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歯周病と、セラミックのかぶせ物の関係

2024年2月4日

こんにちは、今回はセラミックのかぶせ物の良さについて話をしたいと思います。特に歯周病との関係性に関して話をしていきたいです。
歯を治療する際には、かぶせ物に種類があるということは皆さんなんとなくわかるでしょうか?
例えば、金属の銀歯、セラミックの白い歯、プラスチックの歯など。かぶせて治療すると、それが見た目がどのように見えるかとか、自然ぽい歯に見えるとか、そういうことが気になったりする人も多いと思います。そういう意味ではセラミックが1番良いでしょう。また金額という意味からすると、セラミックではなく保険の歯を入れようと言う方もいるかと思います。金属でもゴールドなどを使えば噛み合わせがしっかりして良いのではないかと思っている方もいるかもしれません。
このようなセラミックの被せ物という話と、歯周病がどう関係するのか?と思われる方もいるかもしれません。かぶせ物というのは白いのか銀色なのか強度がどうなのかなどと多くの方は考えているのではないでしょうか?
ですが、実は歯周病ととても深い関係があります。かぶせ物をかぶせるということは、自分の歯にそれをくっつけてるわけで、そのくっつけているギリギリの境界のところがあるわけです。もともとの自分の歯の根があり、そこから先がセラミックなりのかぶせ物になってるわけです。このギリギリの境界線、これをずっとズームアップしていくと、とても重要な問題があるのです。この境界線には、ほんの少しだけ隙間、段差ができてしまうわけです。となると、隙間に汚れや菌が溜まって繁殖していくわけです。それが歯周病の温床になっていることがよくあるのです。皆さんは歯周病と聞くと、テレビのコマーシャルなどでいろいろなものを見ていると思うので、なんとなくイメージがつくと思うのですが、歯周ポケットと言われる歯茎の溝に細菌がくっついていると想像するのではないでしょうか。ですから、歯周ポケットをしっかり、歯茎のキワをしっかり掃除すれば良いと。
確かにそうなんですが、実際のところはそんな単純な話では無いのです。ほとんど多くの人は歯の治療を何回かしたことがあり、そしてかぶせものなんかがお口中にあちこちに入ってたりするわけです。このかぶせ物には必ず境界がありますので、そこの段差、隙間があれば歯周病菌が繁殖して歯周病を悪化させていくということなんです。

この段差、隙間なのですが、これはとても厄介な問題があります。そこには小さな隙間があり、その隙間はどんなに精度高く作ったとしても存在します。そしてそれが一般的には30ミクロン程度から200ミクロン程度ではないかと言われています。もしこの隙間が30ミクロン程度であれば実は歯周病にほぼ影響しないということがわかっています。その程度の隙間では歯周病菌がほとんど繁殖しないからです。

逆に200ミクロンの隙間があれば、もうこれは非常にやばいです。その隙間の中を完全に掃除することはとても困難で、歯ブラシで掃除してその200ミクロンの溝の奥をきれいにすると言うのはちょっと不可能なんです。また、様々な掃除機具や歯科衛生士による歯のクリーニングを行ったとしても、200ミクロンの隙間の中は完全にきれいにするのは非常に困難を極めます。ですから、最初から隙間を作らないことなんです。治療をする際に、最終的なかぶせ物をする場合には、隙間がないような治療方法を検討するべきなんです。

現状、隙間を少なくする材料の1つがセラミックです。他にもゴールドを使ったかぶせ物と言う選択もありますが、昨今では金属アレルギーなどの様々な問題があり、メタルフリーという言葉があり、金属は出来る限り使わないで歯のかぶせ物を作ろうと言う流れになっています。もちろん金属には金属の良さがあり、それをうまく利用できればそれを選択するのもありだと思います。ですが、セラミックが最も現状では精度が高い、摩耗しにくいなど、総合的な能力は1位であると考えられています。

セラミックで作ったかぶせ物は一般的には誤差は30ミクロン位の隙間で済みます。ですからとても安心安全です。実際、私が臨床で多くの患者さんを見ていて気づくことですが、右上の前歯にセラミックが入っていて、左上の前歯にプラスチックや金属の保険の歯が入っている場合、歯茎の溝の炎症具合が明らかに差があります。

特にこれがプラスチックの白いものとセラミックでは差が出ます。これは一般の方が見ても多分わかるレベルです。プラスチックは吸水しますので、だんだん色も変色していくし、なんとなく黄色っぽい色になっていて、ざらざら感も出てきます。そしてそこに200ミクロンもの隙間があるとなると、ここでどんどん細菌が住みついてしまうわけです。

一方、セラミックの場合は細菌がそこに住むということはとても難しいですので、いつまでもつるっとした状態、衛生的な状態が続きます。
このような意味で歯周病対策としては、かぶせものはセラミックが現状ベストであると考えます。

かぶせ物の精度と石工模型の精度

2024年2月1日

前回かぶせ物の精度に関して多少お話をしました。それに関してはまだまだお伝えしたいことがたくさんありますので、またそれに関してお話をしていきたいと思います。

かぶせ物を作るにはリコンなどの材料を使って歯型をとってやっていくと言うことをお伝えしました。現状ではこのシリコンを使った型取りが最も精度が高く作れるのではないかと思われます。セラミックなどの綺麗な歯を作ろうと思えば、当然精度も高い必要があり、シリコンで型を取るのが一般的であると考えられます。

ですが、実はシリコンで型を取る以外にもう一つ精度の高い方法があります。それは3D光学カメラを用いた方法です。型取りするのではなく、カメラで写真を撮っていくのです。この写真は特殊な写真で3Dカメラです。3Dカメラでどのように撮っているのか、実は動画のように撮っています。1秒間に60フレームとか。これをコンピューター上で合成して、形を再現していくわけです。

この3Dカメラの方法は将来的にはとても良い方法になります。ですが、今現状ではこの方では必ずしもうまくいかないことが多々あります。ですのでケースバイケースです。特にセラミックで歯を作る場合には必ずしもお勧めしません。これはかなり私の意見が入っています。

3Dカメラの精度、性能、システムはかなり進化してきています。毎年新しくいろいろなものが開発され、技術はどんどん変化しているので素晴らしいことなのですが、やはり従来の方法が確実であると私は考えて、ほとんどの場合はシリコンを使っています。ごく一部3Dカメラを用いてます。正確に伝えますと、セラミックを作る場合はインプラントのかぶせ物の場合は、3Dカメラでもうまくいく場合があります。

しかし、自分のもともとある歯に、セラミックをかぶせる場合は、歯型を取った方が正確であるというのが正直なところではないでしょうか。

シリコンで型を取った場合、そのシリコンの中に石膏を注いでいき固めるのです。石膏を用いて、歯の形の模型を作っているわけです。ということは、皆さん実はここでややこしいことが起きています。それは、シリコンがかなり精度が高くても、ではその石膏の模型の精度は一体どうなのかということです。

前回お伝えしたのは、シリコンでは約± 10ミクロンの誤差が起きるということを伝えました。実は石膏はそれよりも大きな誤差を生じます。となると石膏なんかで模型を作って本当に大丈夫?となりますよね。石膏は実は膨張します。若干大きくなると言うことなのです。ですが、この若干大きくなるということがとても重要で、若干膨張して大きくなっている歯を作るからハマるのです。

すなわち、もし石膏が全く膨張しないとなると、できてきたものは、ぴったりなものができてきて、ぴったりすぎて入らないということが起きるのです。えっ?と思う方もいるかもしれません。寸法の世界というのは、とても不思議なもので、まさに職人技です。完全にぴったりドンピシャリのものを作ってしまうと入らないのです。ほんの少しだけ大きめのものができて、その誤差が30ミクロン程度であればちょうど良い塩梅で入ります。なんとも変な話なんですが、その微妙な誤差、しかもそれが予定してこれぐらいの誤差ができてほしいと言う。ちょうど良い膨張を計算して実は作っていくのです。

今回は石膏の膨張と言う話しかしていませんが、それ以外にも様々な工程の中でいろいろ材料が使われていますので、他にも実は誤差と言うものはあるのです。それらを最初から最後まで総じてどのようなことが起きているのかということを十分に考えて、セラミックは作られていきます。

もちろん石膏にも様々な種類があります。どの石膏が本当にいいのかというのは歯科技工士とよく打ち合わせをして考えていかないとうまくいかないです。これらのようなことをこだわって、初めてセラミックの良い歯ができてくるのです。とてもめんどくさいことなのですが、手間ひまかけて初めて良いものができると言う基本的な話ともいえます。

歯のかぶせ物の精密度と歯型取り

2024年1月25日

あなたは歯の治療を受けたことがありますか?そして歯に何か金属やセラミックなどのかぶせ物をくっつけたことがあるでしょうか?

歯のかぶせ物を作る場合には、歯の型をとっています。この型を取るのは精度というものがあります。簡単に言うと粘土のようなものでお口の中に材料を入れて型取りをします。そしてそれを石膏で模型にして形を再現するわけです。その再現してできた石膏模型で歯科技工士が歯の形を作っていきます。

この型を取る際に材料があるのですが、ベタベタしたものの事ですね。実はいくつか種類があります。この型を取る材料は寒天などを用いた材料で取る場合、これは主に保険診療で使われています。

そしてもう一つはシリコンで取る場合、これは主に自費診療で使われています。ここには大きな差があります。これを少しばかり深掘りしていきたいと思います。シリコンは何が良いか?シリコンは変形精度が少ないということです。

ちなみにどれぐらいの変形精度かと言うと、± 10ミクロンです。そして先に言った保険で使われている材料の場合は、多くの場合100ミクロンは変形があると言われています。ここで10倍の差がありますね。じゃあ10倍の差があるから、やはりシリコンがいいんだと言うふうにそういう単純な話ではありません。

このシリコンの良さは他にもあって、この変形精度がどれぐらいの時間長持ちしているかということなのです。なんだかわかりにくい話なのですが、こういうところに意外に重要なことがあります。先ほど石膏を使って石膏模型を作ると言う話をしました。シリコンの場合、型をとって1時間後に石膏模型にした場合と24時間後に石膏模型を作った場合でほとんどその精度は変わらないです。10ミクロンの誤差のままなのです。

一方で、寒天などの材料でいわゆる保険の材料のことですね、これで1時間後に石膏模型を作った場合と24時間後に石膏模型を作った場合では、もうこれは恐ろしいことが起きています。24時間後に石膏模型を作った場合は、もうそんなのは全く使い物にならないのです。誤差だらけです。歯科技工士から言わせれば不可能です。やり直しです。このような時間軸の問題があると言うことです。

実際の治療において時間の問題はあって、歯型を取った。すぐその横で、歯科技工士が石膏模型を作っているわけではなくタイムラグがあるわけです。院内において歯科衛生士、スタッフが石膏模型を作っている場合においても、多少のタイムラグはあります。まぁ一般的には1時間とか2時間とかその程度かもしれませんが、やはりけど時間が経つにつれて変形していく保険の材料はとても心配であると言うことです。このような点からシリコンを使うことが良いのです。

ですが、もっと別の角度からお伝えしたいことがあります。これはかなり専門的な話で一般の方にはわからない、そしてドクターであれば多少はわかるかなと言うような話ですが、大事なことなのでお伝えします。それは普段シリコンに使い慣れてない人がたまにその材料を使って型をとってもきれいに型を取る事は難しいということです。すなわちシリコンは使いこなすのがとても難しい材料ですので、その材料の特性をよく理解してやる必要があると言うことです。

ちょっと極端な例を話しますが、F1の車で走るのと軽自動車で走るのとどっちが早いでしょうか?もちろんF1カーのほうが早いですよね。ですが、F1カー1度も乗ったことがない人がその車、運転できますでしょうか?うまく運転できるとは思えないし、まっすぐ走れないかもしれないですよね。そうなると軽自動車の方が結果的には早くゴールするかもしれません。

ということは、自費診療でシリコンで治療する事は大事なんだけれども、自費の治療にいつも慣れていない、例えば1週間に1回しかその材料を使っていない人がシリコンで型をとってもうまくいかないということです。

ちょっと難しい話になってしまいましたが、お伝えしました。
長持ちを考えたとき、そもそもその被せ物の精度はかなり重要で、命です。保険は精度が比較的低いです。200ミクロンくらいの誤差が起きます、最終的に。
ではまた、改めてお伝えしますね。