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インプラントと全身疾患について

2024年2月25日

先日インプラントの治療を希望された患者さんで、私は今、内科とか色々とかかっているが、大丈夫か?と言う質問がありました。インプラントを治療する際、患者さんは多くの場合、内科や整形外科、眼科、耳鼻科、もしくはもっと大きな手術をしたということで大学病院やがんセンターなどいろいろなとこにかかっていると言うことがあります。

ですので、患者さんには今どこか他に今まで病院にかかっているか?と言うことを聞きます。

そしてその様々な病院やクリニックでどのような薬が出されているか、どのような治療や経過となっているかなどのやりとりをします。これはファックスや紙面で行います。このようなやりとりは今後の医療において、さらに一般的になっていくと思われます。それは何もインプラント治療するからと言うわけではなく内科にかかっていて、その先生が整形外科に手紙を書いて確認をする。皮膚科にかかっていて、その先生が外科に手紙を書く。歯科にかかっていて、呼吸器内科に状況を確認する、などです。

これは単に薬がダブっていないか、薬が副作用などで反応しないかなど様々なことを聞く必要もあるのですが、それ以上に例えば、既に内科で何年もかかっていて、様々な血液検査データ等があり、どのような状況かと言う概略が判断できて、歯科治療を行う上でとても便利なわけですし、患者さんにとってとても有益な情報が手に入ることがあるわけです。

例えば、飲み薬なんかでアレルギーがある、あるいは血液検査でデータがあまり安定していないので、侵襲の大きい処置は今しばらく待ったほうがいいなど。他にももっと大掛かりな場合だと、この先入院して手術を行う予定があるので、その際に全身麻酔をするのでお口の中の歯の状態が悪いと、オペ中にいざと言う時に歯が折れたり、それが喉の気管に詰まってしまったりと言うような様々なトラブルが起きないために、お口の中の安全状態を確認したい。あるいは必要なことがあれば、先に治療しておいてほしいなどと言う依頼もあります。

特にインプラントの場合、関係してくるのは、例えば糖尿病などの状態が安定しているのか。血圧がある程度コントロールされているのか。易出血性の薬を使用していて、その薬に関して主治医として何か見解はあるか。

すなわちここはちょっとややこしい話なのですが血液サラサラの薬、ワーファリンなどを飲んでいると、患者さんはよく私たちに言ってきます。そうすると、外科的な処置をするその直前直後に一時的にその血液サラサラの薬を止めて、インプラント手術をやることがあるわけです。ですが、最近のエビデンスでは、それらの薬を止めないまま治療した方が良いし、それは充分可能であると言うようなレポートが増えているわけです。それに準じてオペを行うことが多いのですが、実際にはやはり止めたほうがいいとか止めないでほしいと言う内科の先生などの希望があったりするのです。それらのことを全く無視して連携しないで、治療が一人歩きしていくと言う事は無いのです。

ですので、対診と呼ばれるこのようなお互いの情報交換というのが行われます。現場では紙ベースでのやりとりですが、今後このようなことがコンピュータのクラウド上などで情報共有できるのではないかということも言われています。今現在では薬の情報はある程度共有できるということがわかっています。

各医院にあるコンピュータを用いて、その人の保険証カードを使って、どのような薬が処方されているかなどがわかったりするのです。ですが、現状ではそれをただ見て判断するのではなく、やはり紙ベースやメールファックスなどを用いてお互いに文章でやりとりをしています。というのも、やはりそれだけではちょっとやはり心配と言うこともあり、念のためお互いちょっとしたニュアンスもあるでしょうから、今一度確認しあっているのです。

さて、上記の患者さんに関しては、糖尿病の状況としては数値がだんだん良くなってきているので、数ヶ月、念のため待ってからこちらで確認してからゴーサインを出したいと言う意見が出ましたので、もう一度内科に行っていただき検査データの安定をもう一度だけ確認してからインプラントオペの日取りを予定することとなりました。

糖尿病などの全身疾患とインプラント手術の可否について

2024年2月18日

前回、他院にてインプラント治療は難しいかもしれないと言われた方の話をしました。その方の続きをまたこちらでお話ししていきたいと思います。

その患者さんは糖尿病という病気を持っていて、内科を月一回受診されていたそうです。そして前医の歯科医院では、糖尿病があるとインプラントができないことがあると言う説明を受けたそうです。

当院でインプラント治療する場合、もしその方がどこか病院やクリニック等で治療を受けている場合は、各病院にその病状の確認をするための医療情報連携のための対診書を送って状況を確認しています。もちろん患者さんにその旨伝えてです。そうすると糖尿病の場合、どのような治療を行っている、例えば注射を打っているなどです。

そこで、今どのような状態なのか、数字が良い悪い、安定していないなどそのようなことを教えていただけます。でもちろんそうなのですが、この数字が安定してなくて病状が悪ければもう少し安定するのを待ったほうがいいかもしれないと言う内容のことが書かれていますし、ある一定以下の数値で安定していれば、内科的にはこのまま治療続けるが、特に歯科の方で何か治療してもらっても構わないと言うニュアンスの返答になっています。ヘモグロビンA1 c言う数字がよく出てきます。

この数字が7以下であることが1つの基準であるとよく言われています。それ以上の数字であれば、内科ではかなり生活改善や運動しなさいと言う強い指導があるのではないかと推察します。インプラント治療を行う上では、この数字が5以下などかなり安定していると非常に良いのですが、実際にはそのような人ばかりではありません。7以下である、その他の全身疾患がどのような状況かなど総合的に考えてインプラント治療はできる場合が多いです。あるいは今すぐできなかったとしても、多少経過を見て体の状態が安定していれば治療は可能です。

その時の注意点としては易感染性という言葉があり、糖尿病の状態が良くない場合には感染症になりやすい、すなわちインプラントは外科治療で歯茎を切ったりするので、その時に感染症になりやすいと言うリスクがありますので必ず抗生剤等の薬を飲むなどの併用が必要となり、それを厳守していただきます。また、お口の中の衛生状態も感染と関係がありますので、定期的な歯のクリーニングも術前から受け、きれいな状態をキープしていくことを目指すことになります。

また広い意味で話しますと、リスクとベネフィットと言うことになるかと思います。多かれ少なかれ40代以上であれば内科など何らかのクリニックにかかっている事は多いです。そして全く病気がない完全なる健康体であると言う人も少ないわけです。そういう中で全身状態を出来る限り悪くない状況に持ち込み、あるいは定期的に内科など通っていただき、健康状態をできる限り悪くならないようにキープして様々な歯科治療を進めていくということだと思います。

特に歯科治療でインプラントの治療すると言う事は、これはかなり体を守るという意味があります。しっかり噛めない状態で普段生活をしていると言うことなんですね、歯がない人は。歯がない状態、しっかり噛めない状態で普段生活していればどんどんいろんなところが悪くなっていきます。

食事もしっかり噛めない、そうなればお酒をたくさん飲んでしまったり、柔らかいものや甘いものをたくさん知らず知らず取りすぎてしまったり。またしっかり噛めないので運動もいまいち。しっかり噛み合わせがあれば力がぐっと入り運動もできるし、普段の歩いたり走ったりちょっとした運動でもしっかり体が反応し楽しく生活エンジョイできるわけです。ですので体を守るためにもインプラントはしたほうがいいなと私は思っています。

自分の体の中にしっかりとした噛み合わせがあれば、かなり安定していて、さらに体が老化していくのを止めているのです。アンチエイジングということですね。
そういう意味においてどうするのかということです。