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ブリッジにしたほうがいいのか?インプラント、入れ歯の方がいいのか?

2023年11月16日

先日ある患者様から相談を受けました。その患者様は自分はブリッジで治しほうがいいのか、インプラントで治したほうがいいのか、どちらがいいですかと言う質問でした。年齢が75歳とやや高齢者のグループに入っています。

そのため、本人は過去にインプラントをやったことがあるのだけれども、このような年齢でもまだインプラントは大丈夫でしょうか?ということも言われていました。この患者様の左下には3本つながったブリッジ、左上には4本つながったブリッジが入っていました。

まず左下のブリッジですが、3本つながっているという事は、その真ん中の1本だけが歯がないわけです。歯が1本なくて、両隣の2本の歯で橋渡しをして支えるような状態で、最終的な構造として3本分の大きさのブリッジとなっています。このような状態であれば、選択肢としてはブリッジを行う、真ん中の1本だけをインプラントにする、真ん中の1本は部分入れ歯とするというような3種類の選択肢が考えられます。

一般的には第一選択はインプラントになります。そして第二選択としてブリッジと言うふうになると思います。そして最後の3番目の部分入れ歯なのですが、これはその場所だけがどうなっているかではなく全体がどうなっているかによって部分入れ歯にしたほうがいいのか、そうではないのかが決まってくるので単純には言えません。今回の場合は部分入れ歯よりもインプラントかブリッジのどちらかが選択肢としては優れていると考えられました。この左下に関してはどちらでも対応が可能であるので、そして第一選択のインプラントと第二選択のブリッジに関してものすごく大きな差が出るわけではありません。というのも、すでに以前からブリッジが入っていて、両隣の歯は一旦削られているので、もう一度ブリッジを作り直すというのがさほどダメージを与えるわけではないということが言えるからなのです。もしこれが両隣、1度も削ったことがない歯と言うことになれば、かなり事情が違ってきて、第一選択のインプラントと第二選択のブリッジには大きな隔たりがあります。圧倒的にインプラントにしたほうがいいという状況になるのです。

次に左上の4本ブリッジに関してですが、この場所は両隣1本ずつ合計2本の歯が橋渡しの柱の役割をしています。そして真ん中2本分の歯がないという状態です。そうすると2本の歯で4本分の歯の構造を作っているということで、4本分を2本で支えていますから、これは設計としてはやや問題があります。ブリッジは作ろうと思えば、どれだけでも長いものを作ることが可能は可能なのですが、それが果たして長持ちするものなのか強度的にどうなのか、長くすればするほど精度は落ちてくるので、本当にそれで良いのか様々なことを考慮する必要があります。

一方で、どうしてもブリッジにしたいと言う場合もあり、特にこれは患者さんの希望なのですが、どうしてもインプラントは怖いから嫌だ、入れ歯にするのはどうしても嫌だなど、様々な人それぞれの事情と言うものがあります。そういう中においては、やはりよく相談しながら決めていくということが重要になってきます。何が最も優れているかということも確かに大事なのですが、人間の体を治療すると言うことなので、本人的にどう感じているかという気持ちの問題があります。

一方で、歯科医師側からしてみればこうすることがこの人にとっては最も理想的であろうと言う最良の医療があるわけです。これらをよく相談しながらベストではないにしろ、よりベターな選択ができれば及第であると考えます。そういう意味において今回この4本のブリッジに関しては、年齢等考慮すると4本ブリッジでもう一度作り治すというのも選択肢ですし、真ん中2本ないところに2本だけインプラントを入れて治療を進めていくというのも良い選択肢です。

この患者さんに関しては、健康状態は極めて良好で、内科には一応通院されていますが、特に全身疾患があるわけではなく、定期的な通院ですので、年齢が高いからといってインプラントをためらうというような状況ではありませんでした。そして総合的に本人の希望を踏まえて、最終的には左上は日本インプラントを入れて治療を進めていく。左下はブリッジをやり治してみる。ということになりました。

また、附属の話になりますが、これらのことから、実はどのような方向性で治療していくかと言うのは以外に選択肢や考慮しなければいけないことがいろいろあるのです。そうなると、実は、様々なカウンセリングをしたり、他の内科等の病院との連携をしたり、状況を確認したりとやる事は実はたくさんあります。特にカウンセリングなど話に時間をかける事はとても必須で大事です。ですが、多くの患者さんは残念ながらまだそのカウンセリングの重要性に気づいてないことも多いかなと感じることがあります。今現在の歯科の保険診療では、様々な管理、指導料が算定されていきます。悪いからいきなり行ってなんとかしようと言うわけでもなく、定期的にしっかり通って、その中で管理メンテナンス指導を受けながら出来る限り長持ちさせると言う医療の体系になっているわけです。

このことから、保険で管理指導料等が様々な保険点数としてとられていきます。それは3割負担の人で言えば2 、3000円位かかることもあります。そうなると、説明しただけなのに、そんなに費用がかかるんですか?という質問があったり、そのようなイメージを受けられる方もいます。ですが、処置も確かに大切なのですが、その前にある説明や、事前に内科に問い合わせの手紙をしたり、患者さんと相談すると言うところにこそ、重点を置くこともとても意味があるのです。そしてそこに費用がかかるということをよく理解された方が良いと思います。どうしても日本文化の中で、物にはお金をかけるが、形のないものにはお金がかからないと言う勘違いが多いです。しかし、今の時代は、情報や考え方、相談、にこそ価値があると思います。

例えば、テレビのコマーシャルなどでよく出てくる、保険の窓口、と言うものがあると思います。これはいくつもの保険会社を比較検討して、その情報を得た上でどれにするかを選ぶと言うスタイルのお店です。ネットで最も安いものを自分で選ぶことも可能なのですが、実際、統計上は多くの人はこのような、保険の窓口、などのようなサービス店舗に行き、店員と相談してもらい、そして、あーやっぱりこれが自分には合っているのかな、と安心してから生命保険に入ろうとしています。情報や相談、にこそ価値があると言うことです。

dentist implantologist showing dental bridge implant technology on human tooth jaw model

歯のかぶせ物の長持ち度について

2023年11月12日

歯のかぶせ物には様々な材料が使われています。従来から多く使われているのは金属です。最近多いのはセラミックの材料です。金属は大変優れた材料ですが、若干問題があるのでそれについてお伝えしたいと思います。

ブリッジのかぶせ物についてです。ブリッジとはそもそもどういう状態のこと言うのかわかるでしょうか?例えば歯が1本ない人がいたとして、その両隣の歯を利用して、3本分のかぶせ物を最初から連続して作ります。そうするとないところの1本をうまくカバーできるわけです。そのようにして1本ない程度であれば、ブリッジと言う治療を選択するわけです。橋のような状態の治療法です。

ちなみにこのブリッジと言う治療法を選択しなかった場合には、どのような治療法があるのかと言うことを少しだけ先に説明しておきます。それは1本だけの部分入れ歯を入れる方法、それともう一つは1本のインプラントを入れると言う方法になります。

そうなると、ある意味ブリッジと言うのは簡便的であり、昔はよく選択肢として使われた方法です。ただし、ブリッジができない場合もあり、そのような場合には部分入れ歯などが使われることが多かったです。最近では第一選択にインプラントが使われることも多々ありますので、ブリッジの出番がそんなに多いわけではありません。が、保険による治療であるので、まだまだ使われている治療法です。

さて、話をもとに戻しますが、ブリッジの治療法は、金属で行った場合、もしくは中の構造だけが金属と言う場合もありまして、表面には一部プラスチックなどを貼り付けているのだが、中は金属の構造で強く補強すると言う作り方もあるからです。この金属は長い時間の間に、実は変形することが多いです。特に保険の金属の場合、金属の種類に制約があるので、その金属が変形せずに長くもつと言うのはなかなか難しいです。ですので、このブリッジを奥歯などにやった場合、5年10年すると、そのブリッジがたわんで曲がっている患者さんをしばしば見受けます。これは大変ですので注意が必要です。

ではこのブリッジの治療をする場合に、このような、たわんでしまうと何が問題かについて考えましょう。まず簡単に想像できることですが、たわんでしまい壊れてきて外れるということです。

ただそれだけではありません。そのたわんでいる時点でそのブリッジを作った両隣の歯のかける部分の支台となっている歯は、大抵の場合、中が悪くなっています。それはどうして悪くなるかというと、少しずつたわんで変形している間、細菌がその中に入り込んでいるからです。また変形している場合には、その相手となっている歯が、噛み合わせがずれている場合が多いです。たわんでしまう結果、相手の歯の位置が微妙にずれていくのです。そして、全体的な噛み合わせがほんの少しずつずれていきます。

ちょっとわかりにくい話なのですが、歯がどれだけ長持ちするか、安定しているか、快適であるかということを考える上で、噛み合わせがどのような状態で全体でどのようなバランスをとっていて、より良い状態であるかという事は極めて重要です。何も絶対に矯正治療をしなければいけないと言うことではありません。全体がなんとなくでもいいので、大体バランスが取れている人は非常に長持ちしますが、逆に奥歯の一部だけがないとか、前歯の噛み合わせが浅いとか、どこかがちょこっとでもバランスが崩れていて、それが使えば使うほどだんだんずれていくような状況の人がいます。このような場合は、経年的に使えば使うほど壊れていくという、どうしてもその道筋なのです。

そして、ブリッジを選択した場合、長持ちさせるには、現状、ジルコニアと言うタイプのセラミックを使うのが良い場合が多いです。どうしてか?

それはジルコニアと言うセラミックはとても強度が強く、ほぼ変形する事はありえない位だからです。そのジルコニアでできたブリッジを、もし踏んづけたとしても、100㌔の力がかかっても、全く変形する事はありません。そのような材料をフレーム構造に使うわけです。

たまに固すぎるのではないかと言うことを言われる患者様がいます。そのような患者様の意見が出てくる背景には、もともと歯に1番良い材料は金であると言うことを聞いたことがあると。確かに金もとても良い材料ですが、今回の話はブリッジですので、3本程度以上の大きさの歯を作った場合に、それが一体となって連続していますので、中の最も力のかかる構造部分は出来る限り変形しないものが良いわけです。

金の良さと言うのは、多少のことであれば伸びたりするという延性と言われるものです。この能力は、歯の噛む表面の一部だけであれば非常に意味がありますが、多くの深い補強構造の土台部分にはあまり意味をなさないですし、3本つながっている途中の部分では、むしろ弱点となる可能性が出てくるわけです。また、実はわかりにくいかもしれませんが、昔のブリッジと言うものは金色をしているようで、実はその中に白金加金などプラチナ等のような材料を使っていたり、強度を増すためにコバルトクロムなど、他の材料を一部混ぜて合金として使っていることが多いです。

以上のようなことから、現状ではブリッジを使う第一選択としては、材料としてジルコニアをフレームとしたタイプを選ぶのが良いでしょう。また、ジルコニアタイプであれば、色も自然な白であり、細菌を寄せ付けない能力があるので、歯周病にも安全です。これは見た目だけにこだわっていると言うことではなく、お口の中で余計な細菌が繁殖しないと言う長期的な長持ち度にも関係があることです。無論、精度も重要ですから、長持ちさせるためには、それがどのレベルの精度でできているかと言うことも重要ですから、それもクリアしています。

最後になりますが、今回お伝えしたい事は、セラミックのジルコニアタイプが優れていると言うことも知っておいて欲しいのですが、何よりブリッジを作る場合には、金属を使うとなると変形するかもしれないということを充分考慮して選択してほしいということです。力が十分にかかることが予想される場合は、いずれそれが悪くなる、変形してくる。そして変形するためにその支台となっている歯が、いつの間にか自分が気づかないうちに悪くなっているかもしれない、そして、噛み合わせ全体が少しずつ変わっているために、様々なズレが所々起きている可能性があり、悪くなる原因となるということです。