別の装置を新たに用意して、別途費用がかかり、さらに治療を進めていくような場合もあります。

ですが、別の装置ではなく、まずは第一せんたくのマイオブレースをおすすめします。健康な体を作るためにもなるからです。

マウスピースの素材は何か?歯科治療と素材

2023年10月26日

治療の成果結果を出すためには、その歯科治療が、どのような素材で治療をしているのかと言うことがとても重要です。

素材と言うのはもう少し違う言葉で言えば材料です。

例えば矯正治療をする上でマウスピース矯正と言うものがありますが、マウスピース矯正とは透明なプラスチックのものを歯にはめ込んでは動かしていくタイプの装置です。このマウスピースは、今、現在の時点では、海外で作られているものが最も素材としては優れていると思われます。一方で、日本国内なんかでこれに似たようなものが作られています。素材は違います。良い素材を使えば0.1ミリ単位で歯を動かす計画を立てられますが、現状日本で作られているものでは0.25ミリ位が限界で、この技術力は3年はまだ差は埋まらないといわれています。

もし皆さんがそねマウスピースを見た際、ほぼ同じものに見えると思います。
もっと言えば、我々歯科医師がそれを見てもはっきりと判別がつかないほどわかりにくいです。
その素材が何で作られているのかを歯科技工所の方より情報を入手しなければわからないでしょう

今これはとても重要なことを言っています。歯を正確に動かす、それは歯科医師の診断も大切です、歯科医師の手がどのようにうまく上手に動くかなどの技術力も大切です、そしてもちろんその時に使っている素材が何か?その素材は、どのようにして工場で加工されているのか?このようなことが総合的に関係しています。

ですが、今回は特にその素材についてだけ深掘りしていきたいのです。それは先にも述べましたように素材を見ただけで、皆さんはもちろん、その違いは全くわからないですし、私たち歯科医師、専門家が見てもよくわかりにくいのですですから、信用のおける取引先である歯科技工所等と確実に確認ができるかと言うことになるわけです。私は矯正治療において、本格的に歯を動かす場合は、費用が高くても海外のマウスピースを使います。それはやはりそれが現状最も優れた材料であり、それが2番手、3番手の材料ではまだ不十分であると感じるからです。もっと言えば明らかに差があると言うことです。多分、けどこれ患者さんにはわからないです。

この原材料問題や加工問題ですが、特許の関係もあり、特許が切れると、日本や韓国、中国など様々な国でもそれを利用したものが出てくると思われます。そうすると同程度の成果のあるものが多少安く手に入ることも考えられます。

このような事はよく私はその業者に何度となく質問しています。どうしてこちらの方が高いのか、その技術的な差は一体何なのか、材料にはどのような差があるのか、どのような工程で加工をしているのか、そういうことをとことん聞くと、自信のあるメーカーはやはり何がどのように違うかと言うことを正確に答えてきます。そして2番手以降の業者もよくよく聞いてみると、どこに多少誤差があると言うことを正直に言ってきます。そしてそれが実際に臨床的に問題になるのか、治療の結果に差になるのかを、歯科医師は十分に吟味するわけです、そして、そこに患者様の臨床的成果に置いて差があると判断した場合は、どちらを選択すべきかを冷静に決めていくわけです。すなわち、費用で決めているわけではないと言うことです。もちろん、安価でも成果が出るのであれば、それを選択するのはアリだと思います。

別の例でいいますと、ジェネリックの薬がありますが特許が切れて後から作られる薬品が安いのであれば、同じものであれば、それでも同程度の効果が得られると言うことであれば良いかと思います。しかし、一部の医師によれば、ジェネリックではなく、本家本元を使わないと差があるということを言われる方も何人か出会いました。ほんの少しの工程作業の違いそれでも臨床的には差があるから信用しないと言うことでした。それもその先生、その先生のこだわりだと思います。