Tag Archives: 虫歯

治療の中断の患者様

2024年5月19日

先日3年ぶりに訪れた患者様がいました。この方は左の下の歯に穴ができ、気になるからということで来院されました。

実は3年前の記録からこの歯も治療しましょうということで、治療が継続していたのですが、途中で中断してそのままやらずじまいでと言う状況でした。何本かの歯は痛みがあり、その時5回ほど通院してある程度治療は終盤に向かっていました。しかし左下の奥の歯はまだその当時大きな虫歯ではなく、痛みもそれほど感じず多少しみる位でした。そしてその患者様は、いちど無断キャンセルされ来なくなってしまいました。

当院では無断キャンセルされる方には対応としては厳しくしています。それは医院として確実に治療を行っていくことが重要であり、かつ歯科の治療と言うのは、事前に治療計画を考えたり、準備を十分にこちらも体制を整えて望まないと、1回1回が小さな手術のようなものなので、大体ではできないと言う考えで、約束を必ず守るよう伝えています。変更が多い方やキャンセルをされる方には、都度厳しく必ず約束を守る、もしくは約束が確定できない場合は確実に来れるその日に時間があるときに約束の電話をしてくださいと言うことをお願いしています。

さて、この患者様、結局その歯がどうなっていたかと言うと歯茎のキワから虫歯が進行し、神経のエリアまで虫歯は残念ながら大きくなっていました。そして麻酔の注射をしてどんどん削っていくと、奥のほうに行くとだんだん削るのに痛みを感じます。すなわち神経のあたりの炎症であまり麻酔が効きにくいために痛みを感じ始めたのでした。そして結果的にはやはり歯の神経の治療せざるを得ない状況でした。もしこの歯を3年前にやっていれば、神経のエリアまで歯を削らないでも治療が済んだかもしれません。

ですが、まぁもう仕方がないので、あの神経の治療を進めていくと言うことで、必ずしっかり通ってくださいと言うことをお伝えしました。治療が完遂するまで確実に約束を守って来ていただくと言う事は改めてお伝えしました。痛みがあると自然とその必要性に迫られます。しかし痛みが一旦取れたり、ある程度噛めるようになると、だんだん気持ちが油断してしまうかもしれません。しかしそれはやはり専門家のアドバイスに従ってください。患者さんの個人の判断はどうしても不十分なことがあります。

そしてまたこの歯は歯茎の溝の奥の方を削らなければいけないので、とても複雑な治療となりました。虫歯が浅い場合は、歯茎の溝の中の方まで削る事はあまり少ないです。しかし、溝の奥、歯茎の溝の奥を触ると言う事は、とても見にくく、かつ正確な作業がしにくい場所なのです。また治療途中に出血してきたりと言うこともあり得る場所で精度が落ちやすい場所なのです。それはすなわち治療が終わった後にも歯がどれぐらい生存するのかと言う長持ち度に大きく関わってきます。精度が高い治療ができるほど歯の寿命は長く安定するかと考えられますが、様々な不確かな難しいところをやれば心配な部分があり普通なら10年持つものが6年位で悪くなるかもしれません。

皆さんに知っておいてほしいこととして、歯の上のほうの虫歯なら、技術的にはかなり長持ちさせることが可能です。ですが、歯茎よりも奥が悪くなっているものは、どうしても不確かな要素の部分が残されたまま、治療が進んでいきますので頑張ってもどうしても後々悪くなると言うことが起きるのです。

どうしても仕方ない場合もあります。例えば、歯にヒビが入ってしまったなどです。これはもう早く来たからといって、もうそのヒビが歯の根の奥のほうに入っていますので、いくら気をつけてもどうすることがもできません。様々な状況があるので、全てうまく都合よく行くわけではないのですが現状を歯茎よりも上を何らかのもので補うと言うのはかなり優れた技術がありますので、長持ちするよう努めています。特にセラミックを使った場合や抗菌作用のある薬を使ったような治療では安定度がかなり高いです。

矯正治療と虫歯治療が同時進行

2024年5月5日

こんにちは。先日矯正治療中の患者さんで、かぶせ物が外れ、虫歯治療をすることとなった方がいました。

この患者さんは、左の上にかぶせ物がもともと入っていました。そして矯正治療が半年ほど経ち、たまたまそのかぶせ物が外れたのでした。外れた中は金属の下が多少悪くなっていて、虫歯を削り、もう一度かぶせ直す治療が必要となりました。

そうするとあなたはもしかしたら、その場所だけを治療して、また再度矯正治療が進んでいくのではないかと思っているかもしれません。しかし、実際にはそのようにはなかなかいかないことが多いです。

すなわち矯正治療中に虫歯ができる、あるいは以前から治療してあったところが取れたりなどする場合、どのようにしたらいいかは簡単ではありません。

まず前提条件として矯正治療中に新たに虫歯ができると言うようなことができる限りないことが理想です。これはしっかりと歯磨きをやると言うことになるのですが、矯正治療中は器具を利用していますので、歯磨きが難しくなっていたり、歯と歯の間がおろそかになっていたりということが考えられます。また歯がだんだん動いていくので、歯の隙間の形も若干変化していくので、丁寧な歯磨きが常に求められます。

次にもともとかぶせてあったものが外れてくる、あるいは悪くなっていた、ということはしばしば実はあります。これに対しての対処なのですが、まずそもそも矯正治療を開始する前に、詰め物を全部外してしまう。そして一時的な詰め物をすると言う方法もあります。しかし、これをやるとなると大工事になる患者さんもいて、現実的ではない場合が多いです。途中で外れるからといってその心配だけのために、すべてのかぶせ物を一旦外すと言うのは、いかがなものかということです。しかし途中で外れてしまい苦戦すると言う状況が起きるわけです。

今回の場合はどのようになったかといいますと、その一部の虫歯になっている歯をまず基本的な治療をします。そして、完全なかぶせ物を作らず、土台部分を元の歯と同じ位の大きさまで作り上げ、もう一度そこに矯正の器具を合わせ直すわけです。そして矯正が最終的に終了してからそこのかぶせ物は作り直します。

もし一旦これを完全にかぶせてしまった場合、実は困ることが起きる可能性があるのです。それはどういうことかといいますと矯正が進んでいき、最終的な治療が終わった段階で、そのかぶせ物をもう一度やり直しをしなければいけないかもしれなくなるのです。それは全体の歯が少しずつ動いていきますので、そうすると最終的な上下の噛み合わせの形をもう一度作り直さないと、正確には噛まないということが起きるからです。

ですが、今回の場合は矯正の治療も虫歯の治療も当院で行っていますので、それを総合的に判断して治療計画が進んでいきます。

一方、たまに以下のようなことがあるのです が、他院で矯正治療中なのだが、矯正治療中に歯が悪くなったので、この虫歯の治療をやってほしいと言う依頼が来ます。そうなると実はこれは矯正の治療の計画の中で、どのように虫歯の治療を処理していくのかということがありますので、分業するのは実は難しいです

そのような点で私は、矯正治療と虫歯治療はできる限り、同じ歯科医院で行うことをお勧めしています。

2年ぶりに来た患者様、治療途中でした。

2024年3月31日

先日治療途中の患者様で2年振りに来た方がいました。その人は歯の根の治療で通っているときに1度治療が中断しました。その歯の根の中には、炎症を抑える薬が入っていて、上から蓋のセメントをつけておいたのです。そして久しぶりに見てみると蓋が取れていないのですが、もう薬の効果が全くない位の時間が経っていて、そして左上の顔が腫れている状態でした。それはおそらく時間がだいぶ経ち、薬の効果がなく炎症が広がり、体調などもあり、疲れているときに周りの頬の方まで腫れていったのだと思います。

このように治療の途中で中断し、放っておくと大変なことになります。この歯は残念ながら抜くことになりました。

どうして中断したのかについて少し話を伺ってみたところ、どうしても性格的に長続きしないということでした。まあ確かに歯の治療は何度も回数がかかり、それを根気よく通うとなるとちょっと疲れてしまうこともなんとなくわかります。ですが、治療が終わるまでは必ず通った方がいいです。今回のような最終的に放置して腫れ、結局は抜くことになってしまったと言う大変悲劇的な結果に終わっているからです。

もう一つ理由としてどうしても歯の治療が怖い痛いということで、足が遠のいてしまうとの事でした。そうですね、それもなんとなくわかります。子供でなくても大人でもやはり怖いものは怖いです。できれば避けて通りたいと思うわけですが、でここで大きな落とし穴があり、それは最初は痛かったり、腫れたりするので、仕方なく行くのですが、治療を受けると一旦その痛みや腫れがおさまってくるわけです。そうすると心の隙、油断ができ、次回行くのはやはり怖い。何とか今症状がないから少しまぁ良いかと甘い考えになってしまうのです。人間ですので、どうしてもそういうこともあるかもしれません。

歯が抜歯になった場合、治療の期間はさらに長くかかる可能性があります。もしこれが根の治療だけで終わっていた場合どうでしょうか?確かに根の治療も回数がかかるんです。2、3回で終わるということは多分ないです。根の消毒で2、3回時間がかかり、さらに土台作りやかぶせ物といった処置がさらにその後にかかります。これらの治療というのは1回でできるものでは無いのです。どうしてか?根の消毒の際に薬を入れて、薬をしばらく1週間ほど放置し、薬を効かせてから次の作業が始まる。次の段階へ行く、また次の段階の薬を入れ、それが固まるのに24時間は待つ。土台を入れてもやはり固まるのに24時間は待つ。噛み合わせを一旦作ってから1度慣らしてから次の段階で型取りをする、などステップがあるということなのです。これらのステップはあまりはしおらないほうがいいです。端折らないでやることによって精度の高いものができるからそうなっているわけです。1回や2回で終わる治療というのは小さな虫歯の場合です。

ですので、もし抜いた場合、抜いてから約2ヶ月ほど歯茎が治るのを経過を見ていく時間が起きたりします。歯茎を消毒したり、歯周病の掃除したりをしながら2ヶ月ほど歯茎、骨の成熟の期間を待ちます。そしてその後に初めてインプラントを始めたり、もしくは部分入れ歯を作る、ブリッジを作る、後半部分がようやく始まるということなのです。ですから、歯を抜く場合の方が時間はとてもかかるのです。

インプラントと全身疾患について

2024年2月25日

先日インプラントの治療を希望された患者さんで、私は今、内科とか色々とかかっているが、大丈夫か?と言う質問がありました。インプラントを治療する際、患者さんは多くの場合、内科や整形外科、眼科、耳鼻科、もしくはもっと大きな手術をしたということで大学病院やがんセンターなどいろいろなとこにかかっていると言うことがあります。

ですので、患者さんには今どこか他に今まで病院にかかっているか?と言うことを聞きます。

そしてその様々な病院やクリニックでどのような薬が出されているか、どのような治療や経過となっているかなどのやりとりをします。これはファックスや紙面で行います。このようなやりとりは今後の医療において、さらに一般的になっていくと思われます。それは何もインプラント治療するからと言うわけではなく内科にかかっていて、その先生が整形外科に手紙を書いて確認をする。皮膚科にかかっていて、その先生が外科に手紙を書く。歯科にかかっていて、呼吸器内科に状況を確認する、などです。

これは単に薬がダブっていないか、薬が副作用などで反応しないかなど様々なことを聞く必要もあるのですが、それ以上に例えば、既に内科で何年もかかっていて、様々な血液検査データ等があり、どのような状況かと言う概略が判断できて、歯科治療を行う上でとても便利なわけですし、患者さんにとってとても有益な情報が手に入ることがあるわけです。

例えば、飲み薬なんかでアレルギーがある、あるいは血液検査でデータがあまり安定していないので、侵襲の大きい処置は今しばらく待ったほうがいいなど。他にももっと大掛かりな場合だと、この先入院して手術を行う予定があるので、その際に全身麻酔をするのでお口の中の歯の状態が悪いと、オペ中にいざと言う時に歯が折れたり、それが喉の気管に詰まってしまったりと言うような様々なトラブルが起きないために、お口の中の安全状態を確認したい。あるいは必要なことがあれば、先に治療しておいてほしいなどと言う依頼もあります。

特にインプラントの場合、関係してくるのは、例えば糖尿病などの状態が安定しているのか。血圧がある程度コントロールされているのか。易出血性の薬を使用していて、その薬に関して主治医として何か見解はあるか。

すなわちここはちょっとややこしい話なのですが血液サラサラの薬、ワーファリンなどを飲んでいると、患者さんはよく私たちに言ってきます。そうすると、外科的な処置をするその直前直後に一時的にその血液サラサラの薬を止めて、インプラント手術をやることがあるわけです。ですが、最近のエビデンスでは、それらの薬を止めないまま治療した方が良いし、それは充分可能であると言うようなレポートが増えているわけです。それに準じてオペを行うことが多いのですが、実際にはやはり止めたほうがいいとか止めないでほしいと言う内科の先生などの希望があったりするのです。それらのことを全く無視して連携しないで、治療が一人歩きしていくと言う事は無いのです。

ですので、対診と呼ばれるこのようなお互いの情報交換というのが行われます。現場では紙ベースでのやりとりですが、今後このようなことがコンピュータのクラウド上などで情報共有できるのではないかということも言われています。今現在では薬の情報はある程度共有できるということがわかっています。

各医院にあるコンピュータを用いて、その人の保険証カードを使って、どのような薬が処方されているかなどがわかったりするのです。ですが、現状ではそれをただ見て判断するのではなく、やはり紙ベースやメールファックスなどを用いてお互いに文章でやりとりをしています。というのも、やはりそれだけではちょっとやはり心配と言うこともあり、念のためお互いちょっとしたニュアンスもあるでしょうから、今一度確認しあっているのです。

さて、上記の患者さんに関しては、糖尿病の状況としては数値がだんだん良くなってきているので、数ヶ月、念のため待ってからこちらで確認してからゴーサインを出したいと言う意見が出ましたので、もう一度内科に行っていただき検査データの安定をもう一度だけ確認してからインプラントオペの日取りを予定することとなりました。

糖尿病などの全身疾患とインプラント手術の可否について

2024年2月18日

前回、他院にてインプラント治療は難しいかもしれないと言われた方の話をしました。その方の続きをまたこちらでお話ししていきたいと思います。

その患者さんは糖尿病という病気を持っていて、内科を月一回受診されていたそうです。そして前医の歯科医院では、糖尿病があるとインプラントができないことがあると言う説明を受けたそうです。

当院でインプラント治療する場合、もしその方がどこか病院やクリニック等で治療を受けている場合は、各病院にその病状の確認をするための医療情報連携のための対診書を送って状況を確認しています。もちろん患者さんにその旨伝えてです。そうすると糖尿病の場合、どのような治療を行っている、例えば注射を打っているなどです。

そこで、今どのような状態なのか、数字が良い悪い、安定していないなどそのようなことを教えていただけます。でもちろんそうなのですが、この数字が安定してなくて病状が悪ければもう少し安定するのを待ったほうがいいかもしれないと言う内容のことが書かれていますし、ある一定以下の数値で安定していれば、内科的にはこのまま治療続けるが、特に歯科の方で何か治療してもらっても構わないと言うニュアンスの返答になっています。ヘモグロビンA1 c言う数字がよく出てきます。

この数字が7以下であることが1つの基準であるとよく言われています。それ以上の数字であれば、内科ではかなり生活改善や運動しなさいと言う強い指導があるのではないかと推察します。インプラント治療を行う上では、この数字が5以下などかなり安定していると非常に良いのですが、実際にはそのような人ばかりではありません。7以下である、その他の全身疾患がどのような状況かなど総合的に考えてインプラント治療はできる場合が多いです。あるいは今すぐできなかったとしても、多少経過を見て体の状態が安定していれば治療は可能です。

その時の注意点としては易感染性という言葉があり、糖尿病の状態が良くない場合には感染症になりやすい、すなわちインプラントは外科治療で歯茎を切ったりするので、その時に感染症になりやすいと言うリスクがありますので必ず抗生剤等の薬を飲むなどの併用が必要となり、それを厳守していただきます。また、お口の中の衛生状態も感染と関係がありますので、定期的な歯のクリーニングも術前から受け、きれいな状態をキープしていくことを目指すことになります。

また広い意味で話しますと、リスクとベネフィットと言うことになるかと思います。多かれ少なかれ40代以上であれば内科など何らかのクリニックにかかっている事は多いです。そして全く病気がない完全なる健康体であると言う人も少ないわけです。そういう中で全身状態を出来る限り悪くない状況に持ち込み、あるいは定期的に内科など通っていただき、健康状態をできる限り悪くならないようにキープして様々な歯科治療を進めていくということだと思います。

特に歯科治療でインプラントの治療すると言う事は、これはかなり体を守るという意味があります。しっかり噛めない状態で普段生活をしていると言うことなんですね、歯がない人は。歯がない状態、しっかり噛めない状態で普段生活していればどんどんいろんなところが悪くなっていきます。

食事もしっかり噛めない、そうなればお酒をたくさん飲んでしまったり、柔らかいものや甘いものをたくさん知らず知らず取りすぎてしまったり。またしっかり噛めないので運動もいまいち。しっかり噛み合わせがあれば力がぐっと入り運動もできるし、普段の歩いたり走ったりちょっとした運動でもしっかり体が反応し楽しく生活エンジョイできるわけです。ですので体を守るためにもインプラントはしたほうがいいなと私は思っています。

自分の体の中にしっかりとした噛み合わせがあれば、かなり安定していて、さらに体が老化していくのを止めているのです。アンチエイジングということですね。
そういう意味においてどうするのかということです。

歯周病と、セラミックのかぶせ物の関係

2024年2月4日

こんにちは、今回はセラミックのかぶせ物の良さについて話をしたいと思います。特に歯周病との関係性に関して話をしていきたいです。
歯を治療する際には、かぶせ物に種類があるということは皆さんなんとなくわかるでしょうか?
例えば、金属の銀歯、セラミックの白い歯、プラスチックの歯など。かぶせて治療すると、それが見た目がどのように見えるかとか、自然ぽい歯に見えるとか、そういうことが気になったりする人も多いと思います。そういう意味ではセラミックが1番良いでしょう。また金額という意味からすると、セラミックではなく保険の歯を入れようと言う方もいるかと思います。金属でもゴールドなどを使えば噛み合わせがしっかりして良いのではないかと思っている方もいるかもしれません。
このようなセラミックの被せ物という話と、歯周病がどう関係するのか?と思われる方もいるかもしれません。かぶせ物というのは白いのか銀色なのか強度がどうなのかなどと多くの方は考えているのではないでしょうか?
ですが、実は歯周病ととても深い関係があります。かぶせ物をかぶせるということは、自分の歯にそれをくっつけてるわけで、そのくっつけているギリギリの境界のところがあるわけです。もともとの自分の歯の根があり、そこから先がセラミックなりのかぶせ物になってるわけです。このギリギリの境界線、これをずっとズームアップしていくと、とても重要な問題があるのです。この境界線には、ほんの少しだけ隙間、段差ができてしまうわけです。となると、隙間に汚れや菌が溜まって繁殖していくわけです。それが歯周病の温床になっていることがよくあるのです。皆さんは歯周病と聞くと、テレビのコマーシャルなどでいろいろなものを見ていると思うので、なんとなくイメージがつくと思うのですが、歯周ポケットと言われる歯茎の溝に細菌がくっついていると想像するのではないでしょうか。ですから、歯周ポケットをしっかり、歯茎のキワをしっかり掃除すれば良いと。
確かにそうなんですが、実際のところはそんな単純な話では無いのです。ほとんど多くの人は歯の治療を何回かしたことがあり、そしてかぶせものなんかがお口中にあちこちに入ってたりするわけです。このかぶせ物には必ず境界がありますので、そこの段差、隙間があれば歯周病菌が繁殖して歯周病を悪化させていくということなんです。

この段差、隙間なのですが、これはとても厄介な問題があります。そこには小さな隙間があり、その隙間はどんなに精度高く作ったとしても存在します。そしてそれが一般的には30ミクロン程度から200ミクロン程度ではないかと言われています。もしこの隙間が30ミクロン程度であれば実は歯周病にほぼ影響しないということがわかっています。その程度の隙間では歯周病菌がほとんど繁殖しないからです。

逆に200ミクロンの隙間があれば、もうこれは非常にやばいです。その隙間の中を完全に掃除することはとても困難で、歯ブラシで掃除してその200ミクロンの溝の奥をきれいにすると言うのはちょっと不可能なんです。また、様々な掃除機具や歯科衛生士による歯のクリーニングを行ったとしても、200ミクロンの隙間の中は完全にきれいにするのは非常に困難を極めます。ですから、最初から隙間を作らないことなんです。治療をする際に、最終的なかぶせ物をする場合には、隙間がないような治療方法を検討するべきなんです。

現状、隙間を少なくする材料の1つがセラミックです。他にもゴールドを使ったかぶせ物と言う選択もありますが、昨今では金属アレルギーなどの様々な問題があり、メタルフリーという言葉があり、金属は出来る限り使わないで歯のかぶせ物を作ろうと言う流れになっています。もちろん金属には金属の良さがあり、それをうまく利用できればそれを選択するのもありだと思います。ですが、セラミックが最も現状では精度が高い、摩耗しにくいなど、総合的な能力は1位であると考えられています。

セラミックで作ったかぶせ物は一般的には誤差は30ミクロン位の隙間で済みます。ですからとても安心安全です。実際、私が臨床で多くの患者さんを見ていて気づくことですが、右上の前歯にセラミックが入っていて、左上の前歯にプラスチックや金属の保険の歯が入っている場合、歯茎の溝の炎症具合が明らかに差があります。

特にこれがプラスチックの白いものとセラミックでは差が出ます。これは一般の方が見ても多分わかるレベルです。プラスチックは吸水しますので、だんだん色も変色していくし、なんとなく黄色っぽい色になっていて、ざらざら感も出てきます。そしてそこに200ミクロンもの隙間があるとなると、ここでどんどん細菌が住みついてしまうわけです。

一方、セラミックの場合は細菌がそこに住むということはとても難しいですので、いつまでもつるっとした状態、衛生的な状態が続きます。
このような意味で歯周病対策としては、かぶせものはセラミックが現状ベストであると考えます。

宝くじと歯科診療

2024年1月18日

こんにちは、お元気にお過ごしでしょうか。一般的に歯の治療、歯医者に行くというと、多くの方は怖い、痛い、嫌だとそういうイメージを持っているのではないでしょうか。歯科医院にプラスのイメージを持っていけると良いですよね。今は悪かったとしてもだんだん良くなる。もっときれいになる。しっかり噛めるようになる。そしてその先には楽しく旅行に行けるなど。

ですが、その場ではやはり注射をしたり、場合によっては歯を抜いたりなどどうしても今まさに起きている事は、大抵の場合嫌なことなのかもしれません。そしてその治療は一回で終わる事はなく、2回3回と少なくともそれぐらいはかかったり、場合によっては何ヶ月もかかったりという状況になっているんだと思います。

ですが、この1回一回の積み重ね、治療が確実に進んでいくこと、それがやはり必要なので、そのようになってるわけで1回一回を大事に考えなければいけないですし、その時行って良かったと思えればいいですよね。

このようなことを私はよく自分の友人なんかと話をしたりしています。無論その友人と言うのは歯科医師ではありません。私の昔からの友人で今医院に時々通っている患者さんでもあります。そうすると彼曰く、なんかここに来るのに怖いなぁって思うけど、楽しいことがあったらもっと来やすいのにね。なんて気楽に言ってきます。そして、クラシックの音楽が流れてるけど、これ落語でも流したらいいんじゃないの?そしたら楽しいんじゃない、などと言われたことがあります。

そうですね。クラシックを流してリラックスしていただくことも1つだし、落語とかお笑いを用いて緊張をほぐして、楽しい雰囲気に持ち込む、というのも1つの手かもしれません。

当院では実は1つの試みをしています。それは年1会、患者様に宝くじを配っているのです。この宝くじは1月に皆さんに院内新聞を配布するときに同時に渡したりしています。この宝くじには番号が書いてあり、その番号の末尾数桁によって何かが当たったりするわけです。くじはハズレは無しです、少なくとも歯ブラシ1本はもらえます。一等、2等など上位の当選となると、たくさんの予防グッズがもらえたり、歯ブラシや歯磨き粉など家族みんなで使えるような衛生用品が当たったりします。特に小さいお子さんは宝くじを握り締めて医院にやってきます。

何が当たっているんだろう。何がもらえるんだろう?宝くじを受付に出して引き換えをしています。とても楽しみにしてくれています。このようなことでも少しでも人の気持ちが変わり、モチベーションが上がればとても良いことなのではないかなと私は思っています。少しでも人の幸福につながればと思っています。また子供だけでなく、大人でもやっぱりちょっと嬉しかったりという表情を浮かべます。

私は子供の頃、年賀状のお年玉付きの葉書が大好きでした。この葉書で何が当たっているかを一生懸命しっかりとチェックして見ていました。そんなに凄いものは当たった事は無いですが、記念切手と交換したりとかそういうことがありとても嬉しかった思い出があります。

そんな自分自身の気持ちもあり、この宝くじを年に1度行っているわけですが、歯科医院独特のどうしても怖い、痛いと言うイメージを変化させ、楽しんでいただけたらと思います。そして、それが多くの人のお口の健康や幸せにつながっていけば嬉しい限りです。

ただ、歯科衛生士が歯を磨きなさいというだけでは意気消沈したりという方もいるかもしれませんものね。

国民皆歯科検診

2024年1月14日

歯が悪いということは、危険です!そして全身疾患の予防の入り口は歯を守ることです

こんにちは、お元気にお過ごしでしょうか?あなたは国民皆歯科検診という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ここ1年位で国会などで取り上げられている内容です。すべての国民が歯科の検診を行い、歯の予防をした方が良いと言う考え方をもとに作られています。これはどういうことでしょうか?

例えば、今現状、国レベルやその地域都道府県や市レベルなどで様々な医療の検診が行われています。簡単な例を挙げると、メタボリックにならないよう、糖尿病に関して検診を受けよう、血液検査等用いて、定期的な健康診断を受けようなどです。このようなものは国やその地域の行政の補助の予算がついて、国民が1部負担もしくは無料で受けられるようになっています。そしてそのようなことを国が旗を挙げて国民に進めていくわけです。そうすると無防備な状態で、いきなり病気になって、高い医療費がかかってしまうというようなことにならないように、ということなのです。普段から悪くなる前に早期発見をしよう、予防をしようという考え方です。

このような早期発見や予防という概念は昔は全くなく、病気になってから初めて病院に行く、悪くなってから、病院に行って検査をしてみたらとっても悪かった、という状況だったかと思います。ですがどうでしょう、ここ数年は大抵の人が健康診断を受けたり、個人で人間ドックに行ったりといろいろなことをしていると思います。そうするといろんな検査を受けることによって病気が発見される。あるいは病気の可能性があるので、今から少しずつ気をつけていくということになるわけです。

もし骨粗しょう症のリスクがあれば、そのような薬を早めに飲み始める、普段から食生活に気をつける、適度な運動に心がけるなど、そのような行動に変わっていくわけです。そしてその結果、大腿骨骨折など大きな病気を未然に不足防ごうと言うわけです。

では、この国民皆歯科検診に関して考えてみると、歯の健康や歯の定期的な検診はどれぐらいの人が受けているでしょうか?たまに歯科医院に行き、歯の検査を受けているという人は、様々な統計から15%にも満たないと言われています。歯科医院に行くのは歯が痛くなった、詰め物が取れたなど何らかのやはり理由があって初めて行っているということです。悪くなくても定期的に行っている人はかなり少ないです。悪くなる前に定期的に検診に行き、未然に防ぐということは非常に意味があるかと思います。が、今回これを国を挙げてどうしてやろうとしているかというのには、実は大きな理由があります。それは様々な病気の原因のスタート、初期症状はお口の中をきれいにすることによって、お口の中を良い状態にすることによって防げる可能性があるということがだんだんわかってきたからです。

80歳になって歯が20本残っている人と80歳になって歯が5本ぐらいしかない人この2人を比べてみると、やはりはが20分本残っている人は健康的であり、あまり病気には罹患していません。一方で、歯が5本しかない人は様々な病気にかかっていて、何度も入院をしていたり、たくさんの病院にかかっていたりします。このようなことから歯が丈夫であれば、余計な医療費を支払わなくて済むということが言えるのです。

すなわち今、日本社会は極めて多くの莫大なる医療費に悩んでいるわけで、この医療費をどうしたら抑えられるかということが様々な観点から考えられ、実践が行われてきたのです。そしてその中で健康な状態である、すなわち、お口の中が健康な状態、歯がたくさんあるような状態であれば大抵の病気にはかかりにくいということが統計的にわかってきたため、国民の歯を守ることが最も実は近道であると言う戦略になったわけです。

大きな病気になって、それを治すための医療費を使う、もしくは様々な特殊な手術をより先進的に行うという努力よりはもっと簡単で入り口部分にあるお口の健康を守るというところをしっかりと押さえていこうと言う方針なのです。

あなたも自分のお口の健康をぜひ守ってください。口の健康は単に食事がおいしいということだけにとどまらず、ご自身が様々な病気にかかりにくいと言うとても大きなメリットがあるのです。
歯科医師による検診と歯科衛生士による予防処置を両方受けるとより安心です。

歯科衛生士の院内教育、技術について

2023年11月23日

あなたは、歯科医院に定期的に通っていますか?

歯科医院に定期的に通ってやる事は何か、それは歯科衛生士における定期的なクリーニングのことです。予防の掃除です。もしあなたが自分の車を2年も3年も全く洗わなかったとしたらどうなると思いますか?とっても汚れて、もしかしたら痛んでるかもしれないですよね。車検を受けないまま5年乗り続けてオイルも交換していない、大丈夫だと思いますか?やはり時々はチェックしたり、定期的なお掃除、手入れしてあげたいですよね。そのほうが安全ですよね。

私は人の体が清潔であるとか細菌が少なくて、安全である…お口の中で言えば歯の側面や溝のあたりがつるっとしていて、気持ちが良い、こういうことがとても大事だと思ってます。そしてそういうことが人の人生の豊かさを作っていると思います。

ですので、ぜひとも皆さんには定期クリーニングを受けてほしいと考えています。
そこで、その定期クリーニングと言うのは歯科衛生士が行う処置です。その歯科衛生士の定期クリーニングの処置のために院内では教育を行っています。具体的には2ヶ月に1回ほど外部から講師に来てもらい歯科衛生士の実技のトレーニングをやってもらっています。手がうまく動くことも大事です。いかに効率的で合理的にお口の中をきれいにできるのか。そして痛くなく。もっと言えばどうやったら患者さんが気分良く、その定期クリーニングを受けられるのか。いわばエステに行っているかのように。何となく気分良く、昼寝のような気分になれるか。

どうしても一般的には歯科医院に行くと痛い怖いというイメージがあると思います。そういう中で気持ちよく患者さんに通っていただく、特に虫歯があるわけではないのに、歯科医院に来いという事ですので、もしそれが歯を削っているわけでもないのにもかかわらず、とても痛かったら。それはちょっと残念となってしまいますよね。技術の研鑽がとても大事となってくるわけです。実際の歯科衛生士の研修の際には、技術のトレーニングを受けているわけですが、様々な実際の臨床的な質問はたくさんディスカッションされています。自分が見ている患者様がこのような状態でどうしてもこういう時にうまくできないと具体的な質問がよく出ています。このような患者様にどのように説明したら良いのでしょうか?とかです。

そして、私たちは学校を卒業すると、それ以降勉強しないと言う状況が起こりやすいです。
仮に勉強しなかったとしても、様々な社会を通して実学を学ぶと言う環境は確かにあるとは思うのですが、歯科医療は専門医療ですので、専門家としての学びがどうしても常に必要であると私は考えています。

それは新しいことを常に学んでいく、医療ですから、日々進歩していきますので、新しい技術、新しい認識、知識、見識を得ていくという事はとても必要だと思います。

あともう一つ学ぶことでの何が大切かというと、私たちはどうしても忘れていくと言うことです。いつの間にか忘れてしまう。せっかく学んだのにもかかわらず、常にいろいろな勉強していないとだんだんだんだん記憶はあやふやになっていきます。例えば包丁はいつしか、だんだん切れ味が落ちていきます。ですから、時々手入れをして切れ味を良くしてあげることが大事です。

歯科衛生士学校で学んだことが、だんだんといつしかあやふやになったり、いまいち自信がないようなことになっていたり、そういう意味において、確認復習ということもとても大事だと思います。

歯科衛生士学校を卒業して、お疲れ様といいたいところなのですが、また新たな成長が待っているのです。