Tag Archives: インプラント

東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

インプラント治療と造骨

2023年3月30日

インプラント治療を行っている上でよく相談されることがあります。

様々な相談を受けますが、特に当院に来院される方で他院で断られてきている方も結構見受けるのです。それはどのような場合かと言うとあなたの場合は骨が少ないから難しいです、無理ですと言われている場合です。このような場合には骨を増やしてインプラントを安定させると言う方法がありますのでその点に関してお話をしたいと思います。

人は加齢とともに骨が減っていく

さて、人は加齢とともに骨が減っていきます。生理現象としてある程度減っていくわけです。それが自然な生理現象の範囲であれば特には問題ないと思われます。具体的には骨や歯茎は20歳を過ぎてから0.1ミリずつ減っていくと言うことが論文で示されています。そうすると仮に20歳から30年経ったとして50歳になった時、3ミリほど骨や歯茎が減っていると言うことになります。

あなたはこの数字を聞いてどう思いますか?とても多い数字だなぁ、大変なことになるなぁ、と感じますか?あるいは3ミリ位ならまぁ普通、少しずつ歯茎も減ってくしそんなもんかなぁ、と感じた人もいるのではないでしょうか。人は多くの場合どうも体重や脂肪はどんどん増えていき残念なのですが、歯の本数が減ったり、歯茎が歯茎の周りの中の骨が減っていったり、すなわち歯周病が進むと言うことです。

このような場合は寂しいですね。特に髪の毛が減っていくなど気分がちょっと滅入りますね。ここで皆さんに考えてきていただきたいことの基本的な事の1つとして20歳を過ぎて全くエイジングしていかないと言う事はありえないと言うことです。エイジングとは老化です。20歳を過ぎてもう老化?と思われる方もいるかもしれませんが、現代は人生100年時代と言われとても昔では考えられないような人間は長生きの人生になっています。これも様々な医療や科学が進化し進歩し私たちはもっともっと元気で長生きできる時代に突入しているわけで、本来原始時代、人間は20歳まで生き延びると言うことさえとても大変だった時代を何十万年とやってきたわけです、過去に。ですのでこの何十万年と言う長い長い歴史を考えると、今、驚異的な勢いで健康寿命も伸びていますが、元来、ですから骨や歯茎が20歳を過ぎて減っていくと言うのは何ら不思議なことでもないし、むしろ健康的な状態と考えても良いはずです。

しかしながらやはり私たちはできればいつまでも若く生き生きと元気でありたいと願っているものです。ですから1年に0.1ミリと言われてもそれがもし0.05ミリで済むならそのほうがいいと思いませんか。さすがにゼロと言うわけにはいきませんが、出来る限り少なく現状を維持したいわけです。そのようなことをアンチエイジングといいます。エイジングを止めると言うことです。エイジングに対して抗うと言うことです。できるだけ骨や歯茎が減らずいつまでも健康的で美しい口元、美味しくご飯が食べれる楽しい日常生活が送れると言う事ですね。

インプラントは無駄なのか?

さてインプラントの話に戻しますが人間は必ずエイジングしていくのですがじゃぁインプラントしても無駄なのかと言うと決してそんな事は無いのです。むしろまさにインプラントこそアンチエイジングの効果を最大限に発揮できる方法なのです。インプラントを足して歯の足場をしっかりと作った場合、残っている他の歯茎、骨などに負担が軽減されるので、先に述べた0.1ミリずつ減っていくと言うのを抑制できるわけです。もし何も抵抗しなければ0.1ミリどころか0.5ミリ1.0ミリとどんどん減っていくわけです。ここに歯止めをかけなければいけません。歯止めをかけるためには、インプラントを増やししっかりとした足場を用いてアンチエイジングするのです。

ですがもうすでにだいぶ骨が減ってしまったよ、歯茎もかなり減ったよな、と言う患者様も多く見られるわけです。そのような方に何とかして骨を増やしインプラントを入れてあげたいわけです。骨は際限なく増やせるかというとそのような事は決してありません。多少なら増やすことが可能です。そして若ければ若いほどそれは非常に効果を発揮しやすいし安定性も高いです。一方残念ながら年齢が行けば行くほど骨を増やす事はとてもに難しい技術となっていきます。

骨を増やす方法

骨を増やすと言いますが具体的には様々なやり方があります、

1.自家骨移植

この方法は自分の体のどこかから自分の骨を少しだけ採取してその骨を足りない所へ移動させてくっつけてやると言う技術です。体のどこからなんだ?と言われても、例えば足の骨か何かを移植するようなことも昔は行われていましたが現在ではほとんどそのような遠く離れた場所から自分の骨を移植するような事はありません。自分のお口の中のどこかもう少しここだったら骨を多少使っても問題ないよねと言う安全な場所から骨をとって、ないところに移動させるのです。

へぇーなんかこのような話を聞くととても大変なことのように思われるかもしれませんが、実際にはその移植する量は極めて少ない量です。例えばの大きさで言いますが、ビー玉一個位。どうですか?これぐらいの大きさだったらそんなに怖くないと思いませんか?いやとても怖いと思いますか。人それぞれ感じ方は千差万別です。今、私は具体的な例としてビー玉一個位と言う量をお伝えしましたが、これは実際にはどの程度の骨が減っていて、どの程度の手術部位をやるのかによって随分と違ってきますもし、歯が全くなくてとても広い範囲にわたってやるのであればやはりそれは一個では済まず、5個位なのかもしれません。ですが逆にとてもそんなにたくさんは必要ないよと言うことも結構多々ありまして、ビー玉一個どころか米粒5粒位で済むこともかなりあるのです。

そしてさらにこれをもう少し詳しく説明すると、ビー玉5個分位の大量の量をもし移植が必要だとするとそれは自家骨だけでそれだけの量をどこかから賄ってくると言うのはやめたほうがいいかもしれません。逆に少量の米粒程度で済むのであればそれは自分の自家骨を利用するのはとても良い方法であると考えられます。しかもその自家骨は、実際にインプラントを入れるために小さな穴を削ったりするのですが、その際に削り取られた骨を確実にしっかりと回収しそれを生理食塩水などで洗ったり処理をしてそのまま大事に足りないところに移動させると言うテクニックがあります。このようなことをすれば大きくどこかを切って集めると言うこともなく非常に小さい範囲で手術が行えるので削った骨で済むのであればこれをまず第一に選択するのが良いでしょう。

2.人工骨及び他家骨

人工骨はその字のごとく人工的にできた骨に代替する材料のことをいいます。日本ではいくつかの製品が厚労省より認可を降りており様々な場面でインプラント治療だけでなく医科の治療でも使われているタイプのものもあります。他家骨とは何でしょうか?これは一般の方にはとてもなじみのない言葉かもしれません、これはちょっと簡単に説明してしまいますが例えば他の動物などの骨をうまく活用しその中の成分だけをうまく科学的に処理して骨として利用できるような加工技術がありまして、人間の骨ととても類似しているので骨の結晶構造だけとしてはとても利用がしやすいと言うことで海外ではとても使われている材料です。日本では必ずしも第一選択ではありませんが、患者様の了承を得て使っている場合など様々な諸事情によりこれを導入していることもあります。

人工骨の良い点は体のどこかからそれを持ってくるのではなくもともとその製品が用意されていてそれを足りない分だけ補ってやれば良いと言う点です。先ほども言いましたようにビー玉5個分であれば5個分の人工骨の体積を用意すれば済むことで、さぁどっから持ってこよう、こっちから?と悩む必要もないわけです。ですがこれはとても高価な医療材料なのでそこがネックになることをもあるかもしれません。

3.自家血よるフィブリンを用いる手法

あなたは病院で採血をしたことがあるでしょうか?血液検査などで採血をすると言う事はありますね。あるいは手術の前に自分の血液をある程度ストックしておいてもし輸血が必要になった場合に自分の血液を使うと言う、そういうことも経験したことがあるかもしれませんね。今から紹介する手法は手術当日その場でまず採決を行います。

採血といっても10 CCほどなのでとても少ない量です。この血液を特殊な機械にかけてそこから血液中にある成長因子だけを取り出すと言うことができるのです。この成長因子のことをフィブリンなどと専門用語では言っています。このフィブリンを人工骨の代わりに活用すると言うものです。正確にはフィブリンの中に自分の削った骨を一緒に混ぜてコンデンスしていきます。この混ぜたものが足りない部分の足場となり、骨を作ることができるわけです。この方法の良い点は人工骨を使わないと言うことです、大量に。人工骨はとても高価な材料ですのでそれを大量に使うとなると結構な手術費用がかかっていきます。

しかし自分の削った骨では、もともと自分のものですから、それで済むのであれば非常に良い方法なわけです。そして人工物を外から持ってくるわけではなく、そもそも自分の体にの中にあったものを自分の体の中に入れているだけなのでとても安全ですね。フィブリンを使って造骨を図ると言うのは実は昔から行われていました。昔と言うのは海外ではもう20年ほど前から色々と試行錯誤して行われていました。日本では10年ほど前から行われていると思いますが、まだまだそれほど普及しているとも思えません。

医院長の考え

以上を踏まえ、私の個人的な手術におけるオススメはやはりフィブリンを使う方法です。実際にオペをした際に、様々なことが起きます。充分に骨があるだろうと思っていても小さなスポット状の穴が空いていたり、思った以上に骨が弱かった、もろかった、その他周りの粘膜に影響を与えそうである、そのようなことをリカバリーするためにはフィブリンがあるととても安全に手術ができます。またどのような条件下においても削った骨は出来る限り回収しておいて、いざと言う時に使うことを考えています。そうするとやはりフィブリンを用いてより良い形を作り直す。すなわち造骨する必要があるないにかかわらず多少の凹凸や骨の減り具合はあるので、そこに常にフィブリンを入れていき成長因子を入れることによってより確実にインプラントがくっつく、より確実に歯茎が治る、より良い条件の形に治っていく、治癒していくと言うことを目指しています。

この造骨と言う課題に関しては今大枠を話しましたがさらに上顎なのか、下顎なのか、前歯なのか、場所によってもまただいぶ話が込み入ってきますので、また後日お伝えしていきたいと思います。

多くの患者様が様々なネットなどでインプラントの情報を検索したりして比較検討していると思います、ただこのフィブリンの話に関してはかなり高度でわかりにくい話でかつどれだけ一生懸命その文章や写真等を見ても、そのイメージがつきにくいと思います。骨を削る、骨を増やす、インプラントを入れるなどと言う言葉はとてもわかりやすいのですが、フィブリンと言う話になってしまうと一体何を言っているのやらと言うことになると思います、これはもう医学的な専門的な理解のレベルになってしまうので、ただ現時点では皆さんにはフィブリンと言う成長因子を用いた技術が実は様々なところでインプラント以外にもかかわらず現在活用されつつあると言うことを知っていただければと思います。

東海市 歯医者 小島歯科室 インプラント

インプラント治療と麻酔

2023年3月26日

あなたはインプラント治療を受ける際に、手術って怖いなぁ、どんな麻酔するのかなあ、全然痛くなくできるかなぁ?などいろんな想像をするかと思います。今回はインプラント治療をする際における麻酔についてお話をしたいと思います。

麻酔について

多くの方が麻酔注射を歯科医院などで打ったことがあるのではないでしょうか。

麻酔注射は歯茎のあたりなどに細い針で注射を打つものです。その注射を打つことによってしびれてきて治療をしても痛くないと言う状況になるわけです。また中には最近では美容外科などがとても世の中では流行っていますので、笑気麻酔と言うものを聞いたことがあるのではないでしょうか。笑気麻酔と言うものは随分と昔から歯科医院では一般的に使われていたものです、例えば子供の治療の際にどうしても怖い、暴れてしまうって言うような場合に子供を落ち着かせるために笑気麻酔を使ったりします。あるいは大人でも、どうしても治療が怖いからと言うことで軽度の鎮静作用があり、怖さを取り除くために笑気麻酔をすることがあります。またイギリスなど海外では産婦人科で出産の際に痛みを和らげるために笑気麻酔を使っていると言うような国もあります。

ほかにも、静脈内鎮静法と言う麻酔方法があり、これは手に点滴をしてほとんど気を失うような状態で本人はほとんど何も覚えていない、しかし全身麻酔のように全く麻酔がかかって何も身動きも取れないと言う状況でもないものもあります。我々術者が患者様本人に話しかけると一応簡単な返事はしてきますですので、意識はあるのです。例えば痛くないですか?などと聞いたり、お口開けてください、などと言うと患者さんは、それに対して頷いたり返事をしたりしてゆっくりとその動作をするのです。この静脈内鎮静法が終わった後にどのようなことを受け答えをしていて、とか怖かったとかと言う、その一時的な時間の記憶ははっきりしていません。そういう意味ではあまり何も覚えていないと言うことです。

さらに全身麻酔と言う言葉を聞いたことあると思うのですがそのような本格的な麻酔と言う方法も一応考えられます。ですが歯科医院で全身麻酔をすると言うのはあまり一般的では無いですし、ほとんどそのようなことが行われる事はありません。

インプラント治療で用いられる麻酔

ではもう少し細かくインプラント治療に実際に行う際の、麻酔のレベルを軽度から高度なものまで細かく見ていきたいと思います。

1.麻酔注射

まずこれはそのインプラントをする場所の周りに局所麻酔注射をします。この局所麻酔注射は必ずするものです。仮に本人が全身麻酔をしていたとして全く痛くないと言う状態だったとしてもこの局所麻酔はします。と言うのはもしこの局所麻酔をしていないと患者さん本人は痛いと飛び上がるような事は無いのですが、脳や体は実際には痛みを感じるので、その痛みのダメージが後々残ってしまうので必ずするものなのです。そしてこの麻酔注射は皆さん多くの方が普通の歯科診療で実際に受けたことがあるものです。ちょっと、ちくっとするあれですね。そしてこのちくっとさえも痛くなくするための工夫が表面麻酔です。表面麻酔とはこれから麻酔注射をして針を刺すところを一旦表面麻酔用の塗り薬で消毒をします。この塗り薬で消毒をすることによって人によってはかなり痛みを感じないで針を刺すことができるようになります。

ただ針自体の痛みはなくても、実際には麻酔薬が体の中に入っていきますので、その時に本人は圧力を感じたりして、びくっとすることもあるのです。ですので表面麻酔を使って完全に針の刺さる感じや、麻酔注射の圧力を防ぐと言う事は難しいです。しかしより痛くなく麻酔注射をできると言うことです。またこの麻酔注射をより痛くなく打つためには患者さん本人がリラックスしていて、かつこの注射をゆっくり打つと言うことも1つのポイントとなってきます。

2.笑気麻酔

私はインプラント治療を行う際にほぼ全員の患者さんにこの笑気麻酔をすることをお勧めしています。それはこの後説明する静脈内鎮静法などよりも、かなり安全でかつ患者さんにとっては体に全くストレスがない方法だからです。笑気麻酔をするとどのようになるか、笑気麻酔は鼻から酸素を吸っているような状態です。正確には酸素と笑気と呼ばれる2種類のガスを混合したものを鼻から吸っています。この笑気麻酔を鼻から吸うことによって、だんだん体が昼寝のようにポカポカあったかくなって、指先など少しとろんとリラックスした感じになります。完全に気を失うような事はありません。インプラントの治療中は明らかに会話はできるのですが、私の経験上2人に1人ぐらいは、知らない間に昼寝をしています。そして患者さんはあれちょっと寝てしまいましたねとら後から終わった頃にいってきます。軽い昼寝をしているのですが患者さんに、大丈夫ですか、としっかり肩を叩いたりして喋りかければ、すぐふと我に帰って反応して、かなり明確な会話は可能です。自分の意思もはっきりと伝えられます。そしてこの鼻から吸うだけと言うことが非常に簡便なのです。特に何か針を刺したりとか、ずっと点滴をしていると言うようなこともなく、ただ旦か鼻から酸素混合ガスを吸うだけなので、非常に患者さんにとっては楽なストレスのない方法だと考えられます。

そして何より酸素を出し続けているということがとても安全な方法です。インプラントオペ中にはSPO2と言われる酸素飽和濃度を測っています。これは最近コロナなどで散々騒がれたので知っている方も多いかもしれませんが、その人の体が今どれぐらい酸素が十分に安全に供給されているか血液が循環しているかなどと言うことを測ってコロナの程度を評価するというものが全国のいろんなところで行われていました。このSPO2と言う機械もちなみにただ指にはめるだけのものなので非常に簡単で誰にでも一般の方にでもその器具を持っていればすぐ自分の体の安全度を測ることができるようなものです。常に酸素を吸いながら治療を受ける事はとても大事ですがその酸素を体の中に入れながら笑気麻酔をすると言う状況であるので手術中は確実に身体の安全が保たれていると言うことになるわけです。

3.静脈内鎮静法

これはさっきの笑気麻酔よりもよりレベルを高くして本人の意識がかなりない状態になります。腕に点滴を打って手術中はそこから薬を入れて半分眠っている意識のないような状態になります。

先程にも少し述べましたがこれは全身麻酔ではないので完全に意識がなくなってるわけではないです。そして患者さんはただ自分がその時に行われた治療による刺激や痛み、怖さなどそういったことを、はっきりとは覚えていません。ただ実際には患者さんは我々術者から見て、体が急に動いたり、痛いのかなと思われるような首を動かしたりなどの、反応は普通の患者さんと同じように起きます。ですが本人は全く覚えていません。そして私たちが患者さんに喋りかけるとゆっくりと少し反応してくれます。違う言い方をすれば全く反応しないほど深く静脈内鎮静をするのは沈静度が高すぎてかけすぎで良くないと言うことです。

この方法は患者さんにとっては一見とても良い方法にも思えます。特にとても怖がりの人の場合にはこの方法は確かに向いています。しかしより程度の高い麻酔をかけているので様々な問題もあります。まず身体の健康状態に基本的な問題がないかその時点でできるできないなど。また当日歯科医院に自分で車で来た場合、帰るときに車を置いて行かなければいけないと言うことも考えられます。麻酔が本当に十分に切れて安全な体の状態になってから車に乗って帰る必要があるので、場合によっては行きも帰りもタクシーで移動した方が良いかもしれません。あるいは家族の方に送り迎えをしてもらうなど。

4.全身麻酔

インプラント治療を行う際に全身麻酔をするということがあるかと言うと、一般的にはほとんどないです。ただ大学病院で様々な諸事情により全身疾患等があり患者さんの健康などを踏まえ、そのような完全に患者さんが動かないような状態でコントロールして治療しなければいけない場合もあるので、ごく稀ですがそのような方法で対応することもあります。ですが一般の方がこのような全身麻酔を希望してもそれを受け入れてやると言う事は通常考えられませんので、これは候補としてはないと思ってください。

まとめ

以上を踏まえ、私の個人的な意見を最後にもう少し述べたいと思います。インプラントの手術を受ける際には笑気麻酔が私は良いと考えています。まずそもそもその担当医の先生と安心してリラックスして治療が受けられるかなどのコミニュケーションレベルなどがまず必要ではある事はもう言うまでもありません。笑気麻酔はもしあなたがやったことがないのであれば一度やってみてください。お願いするのも1つの方法だと思います。

一般の治療でも歯科医院では笑気麻酔を怖い人には使っていたりしますので。今インプラントの治療技術は大変進歩を遂げているのであまりそもそも痛くなく治療ができる可能性が高いので、静脈内鎮静法までやる必要もないことが実は多いと思われます。ですので体に負担がやや大きい静脈内鎮静法を避けて笑気麻酔の軽度な体にほぼ負担のない方法を選択するのが良いのではないかと考えています。以前でも述べたようにサージカルガイドなどを使ったインプラント治療を行いますので手術部位も狭い範囲で済みますので短い時間で笑気麻酔でインプラント治療を受けるというのが今の現状には合っているのではないかと考えています。安心してください。

インプラント

インプラントとガイドサージェリー

2023年3月19日

今回は前回に引き続きインプラント治療においてのガイドサージェリーについて話をしたいと思います。

さて前回インプラント治療をする上で、CT検査をすることの大切さ、重要性を話しています。そして3Dスキャナカメラを用いた口腔内検査も大切であるということをお伝えしました。そしてこれらのデータを専用のコンピューターソフトを用いて画像診断していくことが正確なインプラント手術を行うという話をしました。ここまでの話はいわば行って見れば、かなり正確な地図情報を持っているという話です。

そしてさらにこれらの3Dの特殊なデータを用いてすごいことができるのです。それがガイドサージェリーというものです。

ガイドサージェリーとは?

もしあなたが今から電動ノコギリで木を切ってください、そして長さ10ミリまで切って止めてくださいと言われたらどうでしょうか。おそらく鉛筆などでまず10ミリ書いてその作業をするのではないでしょうか。

逆にその鉛筆線を書かずに大体10ミリここまでだろうと思って勘で電動ノコギリで削るとそれはもしかしたら8ミリかもしれない13ミリまで削っているかもしれないですよね。インプラントの手術は骨の中に作業のバーを入れて削っていくわけですがこの正確な深さや角度等をガイドする道具を事前に作ることができるわけです。このガイドに合わせて手術部位を削るのでほぼぴったりの深さまで削ることが可能なのです。また角度も正確で右にも左にも曲がらず予定の方向へぴったりと進んでいくしかないです。

例えばあなたがカッターナイフで紙を切る際に定規などを当ててガイドしてまっすぐ切るということをしたことがあるのではないでしょうか。ただ定規にさえ寄せてカッターを動かしていけば確実にまっすぐな線が切れますよね。簡単に言うとこれと同じ原理です。

日本には職人技という言葉がありますが、確かに私たち医療従事者は常に自らの腕の研鑽を積み、より正確な手の動きを再現できるような手練となれば何もガイドなしでもそのように正確に動くのです。

しかしどんなに手練になったとしてもこのサージェリーガイドがあれば、かなり安心して正確な手術ができるのです。実際のオペ中には口の中の奥など非常に見にくかったり、あるいは手が入りにくかったりするような場所にも処置を行うわけです。その際にガイドがあることによって確実に正しい方向へ切削器具を移動させることができます。

またしっかりライトを当てているのですがやはり見えにくいところもあるわけです。ですので仮にライトがあまり当たらず暗かったとしてもガイドでどこまで進めば良いのかが手の感触ではっきりとわかるのでとても安全なのです。

そしてこのようなガイドを使うことによって、手術時間も短くなります。ガイドを作る前に先ほど話したCTデータや3Dスキャナ口腔内データをもとに治療計画をしっかりと立てていますのでその時点でどこにどの角度でどのようなものを入れるのかということを綿密に計画しています。そこには時間を十分に割いても患者さんの手術時間が長くなるわけではありません。患者さんが口を開けてずっと待っているわけではありません。手術前に十分に準備として時間をかけるわけです。

そして手術のときにはガイドではっきりと場所が分かっていますのでそこを一気に治療が進むことができるわけです。手術時間の短縮が、それは言って見れば出血している時間を短くすることができるということなのでもちろん安全です。そして痛みや腫れが少なくなるということなのです。

ガイドには弱点もある

今までガイドの利点をたくさん話していきましたが、もちろん弱点もあるわけです、それに関して少しばかりさらに追加してお話をしたいと思います。

どんな手術、医療技術も100%という事はありません。ガイドを使ってもそもそも誤差というものは必ず存在します。例えばほんの少しCT検査をする際に患者さんが動いてしまったなど。ちなみに3Dスキャナ検査は患者さんが多少動いても実はほぼ誤差は出ません。

このような事前審査で十分に安全で確実であると判断していても実際には手術をしてみたら骨の状態が思ったよりも悪かったとか、あるいは隣の歯自体がもうぐらぐらしていて安定感が悪く、ガイドに多少誤差が出てしまうなど、やはり人間なのでいろんなことが起きるわけです。

そういう意味でガイドを使うことによってかなり安全で確実で正確な手術ができる事は間違いないのですが、それでも念には念を入れて誤差がもしかしたら起きるかもしれないということを想定して行っています。具体的には深さ的な部分において2ミリの誤差を想定していますこの2ミリという数字はかなり安全域を取るための大きな数字です。一方左右差等の誤差に関してはやはり2ミリ程度を見ていますが実際にはそのような大きな誤差が出てしまっては全く話にならないという状況が起きるので、実際に起きる場合はおそらく0.2ミリ程度だと考えていますが、それらの誤差は手術で骨を埋めたり様々な技術によってリカバリーすることが可能である範囲です。

またこのような数字的な誤差でうまくいかないというよりは、患者様がタバコをたくさん吸ってしまったなど他の要因で、後々うまくいかなくなることがあったりします。

まとめ

このサージェリーガイドはほとんどの場合かなり正確な手術を可能にする道具です。しかし我々医療人はそれを100%過信することなく、十分に活用するということです。という事は万が一サージェリーガイドがうまく利用できなかったとしても自分の手練れ、テクニックでうまく手術ができるかどうかということも求められてくるわけです。私自身事実、サージェリーガイドを途中まで利用し、この先は誤差が考えられるので途中からは使わないというようなことも経験しています。

医療の技術、その手法、様々なことがどんどん進化を遂げていく中でその技術を十分に勉強し活用し、それを患者様に恩恵として提供できることを考えていく事はとても楽しく有意義なことです。そしてその中で常に様々な可能性を分析しながらやっていくことです。そしてやる側も人間ですし患者様も人間です。そういったことも踏まえてより良いインプラント手術を行いたいものです。

インプラント 歯科 3Dスキャナ

インプラントと3Dスキャナ

2023年3月16日

こんにちは、前回インプラントとCT検査に関してお話をしました。今回はそれに加えて3Dスキャナの検査についてもお話を加えていきたいと思います。

3Dスキャナとは?

お口の中を検査する道具なのですが、スティック状のカメラです。この特殊なカメラでお口の中を3分程度撮影します。カメラというのは2次元で取れるわけですが、この3Dスキャナのカメラを使うことによって3次元のデータ取りができます。

写真というものは2次元で見ています。お口の中を通常にカメラで写真をとれば2次元で見ることが可能なのですが、この3Dスキャンナーのカメラを使うと3次元のデータを取ることができるのでコンピューター上ではあなたのお口の中を3次元で再現、表現することができます。3次元の立体映像をパソコン上で出すことができ、この立体映像を好きな角度に自由に回転させた状態を見ることができるのです。

このデータ取りの検査を行うわけです。3Dデータと前回のCTデータ、この2つをコンピューター上で合体させることができます。そうするとCTのデータは主に骨や歯などの硬い組織に対して正確であり、一方3Dデータは歯茎などの軟組織と言われる柔らかい部分のデータを正確に再現しています。

そうするとなんとお口の中の硬い部分柔らかい部分の全てが合成されて状況を正確に分析できるわけです。しかもその歯茎の中まで骨の中まで歯の中までわかるんです。

これは実はかなり画期的なことです。今まではCTのデータを中心に歯、骨の硬い組織の位置関係が正確にはわかっていたのですが、その上に乗っかっている柔らかい組織の歯茎の厚みはおよそ2ミリから4ミリ位であろうという大体の値はわかっていたのですが、それも正確にわかるようになったのです。そうするとかなり厳密な治療計画が立てれるということになります。

一般的に、解剖学的な平均値で上顎の歯茎であれば厚みは4ミリ位、下顎の歯茎であれば厚みは2ミリ位というまず基準がありそこから、CTに薄く写っている歯茎の位置関係を見て、おおよその事はわかっていました。しかしあくまでおおよそなのです。このおおよそが正確にわかることによってとても重要な進化を遂げるのです。

インプラント治療における3Dスキャナの重要性

3Dスキャナを使うことでインプラント治療を行う際に何ミリの歯茎を貫通してその上にどれぐらいの大きさの歯を入れることになるのかという比率が正確に分かり、どこにどの程度の大きさのインプラントを入れるべきなのかということを大体ではなくより理想に近づけるということが可能となったのです。これは大きな前進なのです。正直患者さんにはそこを正確に見ることができないのでよくわかりにくい部分です。しかし私たち医療人にとっては治療する側としてより長持ちする設計を最初から考えることができるというのはとても嬉しいのです。よりインプラントが長持ちする、より歯茎が減っていかない、より歯の形が正確に再現できるなどとても魅力的なことなのです。

また、このような分析方法は実は以前にはややそれに近い方法がありました。それは歯の歯型をとって模型を作ることです。石膏模型を作ります。次にその石膏模型の中に3箇所程度ランドマークとなる鉛などの小さな鉄球を埋めます。そしてその模型をもう一度CT撮影するのです。そしてその2つのデータを見比べて歯茎の厚みがコンピューター上で計測することができたわけです。

ただしこれは模型を作ったり、様々な複雑な手順が多く、どうしても誤差が避けられません。そのため、あくまでも参考値という状況です。この複雑な作業を歯科医師および歯科技工士が打ち合わせをして行っていました。とても時間のかかる作業です。そのため費用もかなりかかっていました。このような作業を丁寧に行っていくために一般的には100,000円程度の費用がかかっていたと思います。3Dスキャナが使えるようになってこのかなり多くの手間が一気に減りました。ですので前回検査費用はCTだけであれば10,000円から30,000円位、3Dスキャナの検査も含めるとおそらく50,000円位の医院が多いのではないでしょうか。

そしてさらに話は複雑になっていきますがこのCT検査及び3Dスキャナ検査によってかなり詳しい状態が事前にわかるわけです。そしてそのデータをもとにインプラントを正確に一定の場所に埋め込むためのサージェリーガイドというものが作ることが可能となっています。このサージェリーガイドに関してはまた次回詳しく話したいと思いますが、医療は常に進化していきより良い方法がどんどん生まれていっています。

3Dスキャナでの検査は痛みを感じる?

3Dスキャナでお口の中を検査するのはほとんど痛い事はありません。先程、スティックカメラのようなものを口の中に入れて検査するということをお伝えしました、2.3分程度の時間がかかるということも伝えましたが、口が小さい人などは奥に器具が入っていくので少し気になるかもしれませんが、いわゆる胃カメラのような検査ではありませんのでそのようなことに比べると全く楽です。

また、今までの従来の歯の歯型を取るということもしなくて済みますので、歯型を取るのが苦手な人にとってはとてもラッキーな話だと思います。ベタベタすることもないのです。また環境的にも石膏模型を作ったりというプロセスがないので良いことであると考えています。苦しい思いをしないで検査できるのでこのような検査をぜひとも受けることをお勧めします。

最後に

私も医療人としてこのような技術の中で今医療を行うことができることを幸せに思っています。インプラント治療が日々とても楽しいです。インプラントの素晴らしさやインプラントの価値が少しでも皆さんに伝われば幸いです。

 

インプラント 歯科CT

インプラントとCT検査

2023年3月12日

CT検査をあなたは受けたことがありますか?CT検査とは、なんでしょうか?

内臓が悪い、頭の何か病気など様々な疾患で多くの場合、病院や外科などで受けていることがあるかもしれません。CT検査では体の中の内部の構造がわかったりするのです。ですので医科ではとてもよく使われている検査の1つです。事故や病気など様々な状況の中で体の中の細部に何か問題がないか、どのような状態になっているかを知りたいのです。

しかし、実際にその中を切って開いてみるわけにもいきませんしそのようなことをしてしまえば体にとても大きな重篤な被害を与える可能性があるわけです。ところがこのCT検査をするとパソコンコンピューターを使ってかなり細かいところまで中の断面図が分かります。そしてどのように治療すべきか、どのような薬を使うか、どのような手術をすべきかなど様々な治療計画、治療の経過を評価することができる優れた検査なのです。

さて歯科におけるインプラント治療においてもこのCT検査を大抵の場合は現在は行っています。歯科治療におけるインプラントではインプラントは顎の骨の中に入れるわけです。顎の骨の中が普通のレントゲン等ではある程度の事はわかります。しかし歯を削って治療するのとはちょっと違い、骨の中を触っていくので骨の中を削りながら状況を確認しながら治療するというわけにもいかない場合が多いのです。ですのでインプラントの治療をする事前に、骨の中がどのような構造になっているのか正確にわかると非常に助かるわけです。

具体的には例えば上顎の奥歯にインプラントを入れる場合、その骨の厚みが何ミリあるのか?厚みが2ミリなのか15ミリなのか?また骨の奥行きは5ミリ位なのか15ミリ位なのか?そういうことが歯茎の上からいくら見ていてもわからないのです。一般的な歯科用のレントゲンではある程度の予測がつきます。しかしこのCT検査をすることによって0.1ミリ単位で骨の量や骨の形が具体的により鮮明にわかるという大変ありがたい検査なのです。

私は現在、歯科医院の中で、CT検査を行い治療計画を立ててどのようなサイズのインプラントをどの場所に入れたら良いのかを判断しています。インプラントとひとくくりに言ってもインプラント自体のサイズもいろいろあるわけです。ですのでその骨や歯茎の状態、周りの残っている歯の状態などをよく鑑みてどのサイズ、例えば8ミリなのか、11.5ミリなのか径4ミリなのか径5ミリなのかなど様々なことを、より適したものを最初から計画で検討することができるわけです。

またこのCT検査には他にも様々な良いことがたくさんあります。下顎にインプラントを行う場合には、下顎にはある程度大きな神経や血管が入っています。その位置がわかるのです。インプラントを顎の中に入れる際その大きな神経や血管と直接ぶつかるようなところは出来る限り避けて治療計画を考えます。その位置が事前にわかっていれば、より安全が治療計画はどうしたら良いのかということを考慮できるわけです。

また、上顎の場合は上顎の骨の上から鼻のエリアの方へ向かうと、鼻の側に様々な炎症があったりする場合がありそのようなことが事前にわかるということも大変優位性があります。すなわち鼻炎があったり鼻閉があったりする場合には、上顎にインプラントをする場合、普段はどってことないんだけれども、治療したことによって炎症がより広がることがあるのです。それを事前にある程度予防的に予測して薬をたくさん飲んでもらったり、もしくは耳鼻科にもう一度行ってもらったりなどということも考えられるのです。

上顎の場合は骨が薄いことが多いので、骨を造骨しなければならない場合もあります。そのような場合にもどこにどの程度造骨すべきなのかが立体的に事前に予測しやすく、そのインプラント治療の侵襲度が最初からわかり、どのぐらい時間がかかるのか、どれぐらい腫れそうか、どれぐらい痛みが出そうかなどもある程度予測がつきます。

またこのCT検査で必須になってくるのがパソコンのスペックです。かなりたくさんのデータ量でこのデータを分析し、かつ円滑に動かしてパソコン上で調べるにはかなりハイスペックのパソコンでやらないとなかなか動きが遅く大変なことになってしまいます。

簡単な例を挙げると体の中の構造を0.1ミリの幅でスライスしながらそのすべての写真データを同時に見ながら立体の画像を作っていくわけです。これだけの3Dの作業をやるとなるとパソコンとしてはかなり負担がかかるので、それなりのパソコンが必要というわけです。医療はどんどん進化していき、検査の器具や機械その機能を使うパソコン、パソコンソフト様々なものが同時にどんどん進化していっています。常により良いものが生み出されていきます。これらの最新技術を駆使することによってより侵襲度の少ない治療が行え、かつインプラント治療が安全に行えるわけです。

出来る限り痛みも少なくできる限り腫れも少なくということも可能です。そして治療期間も短縮されることがあったりします。また骨がとても少ない人でも状況をよく分析することによって少ないなりにどうしたらできるのかという治療計画を考えることができるので、今までは難しいと思われていたようなインプラント手術も多くの方にその恩恵があるかと思われます。

今までのインプラント手術ではある程度の予測をもとに実際にオペの際にその歯茎の中の骨を見てもう一度そこで確認し、どうしたら良いかということをもう一度判断し、あるいは途中でもう一度計測したりレントゲンを撮ったりして何とかフォローしていたわけです。ですが今はCT検査があるために事前にかなり正確なことがわかっているためによりピンポイントで触るべき場所を決定することができているので、とても侵襲度の低い治療になっているはずです。より狭い範囲でそこだけを触れば良いということが事前に判断できているからです。

このようなことでCTの検査は最近では多く行われています。またCT検査の費用はCTの撮影だけであれば10,000円から20,000円程度の病院が多いと思われます。またその検査をもとに分析すると30,000円から50,000円ぐらいの費用がかかっていることが多いです。

もしあなたがインプラント治療を受けるのであれば、その歯科医院でCT検査を受けることを私はお勧めします。今、歯科医院でもCTを完備している医院はだんだん増えてきています。他の病院施設でCTだけを撮影してもらうことも可能なのですが各病院によってCTの種類も違いますし、それは医科用のCTですので、インプラントに特化したCTではないです。歯科に特化したCTではないです。ですので歯科専用のCTで撮ることがインプラントをやる上では有利であると私は考えています。

以前は医科用のCTの方が骨密度を図る上では正確であるということが言われていましたが、現在では歯科用のソフトがかなり発展してきているため、そこに差はあまりなくなっているので、やはり歯科用のCTを使って検査をすることが最も有利ではないかと考えています。

今回はCTの話をしましたが実は今現在、さらに進化していてCTと3Dスキャナを用いたよりレベルの高い検査が行われていますので、それはまた次回の機会にお話ししたいと思います。

私はあなたがより最新の医療技術の恩恵を受けてより快適な楽しい日常生活が送れることを応援しています。

インプラント

入れ歯の難しさとインプラント

2023年3月5日

先日愛知県の栄で東京医科歯科大学同窓の集まりがありました。この集まりは愛知県で仕事をしている東京医科歯科大学の歯科医師の集まりです。この時、東京から高齢者の入れ歯の専門の水口教授が来られました。そして講演を聞きました。

講演後、食事をしながらみんなでいろんな話に花が咲きました。この集まりはドクターはみんな歳がバラバラで高齢の方は90才近いかたもいました。若い先生はまだ30代です。このようなバラバラな年齢なのですが、大学の昔の時代を懐かしむ話も多少出たのですが、なんと一番この時盛り上がった話は、入れ歯の話でした。

さすがに「へぇー東京からわざわざ教授が参加されたので、そうなのかなぁ」という気もししないでもないですが、難しい入れ歯をどう攻略するかと言うことを延々とみんなで様々な意見が出て大変面白い会でした。特に愛知県からは愛知学院や名古屋大学の教授なども約4名参加されていて、それぞれ専門分野が若干異なるのですが、それぞれの立場から大変面白い意見が出ました。

結論的には、もしその患者様が数本でもいいからインプラントを入れることができるのであれば、それが最も安定する噛み合わせになり、かつ入れ歯を安定させることも容易である。すなわち例えば仮に2本歯が残っていた場合、それ以外の場所に4本ぐらいインプラントを足して、そのインプラントを足場として上に入れ歯を載せてその入れ歯が安定するようにするという方法です。

これは従来から長い間研究されている方法でどのように歯が残っているかにもよるのですが、その時にどの場所にインプラントを何本足すと良いのかと言うことがずっと学会でディスカッションされています。それに対して現場としては、上顎であれば4本、下顎であれば2本、もしかしたら条件が良ければ1本でもいけるのではないかということが発表されています。

一方で、もしインプラントを足さない場合どのような解決策が考えられるかということも深く話題となりました。その場合は残っている歯を背の丈を低くして高さの差を減らして入れ歯の中に隠してしまい利用するのが良いのではないかという意見がやはり出ました。

これは昔から使われている方法で、大きな入れ歯を使っている場合、中途半端に二本ほど歯が残っているとその歯が、かえって足を引っ張ってしまい入れ歯が安定しないということがあるのです。そのためはその歯を削ったり小さくかぶせたりして入れ歯の中に隠れるような形にして入れ歯と一体にしていくと言う手法です。

ここで名古屋大学の教授より大変面白い意見が出て、このような歯を残痕状態にして残す場合入れ歯の縁をどこに決めていくのが良いか、縁をあえて小さくした方が良いと言う意見が出ました。この教授はもともと部分入れ歯の専門家であり、このような方法をとることによって残っている残痕が歯周病になりにくくより長持ちするという自分なりの見解を述べられました。

実はこのような方法はあまり多くはとられていないです。これをやるにはかなり手先が器用なドクターではないとできないと思いますし、よほど戦略的に治療計画を立てないとなかなかうまくいく事はないと思われます。しかし、この教授の述べるようにこの方法をうまく活用できるのであればより長く持つ可能性も出てきて非常に面白い意見だなぁと思って聞きました。

また現在愛知学院で部分入れ歯の専門の教授から大変面白い意見も出ました。それは入れ歯がうまくいくいかないというのは、技術的な問題もあるが、その患者さん本人の気持ち気分の問題もある、だから技術一辺倒で行けるところというのは限られていて、患者さんをどうやって盛り上げていくかという部分も結構大事だよと。

本人が入れ歯ぴったりくっついていて絶対落ちないんだと思い込んでいると、実際には外れるわけだから落胆するわけで入れ歯とどうやって付き合っていくかと言うことをよくよくいろんな例を挙げて話していると言っていました。

訪問診療を専門にやっている元教授も残痕をどのように扱うかということに関して非常に様々な知見を述べられていました。実際患者様が高齢になって自宅療養していたり施設に入っていて歯科医院に通うことができないような場合、そのような残痕は出来る限り早く抜くべきである。特に身動きできなくなるような前にある程度健康な状態でまだ歯科医院に通っている状態、その時にもうこの先に残らないなという根が弱っている歯は抜いておかないといよいよ後で困ってしまう。これから100年時代なので、よくよく計画を考えてお口の中を整理していく先を見据えた治療計画が大事だねということをおっしゃっていました。

このような話の中でとても大切だなと思った事は、やはりドクターは入れ歯が十分に対応できないとインプラントをいくらできても意味がないということです。患者さんは最初からたくさんの歯がないわけではないので、もし歯を1本や2本を失ったときに使うインプラントは1、2本程度足せば良いと言うことになるでしょう。

そのため、この1、2本歯を失った患者さんの対応は確かに入れ歯の対応ができなくてもそこだけを治療すれば良いのでそれでとりあえずインプラントの治療は完成するわけです。しかしその先もっと歯を失うと言うことも想定されるわけです。そしてずっとずっと先には高齢になったときに残念ながら大きな入れ歯になっているということもあり得ます。

そのような状況になったときに、インプラントを何本足すのかあるいは入れ歯をどのようにフォローして使っていくのか、入れ歯の治療計画を十分に考えることが大切になってきます。前回のコラムにも書いていますが、入れ歯とインプラントを並行して付き合っていかなければならない治療期間が必ず存在するわけです。より安定させるためにインプラントを増やしていくわけですがその際にインプラントは治療を行ったその日に上に歯がすぐに入るわけではないですから、すなわちインプラントが安定するまでには何ヶ月も時間がかかるわけです。その間、入れ歯を使っていなければならないと言うことが十分に想定されるわけです。

そのため、やはりインプラントと入れ歯を総合的に活用した治療計画、治療技術が求められます。そうなるとやはり入れ歯というものに関してかなりこだわって治療技術を磨くことが改めて今回の東京医科歯科大学愛知県歯科同窓会の集まりの中での食事会のディスカッションでよくよく痛感したことです。

また、やはり、入れ歯というものはとても人の人生を考える上で面白いものだなぁと思いました。最初はすべて歯があるのですが、人間はやはり歳をとりどうしてもだんだん体は変化し弱くなっていくものです。その中でどうやってアンチエイジングしていくのか、どうやって少しずつ減っていく歯がなくなることをくい止める、もしくは何らかの形で補ってフォローしていくのかとても深い治療だと思いました。

あなたは今もうすでに歯をたくさん失い大きな入れ歯を入れているかもしれません。あるいはまだ2本程度は失っただけなのかもしれません。いずれにせよ、現代は予防の時代でありどんどんどんどん歯をしっかりと残していくということは可能ではあるのですが、人生100年時代において、1本も歯を失わないで走り続けるということはかなり難しい部分もあります。

そのため、もし歯を失った場合、そこをどう補うのか、それをよくよく全体のバランス、お口の中体の健康を総合的に考えて予防を踏まえた補綴治療を考えることが良いのではないかと思います。そういった治療計画において必要に応じて入れ歯を使い、理想的な治療としてインプラントを入れていくことを私はお勧めします。

インプラントができるとなると、歯を磨くなどのメンテナンスも非常に楽で、万が一寝たきりなどの介護状態になったとしても、周りの人がメンテナンスしやすいというメリットも大きいです。お口の中がどんどん汚れていった状態の寝たきりの方は大変危険な状態です。それはお口の中の細菌こそが全身状態を悪くするからです。単に病気、内臓の病気などが病状悪化させていくというよりは、お口の中の余計な細菌が体へどんどん広がっていき本来罹っている病気をより悪化していくということなのです。

つまり、どのようにお口の中を安全な状態を確保できるか、これがかなり重要です。

デンタルケア

私はインプラント治療が好きです

2023年2月2日

こんにちは。私はインプラント治療が好きです。昔から好きです。
大学病院で働いていた頃から好きです。

あなたは、インプラントをする患者様のお口の中はどんな状態なのだろうと想像しますか?

インプラントをする患者様と言うのは歯がとても悪い人ばかりだと思うかもしれませんが、実は1本だけ歯がないと言うパターンの人も結構います。そのたった1本を補うために1本だけインプラントを入れて治療する、そのような場合もあるのです。約30%の人がそのような患者さんです。

一方で、2〜3本くらい歯がないといった状況で、そこにインプラントを入れて歯を作っていく場合の人が約60%います。

もうほとんど歯がないという人が残り約10%で、インプラントを10本以上入れて歯を20本ほど補っているような状況の人たちもいます。

今までいろんな患者様を見てきましたが、今回はもうほとんど歯がないという約10%の患者様のお話を、皆さんに共有させていただきます。

このような人の場合いつも特徴的なことがあります!

それは上顎の唇の筋肉がとても強いのです。普段の生活の中で、自分が歯がないことが目立たないように、何とか他人に気づかれないように喋っているため、うまく生活しているのです。
その結果、口の中が見えないように、上顎や唇をあまり動かさないようにして会話しているのです。そのため、できる限り口を閉じようと生活していると思われます。

このような状態ですと、一見して歯があるか無いかは分かりにくいです。特に今はまだマスクをしている人が多いでしょう。しかしもう間もなく通常的にマスクをするという習慣も終わりを告げます。他人とのコミュニケーション、普通の生活、例えば電車に乗ったり、海外ではほとんどマスクをしない生活がスタートしています。やがて日本もそうなることでしょう。

そのため、マスクで口元を隠して、口元を最小限に動かして会話をしたり、歯がないのをなんとかごまかしたりするというのは難しくなってきます。

さらに、年齢がまだ30代くらいであれば、口の周りの筋力があるのでなんとなくごまかすことができますが、40代50代と年齢を重ねると、口の周りの筋肉も少しは弱ってきます。そうすると「なんとなく口元の骨が痩せている」「もしかして歯がないの?」「もしかして入れ歯?」というような顔立ちになっていきます。

そのため、どんなに一生懸命口の周りの筋肉をしっかり引き締めて口の中が見えないように努力しても、やがて社会生活をしていくうえでどうしても困ってしまうことが起きやすいです。

私はこれまでに、20代30代でもうすでにほとんどの歯がないという患者様もたくさん見てきました。このような状態では社会生活、人とのコミュニケーションをとるという意味で、非常に苦労されるだろうなぁと思います。

ズバリ言うと、例えば会社でいろんな人と話したりする場面で、自分の気持ちを込めて人と話すことができなかったり、なんとなく口を閉じながらしゃべっていて暗い人だと思われてしまうこともあります。職業によっては直接人とコミニケーションをとらないような専門職もあるので大丈夫だと思っているかもしれませんが、果たしてそうでしょうか?

やはり異性にモテたいという気持ちもあるはずです。異性と仲良くなるにあたって、若い人の場合、歯がないというのは圧倒的にまずいと思います。
これは私の個人的な意見ではあると思うのですが、概ね合っていると思います。

皆さんはもしかしたら周りで「この人もしかしたら歯がないんじゃないか」「歯が悪いんじゃないか」という人を見ているかもしれないし、あるいは自分自身がそうなのかもしれません。

私は担当医としてそのような患者様をたくさん見てきたので、すごくその人の生きてきた背景を感じますが、直接その悩みの深い部分を話し合うわけではありません。それは、そこまで突っ込んだ話をしてしまえば人の気持ちが傷つくことも考えられるからです。

そのため余計なことは言わず、20代30代のような若い人が歯がない方が受診されたときには、「もしこのままインプラントの治療をせず歯を補わない場合、どのような顔立ちになっていき、見た目が悪くなっていくのか」というデメリットや、「骨や筋肉が衰えていき加齢が進んでいく」ということを伝えるでしょう。

それと同時に「もし今歯を新たに作ればかなり顔立ちが安定して、自然な会話や生活、趣味などを楽しむ新たな自分の人生が始まる」という未来を語ります。

例えばもしあなたに歯があれば、好きな人や仲の良い友達、家族で外食に行って楽しくお話ししたり、大きな声で口を開けて笑ってみたりできるんです。自信がみなぎる自分らしい自然な生き方を歩み始めると思います。
あるいは海に行ったりスキーに行ったりさまざまなスポーツを思いっきり、力を出して楽しんでみることもできます。もし歯がなければ、力を強く出すことに心配もあるかもしれません。しかし、歯があればかなり自信になるはずです。

どうして私がはっきり「自信になる」と言えるのか

それは今までたくさんの患者様を見てきたからです。歯がほとんどないような、一生懸命口元を開けないで医院に通っていた患者様が半年後、1年後にすべての歯がようやく揃い、一見して自然な口元のように、あるいはちょっときれいなセラミックが垣間見えるかのような口元に変わっています。
その頃には患者様の口元の表情が、少しずつ変わっているんです。

また、そのときには患者様はもうすでに、「これが自分の普通の顔だ」と思えるほど馴染んでいます。
以前自分がどんな口元で、どんな表情をしていたか、結構忘れている方もいらっしゃいます。この今のゴールがもともとあったかのような自然な立ち振る舞いです。私はふとそんな姿を見て喜びます。

ここまで来た患者様は多くの場合定期的なクリーニングに通っていただいています。クリーニングは歯科衛生士が担当しメンテナンスで掃除をしている場合が多いため、私が最初から最後までじっとその人を見ているわけではありませんが、患者様のご様子を確認に行きます。そしてふとした表情を斜めから垣間見るわけです。

これは一般の方が普通に生活しているときになんとなく見える「その人の雰囲気や表情」に近いものです。そんな時に「普通」に見えるととてもうれしいです。

また、担当している歯科衛生士もこれだけきれいに歯が揃っていると、「この患者様は以前は歯がなかった」と感じることもないと思います。

インプラントは人生を変える力があります。